純矢ちとせらによる新しい挑戦! 何
度見ても新しい発見ができる、イマー
シブシアター『サクラヒメ』稽古場レ
ポート

2020年1月24日(金)より開幕する、イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~。歌舞伎の桜姫東文章をモチーフに、転生し、花魁となったヒロイン・サクラヒメが運命の相手を探すオリジナルストーリーだ。
この作品は、昨年リニューアルした京都・南座の新機構を活かし、1階全体をフラットにした状態で行われる。1階エリアであればキャスト陣の息遣いまで感じられる至近距離で演技やダンスを見るという贅沢な体験ができ、2階・3階エリアであれば、物語全体を俯瞰しサクラヒメの運命の相手を決める裁決(投票)に参加することが可能。
観客参加型の新しい観劇体験ができる本作の公演初日まで1ヶ月を切った先日、2日間にわたって稽古場にお邪魔させていただいた。
稽古がスタートして作品の全貌が掴めてきたタイミングで、改めて意気込みや見どころ、メッセージを伺ったためを紹介しよう。
■サクラヒメ:純矢ちとせ
皆さんが素晴らしすぎて日々感動しています。タイトなスケジュールの中で食らいつきながらお稽古していますが、カンパニーの温かさに助けられていますね。
イマーシブシアターに出演するのは初めてですが、想像を遥かに超えている作品です。イマーシブパートは他の方のシーンを観られないので、お稽古中に「今のうちにいっぱい見ておこう!」と楽しんでいます(笑)。間近で皆さんのパフォーマンスを拝見して刺激を受けていますし、とても勉強になっています。
前世を背負って生まれてきたサクラヒメが出会う5人の男性はみんな個性的で魅力がたっぷり。「お客様に運命が委ねられている」という、まさにその通りなストーリーを楽しんでいただきたいです。
胸を張って「楽しんでもらえる」と言える舞台になっています。稽古中に思ったのは、本当に目が足りないなということ。お客様もきっと、一度じゃ足りないと思います。二度、三度、四度と繰り返し楽しめるはずなので、ぜひ観に来てください。お待ちしています!
陰陽師:川原一馬
壮大な物語を題材にしたオリジナル作品です。僕たちは役者として個々で出演していますが、アトラクションの一部という感覚で観ていただけるんじゃないかなと。あとは、音楽も壮大ですし、キャストみんなのスキルも高い。このレベルのパフォーマンスを同時進行で観せることができる作品は中々ないと思います。お客さんが入ったら変わるところもたくさんあると思うので、ドキドキもしています。
2階エリアの方にはタップダンスを近距離で見ていただけるので注目してほしいです。陰陽師らしく呪文を使うシーンなど、1階エリアのお客様を巻き込むところもあるので、そこも楽しみにしていただけたら。
自分は役者として幅広いジャンルの作品をやらせていただきましたが、この作品もかなり特殊な、新しい挑戦。演劇的な部分もあり、ザ・エンタメな要素もあり、今の日本では中々体験できないと思うので、ぜひその体験をしに、一度遊びに来てほしいです。
浪人:荒木健太朗
稽古が進んで、自分が置かれている情況がよく分かってきました。とにかくチームワークが大事だと改めて思いましたし、みんなで作品を作っているのを実感しています。
刀を使ったパフォーマンスに関しても、剣術指南の方のアドバイスを受けて安全に配慮しつつ、結構思いっきり振っています。1階席であれば、ずっと追って欲しいです。言葉がないぶん色々考察してもらう楽しみもあると思いますし、僕は僕で一つの物語としてやるので。
それと、上の階での刀の使い方は考え中ですが、浪人は傘売りで生計を立てている設定なので、上の階には傘を売りに行きます。そちらのお客さんたちとのやりとりもあると思うので楽しみにしていただけたら。
あとは、南座でのイマーシブシアターということで、見たことのない方がたくさんいると思います。僕らのチームワークだけじゃなく、お客様とも一緒に作っていく気持ちでやりたいなと。僕らも能動的にいろんなことを提供するので、お客様もそれに乗っかってほしいですね。とにかくたくさんの方に見てほしいなと思っています。
義賊:世界(EXILEFANTASTICS FROM EXILE TRIBE
舞台に挑戦してみたいという思いがありましたし、南座という歴史ある場所で豪華なキャストの皆さんと共演できる貴重な経験ということで、出演が決まった時はとても嬉しかったです。魂を込めた芝居とダンスを魅せたいと思います!
『サクラヒメ』はお客様と一緒に作っていく作品なので、ぜひ楽しんで体験してほしいです。稽古は大変な部分もありますが、毎日楽しいです(笑)。DAZZLEさんのチームワークや演出は勉強になりますし、キャスト間でもいいチームワークが生まれている気がしますね。
義賊は豪快だけど、どこか茶目っ気があり、哀愁も漂わせているキャラクター。わりと自分の素と重なるところがあるので演じやすいです。漢らしさと子どもっぽさが入り混じった雰囲気をダンスで表現出来たらなと思います!
今回、個人ではかなり久々の舞台出演。LIVEとは違う感覚で観ることができると思います。何より一階席はとてつもなく近い距離なので、すごく楽しんでもらえると思いますね(笑)。気持ちと魂のこもった舞台になると思うので、ぜひお越しください!
鳶:平野泰新(MAG!C☆PRINCE
僕はこの『サクラヒメ』が初めての舞台なので、覚えるのに必死で、まだ「イマーシブ」についてよく分かっていないんです(笑)。通し稽古を重ねる中で想像を膨らませて、一つひとつのシーンをしっかり組み立てていきたいなと。別々にパート練をしていてもワクワクするし、全部集まったら凄いことになるぞ! と楽しみです。
鳶のキャラクターは結構元気で溌剌としているので、自分に近いところがあるなと思います。あとは、男らしさを立ち姿や仕草などの細かいところで工夫して表現しているので見てほしいですね。
自分で言うのもなんですが、間近で見るアクロバットはかなり迫力があると思います。2階・3階エリアの方も、俯瞰で舞台全体の空間を見る楽しさがあると思います。その中で僕は極力高く飛べるように頑張りたいです。
初めての舞台で不安もありますが、皆さんに楽しんでいただけるように頑張るのでぜひ足を運んでください!
町医者:Toyotaka(Beat Buddy Boi)
僕がストリートを16年やってきた中で、全てが初めてというくらい初めてのことだらけなのですごく良い刺激をいただいています。ダンスでいうと三拍子やジャズの要素などもあって挑戦が多いですし、そこで自分が培ってきたものをどう活かすか考えるのが楽しいですね。物語は同時進行で進んでいくので整理が大変ですが、ようやく掴めてきてワクワクが増しています。
あとは、ずっと相方的な感じでやっていた世界と一緒に出るのも大きいです。普段の僕らの延長みたいなシーンも用意していただいたので、それにも注目してください。
町医者は結構クールなキャラクター。周りは結構情熱的なんですが、僕は内に秘めている感じなんです。1階エリアのお客様にはそれをダンスからダイレクトに感じ取ってもらえるかなと。細かくて繊細な動きにも注目してください。2階エリアでは、目があったらそちらに行くので、目を逸らさずに見ていただけたら、ドキドキさせる自信があります!
日本の舞台シーンの中で今一番尖っているものを観られると思います。演者も素晴らしいですし。何も心配せずに、一人でも二人でも三人でも楽しめるのでぜひ楽しみにしていてください。食らわせます!(笑)
盗賊:高田秀文(DAZZLE)
始まる前から期待とドキドキがありましたが、最初は点と点だったものが、稽古を通して段々線になり繋がってきた感覚です。
自分も出演者ではありますが、「これは本当に楽しみ、最高傑作になるぞ!」という期待感が出てきました。良い意味でどうなるかわからないワクワクさがありますね。稽古をしていて、モチベーションがすごく高まっていますし、皆さんにいい芝居を披露できると思います。
盗賊は悪者役ですが、なぜこの役が存在するのかなども考えて頂ければ。実はこうだった!ということもあると思います。
イマーシブシアターは、観客参加型の作品なので、お客様である皆さんも一緒に作品を作っているという気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです。初めての方は戸惑うこともあるかと思いますが、積極的に動くことをオススメします。そうすれば自然と没入感を味わえるはずです。
雲上の導者:新里宏太
僕は1階エリアには降りず、キャストのみんなとの絡みがないので、実はまだ稽古に参加するのも数える程度。見るもの何もかもが新鮮です(笑)。お客様と一緒に「空間」を楽しむのもイマーシブシアターの魅力だと思うので、今を生きるキャラクターたちの様子を毎公演楽しんでほしいですね。
雲上の導者は神に近い立場を演じるので、1階エリアで行われる人間界の波乱万丈なストーリーとは違う神秘的な世界感を作りたいと思っています。あと、本編ではほとんど言葉を発しませんが、僕と純矢さんだけは毎回生で歌います。そこにも注目してもらいたいですね。
『サクラヒメ』は、何回観ても楽しめると確信しています。1階は同時多発的な物語を楽しめるし、2・3階エリアはそれを俯瞰できる。イマーシブシアターを体験したことのない方が多いと思いますが、僕らと一緒に新しい風を感じていただけたらと思います。

稽古前には、南座と各キャストの模型を使って各々の動きを説明するというユニークな場面が。イマーシブシアターでは1階エリアの空間全てに加え、上階も使用して同時多発的に物語が進行するため、出捌けのタイミングや動方を細かく指示していく。
稽古がスタートしてまず行われたのは、5人の男たちとサクラヒメのシーン。ほとんど台詞のない形で進んでいくが、それぞれの個性・関係性は表情や動きからしっかり読み取れる。台詞がない分、彼らの気持ちについて自由に想像を膨らませ、「誰がサクラヒメにふさわしいか」を考えられるはずだ。
純矢は品がありながら気取らない立ち居ふるまいと可憐な笑顔でサクラヒメを魅力たっぷりに表現。神秘的な空気を纏う少しキザな陰陽師、クールだが人間臭いかわいらしさも感じさせる浪人、飄々としてお茶目な義賊、屈託のない笑顔と元気さが眩しい鳶、柔らかく知的な雰囲気の町医者……と、男たちも個性豊か。
サクラヒメを中心にストーリーが進む裏で、他の誰かがパフォーマンスをしていることもあり、彼らの恋の行方だけでなく、一人ひとりの生き様に注目する楽しみ方もあると感じた。
その後はエンディングシーンの稽古が行われ、クライマックスに相応しい盛り上がりを見せる。
同じダンスを踊っていても、しなやかさや力強さ、優美さなど、キャストによって受ける印象が違うのも見所と言えるだろう。各々がキャラクターに合わせた表現を考えて形にしているため、視点を変える度に新鮮な驚きを得られる。
アンサンブルメンバーによって街の風景や人々、盗賊の手下などが表現されており、次々に場面が切り変わる様子も楽しい。ユニゾンで動いたかと思うと個別の動きの組み合わせになり、またユニゾンへ……と目まぐるしくフォーメーションが変わっていく様はまさに圧巻。本番ではさらに息の合った美しいパフォーマンスが見られることだろう。
通し稽古では、まるでジオラマのように同時進行で進む物語についつい目移りしてしまった。
純矢がアンサンブルを率いて街を練り歩いたり、荒木による殺陣が行われたり、平野が纏(まとい)を用いたりと、「和」の要素もたっぷり。イマーシブパートではあちこちで同時にドラマが進むため、「今あっちで面白そうなことをしていたのに見逃した!」「この人物にはこういう一面もあるんだ」と、どんどん引き込まれる。これは確かに、新しい物語を見つけ、お気に入りのシーンを確認するために繰り返し観たくなるだろう。また、オリジナルストーリーではあるものの、稽古を見る中で、「ここは『桜姫東文章』のあのシーンをモチーフにしているのかな?」と思う部分もあり、想像が膨らんでいく。台詞は決して多くないが、だからこそ伝わる魅力や見えてくるものがあり、胸を打つシーンも多くあった。

2階・3階エリアだから観られるものがあるのも嬉しいポイント。川原による軽やかながら迫力あるタップダンスを始め、5人の男たちは上階にも登場する。
さらに、新里が澄んだ美しい歌声を惜しみなく響かせ、「雲の上」という世界観を作り上げてくれるため、1階エリアとはまた違う没入感が得られるはずだ。
本作は2020年1月24日(金)より2月4日(火)まで、南座にて上演される。
レベルの高いパフォーマンスや華やかな世界への没入感を楽しめるだろう本公演を、ぜひ体験してほしい。

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