生田斗真「常に斜めの状態でヒーヒー
言いながら演じていた」と笑顔 いの
うえ歌舞伎『偽義経冥界歌』記者会見

2020年2月15日(土)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて、その後4月4日(土)から福岡・博多座にて上演される「2020年劇団☆新感線39興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』」。本作の記者会見が1月21日(火)都内稽古場にて行われ、出演する生田斗真、りょう中山優馬藤原さくら、粟根まこと、早乙女友貴、山内圭哉、三宅弘城、橋本さとしが脚本家の中島かずき、演出のいのうえひでのりと共に出席した。
本作は“奥州三代”“義経黄金伝説”をモチーフに、主人公の偽義経こと源九郎義経を中心としながらもまるで群像劇のような、それぞれの人間ドラマをも堪能でき、もちろん新感線ならではの笑いたっぷり、殺陣、アクション満載の王道エンターテインメント作品となっている。
既に昨春、大阪、金沢、松本公演を経ているだけあって、会見場に登場したキャストたちは皆、気心知れた仲という笑顔を見せながらの会見スタートとなった。
なお、この日は全員揃いの鯉口シャツを着ていたが、実は生田が考案したもの。「チームワークをあげる意味もありまして、こういうシャツを作りました。実はりょうさんの旦那さん(BRAHMANのTOSHI-LOW)がライブグッズで作っていて『これ、いいなあ』と思ってTOSHI-LOWさんに『パクっていいですか?』と相談してOKいただいたんです(笑)。Tシャツと違ってかつらをつけたままでも支度できるのでいいんですよ」と役者ならではの使い勝手の良さを説明していた。
中島かずき
まずは、中島が、昨年の公演を通じて「『スサノオ~神の剣の物語』以来、生田くんにどういうものをやってもらいたいかなと考え、結局おバカな役になってしまい、あいすまんと思っています」と語る。今回の作品については「想定以上に光溢れる作品となりましたね。2020年度版はとにかく短くするようにとプロデューサーからお達しがあり、いろいろなところをちょこちょこ削っています」と述べる。
いのうえひでのり
いのうえも「この作品の前は豊洲のほうでぐるぐる回っていたんですが、久しぶりのプロセニアム劇場です。斗真とは「SHINKANSEN☆RX『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』」以来3年ぶり。また中島かずきの新作は『蒼の乱』以来5年ぶり、いろいろな意味でドキドキしていたんですが、大阪で公演を開けてみたらお客様も非常に喜んでくださって」と嬉しそうに振り返る。が、「ただ気合い入れ過ぎて詰め込み過ぎて、劇団史上いちばん立ち回りが多い芝居となってしまった。こんなはずじゃなかったなあと(笑)。若手を中心にした芝居と考えて、八百屋舞台、階段、と作っていたら、2幕でことのほか、うちのおじいさんたちが舞台上を駆け回る事になっていて」というと後列に居並ぶおじいさんたち、もとい、年長者たちが声を出して大笑い。「その点を考えつつ、10分くらい短くなると思います」と挨拶を締めた。
生田は、主人公・後に“偽義経”である源九郎義経(みなもとのくろうよしつね)と名乗ることとなる奥華玄久郎国衡(おうがのげんくろうくにひら)役。昨年の公演を振り返り「たくさんのお客様に喜んでいた頂けたなという実感を持ったまま今日という日を迎えています。いのうえさんが作りたい劇団☆新感線であり、お客様が観たい劇団☆新感線の舞台ができたと思っています」と自信を見せる。続けて「本作は、いのうえ歌舞伎でしか見られないスペクタクルになっていますし、いのうえさんがおっしゃっていたように、階段、斜めの舞台、また階段、斜めの舞台で。我々はつねに斜めの状態なんですが、ヒーヒー言いながら演じていました」とコメントした。
斜めになっている様子を再現する生田斗真
黄泉津の方役を演じるりょうは、「各劇場によってその土地土地の空気も感じながら新たな発見もありました。今年も新たな発見があるかと思います」と挨拶し、隣に座る生田について「素晴らしい座長で。全体を見ていらして『りょうさん、ここはこうやったらもっと面白いんじゃないか』とか伝えてくれますし、本当に頼りになります。バカとは言いませんがとてもチャーミング。そのチャーミングなところが、斗真くんの魅力だと思っております」と笑顔で語っていた。
りょう
国衡の弟である奥華次郎泰衡(おうがのじろうやすひら)役を務める中山は、劇団☆新感線初出演。「昨年の公演がとても楽しくて、終わってしまうのが寂しくて。もっと演じていたいと思っていたんです。今回60公演以上ありますので楽しみです」と満面の笑み。ちなみに稽古場では、「はじめはビビっていたんですけど、稽古場に入るといのうえさん筆頭にゲラゲラ笑いながら作っていて、面白いことを作り出す現場というので毎回稽古に行くのが楽しいです」と嬉しそう。
藤原さくら
大陸渡りの歌うたい静歌役の藤原は初舞台。「この作品では歌が凄く鍵となっているんです。今回は昨年は歌わなかった新しい曲もあるので、精一杯歌わせていただきます」と述べ、元々新感線が好きだったと藤原は「皆さんがあたたかく見守ってくださいました」と微笑んでいた。
粟根まこと
源頼朝役の粟根は「正室の北条政子と側室のおかめの方の間で振り回される情けない頼朝を演じます」と役どころを説明し、「若い力に溢れているのでその分立ち回りが多かったのですが、2020年度版ではそれをそぎ落としシンプルにしたうえで、我々年嵩組も少し楽にさせていただけています。まあ私は2手しか(立ち回りが)なく、あとは逃げ回る役でしたが」としれっと語って笑いを誘っていた。
山内圭哉
常陸坊海尊役の山内は「豊洲の方でぐるぐる回っていた新感線さんが、ようやく通常営業というか、何かこう、懲役が明けたような感じで、非常に開放感に溢れています」と言うとキャストが皆笑い出す。そして隣に座る三宅について「三宅さんだけが初めてなんです。僕らも一度やってていますからついつい置いてきぼりにしてしまうんです。『何でこれ、できへんの?』って。この状況が面白くてね(笑)」と役の上では相方である三宅を早速いじっていた。
早乙女友貴
遮那王牛若役の早乙女は「新感線史上いちばん立ち回りが多いということですが、昨年の29公演で7kgくらい体重が落ちていたんです。本当にガリガリになっていて、僕が(インディ高橋演じる)ひからびさんみたいになってしまって」と苦笑い。
三宅弘城
東京・福岡公演から参加する武蔵坊弁慶役の三宅は「今まで新感線でやらせていただいた役はうつけものとロボットばかりでしたので(笑)、今回比較的まともな役をやらせていただきます。錫杖という長物での立ち回りも初めて、博多座も赤坂ACTシアターも初めて、50歳過ぎてここまで初めてづくしってのはなかなかないなと。その幸せをかみしめながら一人苦戦しています」とコメント。「まともな人の台詞を喋るのがこんなに難しいなんて。凄く恥ずかしい感じ」と口にすると、これまでの三宅の芝居を知る山内や粟根らが手を叩きながら笑っていた。
橋本さとし
最後に奥華秀衡役を演じる橋本が「新感線で僕の中でスイッチが入るのは何よりロック魂なんです。新感線には僕の好きなものが詰め込まれています。ロック、かっこいい、笑い、ちょっとグッとくるところなどがいっぱい詰め込まれているのがこの作品です」と『メタルマクベス』以来の出演の喜びを口にする。
ふと思い出したように、橋本が「今回博多座があるんですが、僕今までいのうえさんから本気で『死ねー!』と言われた事が2回あるんです。そのうちの1回が初めての博多座で、その時出とちりしてしまい、いのうえさんも演者として出演していたんですが、僕を追いかける場面で僕が出ていないので、延々舞台上で「待て~!」と一人で走り回らせてしまった(笑)。その後、楽屋で形相の変わったいのうえさんが『お前、何であの時出てこなかったんだ!』『ケータリングの女の子としゃべってまして』その途端『死ねー!』と今まで聴いた事がないハイトーンボイスで怒られました(笑)。今回はそのリベンジという事で挑戦したいです」と古き良き(?)思い出話をすると一同大笑い。
ちなみに2回目は「稽古中、橋本じゅんさんとウォーミングアップをしている時、関節技を決め合うというウォーミングアップをしていたんです。その時じゅんさんがヒールホールドをがっちりキメてきたので悔しくて耐えていたら『ミチッ!』っていやな音がしまして(笑)。あ、ヤバイと思ったタイミングで河野まさとくんが「さとしさん、出番です」と声をかけてきたので、脚をひきずりながら稽古場に入ったら、いのうえさんに事情を聴かれ『死ねー!』って。それが2回目でした(笑)」その話に皆、笑いが止まらず。誰よりもいのうえが大笑いしていた。
いのうえさんに「死ねー!」と言われた瞬間を再現する橋本さん(笑)
そんな橋本さんを見てニコニコ笑顔のいのうえさん

昨年の公演以来、久しぶりの再会という事で生田は「意外とあまり時間が経ってないなという感覚ですね。稽古も思い出し稽古をしているんですが、身体もアタマも冴えていて意外と覚えています。身体にしみこんでいますね」と余裕の表情。一方中山は「なかなか大変でした。シミュレーションしてから稽古場に入りました。自分では意外と覚えていたんですが、いのうえさんの演出が変わるので」と言うと、りょうも「そうだよね。ちょっとずつ変わるので前の動きをしてしまって『あ、しまった!』ってことも。でも確実に面白くなっていますね」と胸を張っていた。その点については生田も「(前回より)観易くなっていると思います。立ち回りも、物語の流れも」と分析。
藤原は前回より歌が増えたそうで、「歌によって物語が次のステージに進んでいくので、気を引き締めて歌わせていただきました」と微笑みを浮かべる。だが「最初はものすごく緊張して。普段のライブとは全然違う感覚になりました。が、斗真さんは稽古の時から自分の殺陣もあるのに稽古終わりに居残りで私のアクションに付き合ってくださって。凄く優しい座長でした」と言うと生田がまんざらでもない笑顔を浮かべていた。
生田は「僕が初めて新感線に出会ったのが17歳の頃ですが、それから17、18年くらい経っているんですけど、いのうえさんの中では僕はまだ高校2年生くらいで年齢が止まっているんじゃないかな」と想いを馳せつつ、準劇団員と呼ばれる事について「親せきの子どもが大きくなって戻ってきた感じ、と言われています」と照れ笑い。
一方、生田と初共演、弟役を演じる中山は“兄”生田について、「ほとんど完璧なんです! ちょっとムカつくくらい(笑)点数にすると99点。(減点の)1点は舞台用のお化粧が下手な事。毎日、顔が違うんですよ」と暴露。生田は「チークとかをすると、こっち(右)が小さくてこっち(左)は大きかったりするんです」と打ち明けると、りょうから「練習しなかったの? この8ヶ月の休みの間に……」と突っ込まれ、「今回は練習してないですね。ちょっと怖いですけど、そのへんも見どころかと」と開き直っていた。
逆に、中山の知られざる姿も生田から暴露される。「毎回、稽古場に手作りのお弁当を持ってくるんですが、男子の更衣室にいったら壁に向かってこっそりおにぎりを食べていたんです」。この話に中山は「なんか恥ずかしくなってきちゃって。あいつ自分で作ってきたぜ、みたいな空気が……。作ってきたはいいんですけど、人前で食べるのが無性に恥ずかしくなって」と真っ赤になっていた。
中山さんと生田さんの顔が似てきた、という声も。「さとしさんと共に濃い顔一族です」
劇中では生田と中山が一緒に歌う曲もあるそうで、「兄上と一緒に歌わせてもらうので。緊張しますね」と中山が心境を口にすると、生田は「『NYC』なのに?」とかつて中山が参加していたユニット名を出してイジりだす。中山が「ほぼ活動してない名前を出すのやめてください!」と抵抗するとさらに生田は「『ユメタマゴ』(NYCのシングル曲)?」と追い込み、中山はたまらず「昔の曲名でいじってくる!」と声を上げ、二人で大笑いしていた。その後1月22日に同時CDデビューする後輩、SixTONESとSnow Manの話題になっても生田が「デビュー曲『ユメタマゴ』ね」と再びいじり、その瞬間、中山が「違う! 僕の昔の曲やから! いじらんといて~卵割れそうやわ!」と笑いを誘っていた。
最後に生田は「長い公演になっております。健康第一で後まで乗り切りたいと思います」と意気込みを見せていた。
取材・文・撮影=こむらさき

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