ジャニーズWEST・桐山照史が「世界一
不器用なロミオとジュリエットを観に
来てほしい」とアピール オール関西
弁&オールメールで繰り広げる舞台『
泣くロミオと怒るジュリエット』いよ
いよ開幕

社会の底辺で力強く生きる市井の人の姿を、笑いと猥雑さ、繊細さと美しさを織り交ぜ、生き生きと描き出す劇作・演出の鄭義信(チョン・ウィシン)が手掛けた舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』が、2020年2月8日(土)より東京・Bunkamuraシアターコクーンにて初日を迎える。初日前日には同劇場にて、ロミオ役の桐山照史(ジャニーズWEST)、ジュリエット役の柄本時生をはじめオールメール(男性キャスト)で、さらにはオール関西弁で上演される本作の一部が初めて披露された。
【あらすじ】
戦争が終わって5年。港を擁する工場街ヴェローナ。
工場から出る黒い煙と煤に覆われた鉛色の街。その街の空気をさらに不穏にしているのは、顔を合わせる度に揉め事を起こす二つの愚連隊“モンタギュー”と“キャピレット”だった。
“モンタギュー”の元メンバーで、今は更正してカストリ屋台で働く奥手でまじめな青年ロミオ(桐山)。ロミオの親友で、喧嘩っ早くいつも問題を起こす張本人のマキューシオ(元木聖也)と、正反対に聡明で理知的なべンヴォーリオ(橋本淳)。3人はそれぞれに、今の時代や自分の境遇に悩みや閉塞感を感じていた。そんな日々の憂さ晴らしに3人が出かけたダンスホールで、田舎から出てきたばかりのジュリエット(柄本)に出会い、ロミオは人生で初めての恋に落ちる。しかしジュリエットはなんと、敵対する“キャピレット”のリーダー・ティボルト(高橋努)の妹だったのだ……!
そんなことはお構いなしに燃え上がる二人の恋。ロミオは白頭山東洋治療所の店主で父親のような存在のローレンス(段田安則)に相談するが……。
二人を取り巻く様々な人物と共に、街は大乱闘に巻き込まれていく…。
公開された場面はロミオとジュリエットが初めて出会うダンスホールの場面、ティボルトの家の屋根の上にあるベランダにロミオがジュリエットを訪ねてくる場面、そして白頭山東洋治療所でローレンスにロミオがジュリエットとの交際を伝える場面だ。

ロミオはおそらく女を知らない。それ以上に吃音のため、人とのコミュニケーションにそもそも自信がない様子。そんな不器用な男が心の奥に突然生まれ、そして濁流のように溢れ出す「愛」を必死に言葉として紡ぎ、ジュリエットに届けようとする一途な姿は観ていて胸がキュンとなり、思わず応援したくなる。それはつまり、桐山が放つ熱の高さに心揺さぶられる瞬間だった。

そしてジュリエットという田舎から出てきたピュアな少女を柄本はこれ以上ないくらいピュアに演じきっていた。ロミオと出会った瞬間のときめきや、兄ティボルトや姉のソフィア(八嶋智人)にロミオとの交際を反対されても燃えさかる心の炎は決して消えることがない。“男性”である柄本が“女心”から生まれる激しい情熱をも感じさせていた。
共演者にも思わず目を奪われる。マキューシオ役の元木は派手なパフォーマンスでティボルトたちキャピレットのメンバーを挑発し、味方であるモンタギューたちのハートをがっちり掴みとる。逆にベンヴォーリオ役の橋本は、マキューシオの荒くれぶりに呆れつつも冷静に受け止め、その一方でどこか心に秘密を隠しているようなそぶりを見せる。その秘密が後半でどのような事になるのか、気になる存在となっていた。
ティボルト役の高橋は、片足が義足となっており、それをマキューシオが執拗にいじることで元は冷静沈着であろうティボルトの怒りのメーターが徐々に高まっていく。またジュリエットの兄として家族を敵・モンタギューから守りたいという真面目な姿も見受けられ、その怒りの矛先が徐々にロミオに向けられるのも自然な流れかもしれない。
ソフィア役を演じる八嶋は、この物語に登場する俳優の中でジュリエット役の柄本と共に女性役を演じる貴重なメインキャスト。だが、そのスタイルはどうみても関西のおばちゃん(笑)。一つひとつの動きや発言が常に笑いを誘う。八嶋が出てくるたびにステージ上が八嶋オンステージとなってしまうのではと思うくらい、場を掌握するパワーを持っている素晴らしい役者だ。
そしてもう一人、近しい力を持つ俳優が段田だ。ローレンス役として登場するが、ただそれだけで、観客の視線は段田の動きからいつしか目が離せなくなる。隣で福田転球というこちらも相当なパワーヒッターが何かと段田に絡むが、段田の“ただそこにいて呼吸をしているだけで彼の世界が生まれる”そんなニュートラルな力との対比が非常に心地よい。この段田が桐山、柄本らがこの後どのように絡んでいくのか気になって仕方がなかった。
稽古の一部公開が終わったあとで行われた囲み会見には桐山、柄本、八嶋、段田が鄭と共に出席し、今の心境などを語った。
(左から)鄭義信、段田安則、桐山照史、柄本時生、八嶋智人
登場後すぐ行われたフォトセッションでは、真面目に笑顔を見せていたのもつかの間、「ロミオとジュリエットでラブラブなポーズを」とリクエストが飛ぶと、「待ってました!」とばかりに桐山と柄本がしっかりと腕を組み愛を見せつける。その隣で八嶋が一人両手でハートマークを作り少し昔風なラブポーズを見せると、さらに段田が鄭の身体に手をまわしてこちらもラブラブアピール。常に笑いが絶えない撮影を経て会見が始まった。
桐山照史
まずは、この舞台はどのような物語なのかと説明を求められた桐山は「めちゃくちゃ美しい世界の『ロミオとジュリエット』です。間違いないでしょ! でもロミオ役をやらせていただけるという話を最初に聞いた時は、『泣くロミオと怒るジュリエット』というタイトルを見て、オール関西弁の台詞を台本で見て、鄭さんと初めてお会いして、舞台セットを見て、僕も全部が驚き、驚きでした。『ロミオとジュリエット』ってこんな描き方もできるんだって!」と熱を込めて語る。
ジュリエット役を柄本がやるということを聴いた時は「『時生!?』と素直に口にしました」と言って柄本と共に大笑い。「僕のイメージですが『ロミオとジュリエット』という物語はすっごくカッコイイ人とすっごいカワイイ人がやるイメ―ジがあったので……一応僕もジャニーズの人ですから……」と桐山がややトーンを落とし気味に話すと「ジャニーズの中では(レベルが)低い方ですよ」と遠慮なしに柄本が突っ込み「やめとけ!」と桐山がすかさず切り返して皆で笑っていた。
桐山から見た柄本のイメージは「“ザ・男の子”でした。初めて会った時、彼は雪駄を履いていたんです。そして稽古中は裸足ですから。そんな“ザ・男の子”という時生くんが女の子を演じるとどうなるんだろうと期待していました」と振り返っていた。
一方、柄本は自身がジュリエット役という話を聴いたと聞き「マネージャーさんに二度聴きしました(笑)。どうしようーと思って、いただいたお仕事は絶対断らないというポリシーなんですが、初めて『一度、考えてみたい』って言いました。僕がジュリエットかあ、って思ったので。でもまあ頑張ればどうにかなるか、と思い引き受けました」と笑顔を見せた。
柄本から見た桐山の印象はというと「親父(柄本明)と兄ちゃん(柄本佑)が先に共演していたので、桐山くんの噂は前々から聴いていたんです。兄ちゃんは『桐山くん、役者だねえ』って言っていたので、(今回の共演が)楽しみでしたね」と嬉しそうに話した。
「桐山くんはどっちの目を見ているの?」って聴くんですよと語る柄本さん。
そんな初共演の二人だが、柄本は「ビジュアル撮影の時に、恋人役なので見つめ合って欲しい、とリクエストが入り、男同士なので見つめ合うってのは~と思っていたら(桐山が)『どっちの目を見るの?』って言ってくるんです」その言葉にドキッとしたと語る柄本。桐山は素直に「どっちの目を見るタイプなんかな、って思って」と返すと、動揺した柄本は「み、右。って答えました(笑)。もうその段階で桐山を“見させられて”いるんです。いやもうカッコイイなーって思いました」と感服していた。
「向かい合ってこう肩を抱いて……」と実演する桐山さん。イケメンですね!
その流れで、八嶋から「桐山くんは時生くんを稽古中もそれ以外でも女性として扱っていましたね。休憩時間でもパッと手を差し伸べていたり」と桐山の“紳士ぶり”が語られる。すると桐山は「人に言われて知ったんですが、僕はこう向かい合って肩に手をかけて見つめ合っている時に暗転になると、ポンポンって相手の肩を無意識に叩いて『お疲れ様』ってやっているんですって。それがクドキのテクみたいだと言われまして~」と笑うと、八嶋は「今までモテてきた男のやり口だなって思って」といじっていた。
柄本と八嶋はメインキャラクターの中ではたった二人の「女性」を演じる。桐山は八嶋の女性ぶりに「田舎の母ちゃんを思い出します」といじり返す。「マキューシオ役の元木くんがアクロバットを芝居に入れるからと聴いてどんなものをやるのか、試しに目の前でやってもらったんです。くるんと回った時、帽子が床に落ちたのを八嶋さんは頭が床に落ちたと勘違いされたんです。となると男性なら普通『危ない!』って手が出ると思うんですが、八嶋さんは『キャア!』って(女性がやるように)両手で自分の顔を隠す動きをしたんです。その姿を見て『さすが、役が入るのが早いなあー』って思ったんです」この発言に八嶋は「関西のちっさいおばちゃんが中に入っててねえ」とおばちゃん風にリアクション。
白髪頭と白髭が意外と似合う段田さん
段田は若いキャスト陣と共に仕事をすることについて「『ちゃんとできんの?』って気ぃがあったんですが、いやいやもう『僕は出ないほうがええんちゃうの?』って思いました。アンサンブルの方も面白いなあと思いまして、もう自分はお爺さんのような気持ちで『もう、僕はええんちゃうの』って」と言うと他メンバーが「いやいや」と抑えていた。
段田としては柄本の女装姿には驚きを隠すことができず、「そのうち竹内まりやさんに見えてきた」と爆弾発言。その言葉を受けて柄本はその場で竹内まりや風に振り返り、一同大笑い。「竹内まりやさんに失礼があったら謝ります」と段田がニヤリと楽しんでいた。「でも男が女役をやっていることを忘れてしまうんです。美男美女がやるのではなくこっちのほうが『ロミジュリ』をやる本質が出ますね」と見どころを語っていた。
時生さん、美しいですね。
鄭さんの作品は笑いと涙のバランスが絶妙! オススメです!
鄭義信は「今回シアターコクーンで芝居をやるのが初めてだったんですが、シェイクスピアの時代から男性ばかりでやっていた芝居をここでやってみたかったんです。でも実際男性だけでやると楽屋が部室のニオイになるのでは(笑)とか不安に思ったんですが、男だけだからこそ生まれるパワーだったり、繊細な愛情表現などが生まれたり、これは逆に面白い作品になるんじゃないかなって。桐山くんは男らしいし、時生くんで最後泣かされることになろうとはと思うくらい二人はベストカップルになっていますよ」と自信たっぷりに語っていた。

最後に桐山が代表して「『ロミオとジュリエット』を関西弁で、全員男性で、ということですので観た人は違和感を感じるかもしれませんが、観ているうちに全部のキャストが愛おしくなっていて、最終的には何かを感じ取ってもらえるんじゃないかなと。僕が勝手に言っていることなんですが『世界一不器用なロミオとジュリエット』をぜひ観に来ていただきたいです」とアピールして、会見を締めた。
取材・文・撮影=こむらさき

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