映画『Fukushima 50』(フクシマフィ
フティ) ワールドプレミア、五嶋龍出
演オープニングアクトレポート

2011年3月11日。あの日、あの時、あの場所に踏みとどまった、50人の作業員たち。
制作に5年の歳月をかけた映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)。あの日、福島第一原子力発電所(通称:イチエフ)を襲った史上最大の危機、そして家族と故郷を想う人々の知られざるドラマ。映画は日本に、そして世界に届けるべく、全世界73箇所で上映されることが決定している。
2020年1月26日(日)、東京国際フォーラムにて、映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)ワールドプレミアと、それに伴うオープニングアクトが開催された。当日は200倍の抽選をパスした人々が会場に集まり見守る中、ベテラン俳優陣と監督による舞台挨拶が行われた。登壇は、佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、平田満、萩原聖人、佐野史郎、安田成美、若松節朗(監督)。
(c)2020『Fukushima 50』製作委員会
「負の遺産を明日への遺産に変える」と佐藤浩市。萩原聖人は「あの日何も出来なかった自分」と語ったが、会場にいた多くの人々が、同じように感じた経験があるのではないだろうか。
オープニングアクトでは、岩代太郎(作曲者/指揮)、五嶋龍(Vn)、長谷川陽子(Vc)、NHK東京児童合唱団及び東京フィルハーモニー交響楽団により、映画サントラから3曲を披露。意外にも映画音楽初登壇となる五嶋、日本を代表する女性チェリスト長谷川が颯爽と登場し、あの日の嘆きと希望を、悲しくも力強い音色で歌いあげた。
音楽と指揮を務めた岩代太郎は、TV、映画、アニメ、ゲーム、舞台と幅広いジャンルで活躍中の作曲家である。『血と骨』(04)、『蝉しぐれ』『春の雪』(05)、『利休にたずねよ』(13)で、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。他にも数々の映画音楽を手がけている。
オープニングアクトで演奏された曲目は次の3曲。
1:1stChapter All Life
2:4thChapter Home Country Forevermore
3:Be With Danny Boy
映画の挿入曲であり、アイルランド民謡でもある「ダニーボーイ」は、フィフティの帰りを待つ、家族の想いを表現している。その音楽は、家族を避難させてイチエフに残る佐藤演じる伊崎や、帰りを信じて待つ家族の心情と重なる。バグパイプを模したイングリッシュホルンの音色、五嶋の悲しみと希望を湛えたヴァイオリン、長谷川のメッセージを訴えかけるようなチェロ、合唱団の澄み渡るハーモニーがオーケストラとともに会場を包んだ。
五嶋龍 (c)2020『Fukushima 50』製作委員会
PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)に7歳という若さで楽壇デビューした五嶋。『五嶋龍 ”Excellence in Music”(音楽優秀賞)』を通じて公立高校生に奨学金を授与する活動や、国際文化交流・社会貢献活動をグローバルに展開していることでも知られる。
現在、北欧屈指の名門オーケストラ、フィンランド放送交響楽団との共演によるチケットが発売中。公演ではフィンランドを代表する指揮者、ハンヌ・リントゥと五嶋龍による“究極のシベリウス”を実現。また、デビュー25周年を記念し、2020年11月より、デビューの地である北海道から『五嶋龍 デビュー25周年リサイタル・ツアー』を予定している。
そしてオープニングアクトが終了しキャスト陣、若松監督が登壇すると改めて大きな拍手が巻きおこり、キャスト陣それぞれが観客に向け感謝の想いを込めて挨拶を行った。
本作を披露するにあたって心境を聞かれた佐藤は「先日キャンペーンで福島を訪れて本作を上映しました。福島から始めなければいけないだろうと思っていましたし、福島の方々に作品を見ていただくことは非常に怖いことです。公共の電波で津波の映像が流れる前には『津波の映像が流れます』というテロップを流さなければ映像を流すことができません。暗い映画館の中でとても辛い映像を見なければならないので、被災された方や被災された方をご家族・友人に持つ方々、福島の方や宮城の方に見ていただくことは恐怖でもありますけど、それを乗り越えらなければいけないんです。エンディングまで作品を見た時に 必ずこの映画は記録としても記憶としても残るだろうと思います。それをまず福島に持って行きました。そして本日東京の皆さんに見ていただいて、これから全国に持って行きます」と本作に対する強い意気込みを語った。
佐藤浩市 (c)2020『Fukushima 50』製作委員会
続けて渡辺は「郡山で当時高校生の時に被災し、TV局のアナウンサーになった方のインタビューを受けました。『最初は体の震えが止まらなくなり、それでも最後まで見なければいけないと思っていても途中で心が折れそうになりました。電気が無く携帯もパソコンも見ることが出来ない中で色々なニュースが飛び交っていたけれどこの映画を見ることで、当時何が起きていたのかということがわかりました。ありがとうございます』という言葉をいただいた時はこの映画を届けていける自信をいただきました」とコメントすると、若松監督も「お二人に対して思うことは福島の方に寄り添ってお話しをしてくれているので映画が始まる前にお客さんが泣いているんです。福島の皆さんが映画を見終わった後に『このような映画を作ってくれてありがとうございました』と言ってくれたことがとても嬉しかったです」と先日行われた福島キャンペーンでの一幕を語った。
渡辺謙 (c)2020『Fukushima 50』製作委員会
映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)は2020年3月6日、全国ロードショー。そして、世界73の国と地域での配給・上映が決定している。

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