「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シ
ネマシーズン」英国ロイヤル・バレエ
団と絆の深い振付家3名が贈るトリプ
ル・ビル~魅力満載の3演目の見どこ
ろ一挙紹介

英国はロンドン、コヴェント・ガーデンの一角にあるロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)で上演されたロイヤル・バレエ団およびロイヤル・オペラによる世界最高峰のバレエとオペラを、TOHOシネマズ系列を中心とした日本全国の映画館で鑑賞できるのが『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン』だ。すべての上映作品に、著名な案内人による舞台裏でのインタビューや特別映像等が付き、美しい映像や迫力ある音響によって、まるで本物のライブを観劇しているような臨場感を味わえる。
【動画】「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2019/20」予告編

そして、2020年1月17日(金)からは、英国ロイヤル・バレエ団と絆の深い振付家3名が贈るトリプル・ビル『コンチェルト』『エニグマ・ヴァリエーション』 『ライモンダ 第3幕』が上映される。ROH今シーズンにおけるバレエ作品のトップを飾る本作では、タイプの違う3つの演目を堪能することができる。
Artists of The Royal Ballet in Concerto (c) Johan Persson ROH 2010
第1の演目は、イギリスの振付家ケネス・マクミランによる『コンチェルト』だ。初演はベルリン・ドイツオペラバレエ団で、1966年にマクミランが同バレエ団の監督に就任した直後のことであった。音楽はドミートリイ・ショスタコーヴィチが、彼の息子であるマクシム・ショスタコーヴィッチの19歳の誕生日を祝い作曲したものだ。純粋なクラシックの振付で、活気とエネルギーに溢れている。マクミランの創作活動には常に「ミューズ」と呼ばれる女性ダンサーが存在し、『コンチェルト』においても、美しくスローな楽章はリン・シーモアに振り付けたと言われており、バー・レッスンの際に、リンのストレッチから着想を得て、作品に取り込んだそうである。
Sarah Lamb and Ryoichi Hirano in Concerto (c) Johan Persson ROH 2010
この演目でピアノ演奏を務めたケイト・シップウェイは『コンチェルト』の素晴らしさについて、「ケネス・マクミランが振り付けたすべてのステップが音楽を見事に反映していることね!」と語り、各楽章の異なる趣を感じながら、ケネスの追求した美に耽ることが出来る。第1楽章アレグロで主役を務めるジェームズ・ヘイとアナ=ローズ・オサリヴァンらが「ダイナミックで迅速な足さばきスタミナが必要なんだ」と明かすように、闊達でエネルギッシュな演技に注目して欲しい。続いて、オーケストラで始まる第2楽章は全く対照的であり、美しいハ長調の和音はどこか哀愁も感じられ、繊細なピアノの音色にも酔いしれることが出来る。バレエの動きもゆっくりで、とてもたおやかな楽章となっている。そして第3楽章は高揚感があり、フィナーレに向かい全員で盛り上げていく様は華やかさと雄大さが見事にマッチした圧巻のパフォーマンスとなっている。
Yuhui Choe and Steven McRae in Concerto (c) Johan Persson ROH 2010
続く第2の演目は、フレデリック・アシュトンが振付を手掛けた『エニグマ・ヴァリエーション』である。マクミランの『コンチェルト』初演の2年後となる1968年に発表された。音楽家のエドワード・エルガーが芸術に不安や疑問を抱きながらも友人たちに励まされ続けながら楽曲「エニグマ・ヴァリエーション(エニグマ変奏曲)」を仕上げていったというエピソードをベースにした友情物語。男女のラブストーリーを描くことが多いバレエ作品の中でも独特な作品となっている。
Enigma Variations. Lara Turk and Nehemiah Kish. (c) ROH, Bill Cooper, 2011
また本演目でドーラ・ベニー(ドラベラ)を演じるのは、話題の映画『キャッツ』(2020年1月24日より日本公開)に、ヒロインである白猫ヴィクトリア役に大抜擢されたフランチェスカ・ヘイワード。さらには2019年に『白鳥の湖~スワン・レイク~』でスワン/ストレンジャー役に抜擢され、来日公演でも日本のバレエファンを熱狂させた、マシュー・ボールがアーサー・トロイト・グリフィス役を演じるなど、注目の若手実力派プリンシパルからも目が離せない。
Enigma Variations. Thomas Whitehead. (c) ROH, 2011. Ph. Bill Cooper.
トリプル・ビルの最後を飾る第3の演目は、マリウス・プティパによるロシア・クラシック・バレエの粋を集めた古典絵巻を、偉大なロシアのダンサー ルドルフ・ヌレエフが再振付した壮麗な作品『ライモンダ 第3幕』である。
ヌレエフの振付には民族舞踊の影響がみられ、第3幕のハンガリーの踊りが見どころのひとつとなる。またソロの数々も単独で上演されることも多い見事なものばかり。純粋なクラシック・バレエのチュチュと素朴なハンガリー舞踊の混合を味わうことが出来る。
物語は前の幕でライモンダを誘拐したサラセンの王子に、勇敢なジャンが決闘を挑んで見事勝利、ハンガリー流に祝う様子が描かれている。今回、主役であるライモンダを務めるのはナタリア・オシポワ。その卓越したテクニックもさることながら、役に入り込み、感情表現豊かに情熱的に演じる姿に、瞬く間に心を奪われてしまうことだろう。そして相手役を務めるのはワディム・ムンタギロフ。185cmという長身で、しなやかさの中に気品のある、まるで本物の王子のような姿に誰もが思わず見惚れてしまう。オシポワもワディムについて「彼は優れたダンサーですばらしいパートナー。何も言う必要がなく完璧にやってくれます」と太鼓判を押している。
Christina Arestis and Ryoichi Hirano in Raymonda Act III. Photo Tristram Kenton, courtesy ROH
いずれも全く違った個性をもつ刺激的な3本。ロイヤル・バレエのトップスターによるダンスの最前線を大画面で体験してほしい。
なお、2020年1月末には ロイヤル・バレエ団元ダンサーの小林ひかる氏がプロデュースする「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」のガラ公演が開催されるが、ここでも『ライモンダ 第3幕』が披露される。来日ガラ公演ではプリンシパルの平野亮一が出演するが、ダンサーによる個性の違いなど、見比べるのも楽しめるだろう。更に公演には『コンチェルト』に出演したマヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディ、『エニグマ・ヴァリエーション』に出演したアクリ瑠嘉も出演。来日公演の前に、まずはスクリーンでも彼らの姿を確かめてほしい。

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