《劇団「地蔵中毒」寄席》の演目をプ
ロ落語家の立川がじらが解説

《劇団「地蔵中毒」寄席 vol.1~ふやけ寿司再生工場~》が、2020年2月1日(土)14:00&18:30、東京・渋谷のユーロライブで開催される。このイヴェントでは、劇団「地蔵中毒」のメンバー6名(大谷皿屋敷、栗原三葉虫、関口オーディンまさお、かませけんた、東野良平、立川がじら)による落語と、ゲスト芸人「春とヒコーキ」(14:00の回)、「まんじゅう大帝国」(18:30の回)による漫才、そして、劇団「地蔵中毒」による演劇(作・演出:大谷皿屋敷、出演:武内ビデオ、宇都宮マーチ、hocoten、礒村夬、他)が披露される。
そして、当日おこなわれる落語の演目が、(ひとりを除き)決定した。
・関口オーディンまさお:『熊の皮』
・かませけんた:『牛ほめ』『がまの油』(※昼夜にどちらか各一演目づつ)
・栗原三葉虫:『天狗裁き』
・東野良平:『うどん屋』
・大谷皿屋敷:『酢豆腐』『火焔太鼓』(※昼夜にどちらか各一演目づつ)
・立川がじら:未定
大谷皿屋敷(劇団主宰)とかませけんたは、昼夜で異なる演目を上演するので、両ステージをコンプリートする楽しみも広がった。そして、出演者のひとりであり、立川流二ツ目(立川志らく門下)のプロ噺家である立川がじらから、上記各演目に関する解説が届いたので、以下に紹介する。
立川がじら  (撮影:塚田史香)
<立川がじらが劇団「地蔵中毒」寄席の演目を解説>
立川がじらです。
いよいよ劇団「地蔵中毒」寄席も今週末に迫って参りました。私、本職の落語家ということで、出演者の演目について簡単に見所などを解説いたします。
■関口オーディンまさお『熊の皮』
劇団「地蔵中毒」公演では、オープニングの前説から本編の中核となるキャラクターまで、欠かせない存在である関口オーディンまさお。昨年に結婚、年明けに父親となり、ますます生きる歓びを全身にみなぎらせるオーディン。
演目は『熊の皮』。夫婦のお話です。女房の尻に敷かれる亭主が出てきます。「地蔵中毒」で散々な目に遭うキャラクターを数々演じてきた役者ですから、面白おかしいこと間違いなしです。現役サラリーマンが描く人間関係のリアルは、噺家のそれを超えていくことでしょう。ちなみに、誕生したお嬢の名前は“関口ヴァルキューレまさこ”ちゃん。是非とも「地蔵中毒」で子役デビューを!
関口オーディンまさお  (撮影:塚田史香)
■かませけんた『牛ほめ』『がまの油』(※昼夜にどちらか各一演目づつ)
舞台上の狂気はもはや俳優のそれでなく、月明りに浮かび上がる下手人のような目をしていることで知られている男、かませけんた。落語だとどんなふうに語るのでしょうか。
『牛ほめ』はお馴染み落語世界のスター与太郎さんが登場。登場はほのぼのネタですが、かませの演じる与太郎は、誰よりも危険です。座布団から飛び出してくるようなスリルをお客さんは味わうことでしょう!
『がまの油』は油売りの口上でお客を引きつけ、後半に酔っぱらっての言い立てをしくじるという構造の噺です。かませ自身は素面なのでご安心ください。実はここに、彼の器用さと工夫の詰まった細やかな配慮を確認できると思います。
かませけんた  (撮影:塚田史香)
■栗原三葉虫『天狗裁き』
たぶんアマ落語界でいちばんデカいのですが、誰よりも優しい生粋のパワープレイヤーです。アスリートのような肉体から客席の脳天目がけて振り落とされるセリフの数々は、観客の想像力を破壊して呆然とさせます。親切な巨神からの暴力的なプレゼントです。
その栗原三葉虫が『天狗裁き』をやるとなれば、天狗様がハマり役となること間違いなしです。いつも、噺に思いもつかない広がりを持たせ、豊かな世界を見せてくれます。笑顔あふれる暴力をお楽しみください。
ちなみに、私立川がじらが普段やっている古典落語の『たいこ腹』は、栗原さんの考案した演出を頂いて取り入れています。お陰さまで好評です。
栗原三葉虫  (撮影:塚田史香)
■東野良平『うどん屋』
大谷皿屋敷の学生時代からの相棒であり、「地蔵中毒」の顔。小さな身体から繰り出す無際限の大きな動きが作品の空間を見事に満たす、東野。その軌跡は黄金色に輝く麦の穂のようで、今では仲間内で“金麦”と呼ばれています。
【金麦CM】後半に「美味そうです」と言う男にご注目ください。

『うどん屋』は地蔵中毒寄席のラインナップの中でも最難関の演目です。真冬の寒さ、夜の静けさ、あったかいものの有難み。それらの間に生きている人々を、どう描き出すか。地蔵メンツの中では、東野さんしかできないでしょう。東野さんの舞台上での器用さは群を抜いており、様々な顔を演じる客演の機会が多いのも頷けます。冬の夜を、じっくりお楽しみください。
東野良平  (撮影:塚田史香)
■大谷皿屋敷『酢豆腐』『火焔太鼓』(※昼夜にどちらか各一演目づつ)
我らが主宰、ラスボス大谷でございます。狂気の渦巻く世界へようこそ。いつも意味なし脚本を書いては人にやらせるばかりの笑いの根源が、一席申し上げます。
『酢豆腐』は、腐った豆腐が出てくる噺です。もうここだけで、「地蔵中毒」の世界への通路が見えます。これぞまさに地蔵中毒ワールドの全面展開です。いつもご覧頂いている歪んだ世界を、落語でお届けいたします。若旦那のキャラクターにも注目してください。
古典落語『火焔太鼓』では超非日常の事態に見舞われた夫婦を演じます。貧乏所帯のディテールは、電気ガス水道停止中に置き引きに遭いクレカを不正利用された大谷皿屋敷ならではの臭いが立ち上ることでしょう。さてこの夫婦には、夢のようなことが起こるのですが、大谷版ではどんな悪夢になるのでしょうか。
大谷皿屋敷  (撮影:塚田史香)
■立川がじら 未定
さて、立川がじら。私の演目、まだ決まっておりません!!
どうしよう。こんな異形の演者に囲まれる機会は滅多になく、逃げ出したい気分です。みんな、すべってくれればいいのになあ。
立川がじら  (撮影:塚田史香)
 (撮影:塚田史香)

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