天月-あまつき- 新たなチャレンジも
発表されたツアー・東京国際フォーラ
ム公演をレポート

天月-あまつき- 10th Anniversary LIVE『The StarLight Seeker Winter Tour』

2019.12.30 東京・国際フォーラム ホールA
天月-あまつき-(以下 天月)が、音楽活動10周年を記念した全国8か所9公演のホールツアー『天月-あまつき- 10th Anniversary LIVE『The StarLight Seeker Winter Tour』』を開催。ここでは、ツアー7本目、2019年最後のワンマンライヴでもあった、12月30日の東京・国際フォーラム ホールA公演の模様をお伝えする。
“感情で育つ特別な種”と新たな世界を求めて宇宙を旅する少年の物語に自身の歩みを重ねた、『天月-あまつき- 10th Anniversary LIVE 『The StarLight Seeker』』から約5か月。「きみに出会えたことは本当に奇跡だ」という言葉に始まり、大きく育った“心の種”と旅を続ける“その後”の物語が描かれたのが、今回のツアーだ。
ナポレオンジャケットをまとう天月がステージ上段に現れ、待ちかねた1曲目はダイナミズムが大きな会場に映える「スターライトキセキ」。トランペットとサックスも加わっての突き抜けるような力強いサビ、鳥肌もののシンガロング、「さあ、本日は年内最後のワンマンライヴです。僕は最高にワクワクしている!」という天月の言葉。「ホシアイ」では「この東京でまた歌を届けられる日を待ち望んでいました!」と叫び、一緒になって歌うオーディエンスに「いいね!」と笑顔を見せたりもして、天月のライヴはどうにも胸がアツくなる。
天月-あまつき-
少年に心配をかけないよう、“心の種”が実は負の感情も受け止めていたことが映像で明かされると、「儚きゴースティング」からは雰囲気が一変。レッドライトがステージを鮮やかに染め、レーザー光線が乱れ飛ぶ中、「さあ、東京! 準備はいいかい!?」と言う天月はダンサーを従え、赤いロングコートの裾をひるがえしながら華麗にターンしたり、「ヒロイックシンドローム」では巻き舌や鋭いラップでも魅せたり。アグレッシヴな天月は、ただただかっこいい。
「自分たちの旅を支えてくれる人がたくさんいるから、なにがあっても大丈夫。今度は僕が君の道標になる」
そんな少年の決意を受け、静かに歌い出した「Dear Moon -Piano ver.-」。さみしさをこらえて“君”の夢を応援しようとする「Flight Light~星くずとBoeing~」、「月に憧れた少年の話をしましょう」と言ってエレキギターを弾きながら歌った「ガラクタモンスター」にしても然り、全身を包む真っ白な衣装のようににごりのない天月の想い、歌声は、カタルシスをもたらす。
天月-あまつき-
恒例の声出しでオーディエンスとの一体感をますます高め、イントロで大歓声が上がったのは5年前に動画投稿した「ハイドアンド・シーク」。スポットライトの下、天月のアカペラから始まったAimerのカバー「カタオモイ」では、一途で切ない“好きだよ”に男女問わずドキっとさせられたはずだ。「ハイドアンド・シーク」と同じく懐かしの「おじゃま虫」では、オーディエンスのキュートなコール“ぱふぱふにゃーにゃー おーまいおー”を全身に浴びる天月。ライヴならではの双方向コミュニケーションで、楽しいが加速していく。
赤と緑の光でステージがライトアップされ、カジュアルな衣装にお召し替えした天月が「クリスマスまであと359日くらいです!(笑)」とお茶目な顔を見せたのは、自らがも作詞・作曲しに携わった、2019年のクリスマス前に動画投稿した「クリスマス・ストーリー」。天月のイメージカラーである赤に加え、緑の光を灯したペンライトが揺れる客席を見て、「きれいです、ありがとう!」と感動の声をもらす天月。ステージ上部からは演出の粉雪が舞い降りて、特別な夜に花を添える。
「さあ、それではダンスパートいきましょう!」と告げ、「月曜日の憂鬱」では、ダンサーと一緒に天月も軽やかにステップを踏んだり、オーディエンスが“ズッキュン”コールをしたり。「かいしんのいちげき!」では、天月を先頭にダンサーとタテ1列に連なったり、コミカルな動きで沸かせたり。天月の繰り広げるエンターテインメントショウは、瞬きするのも惜しい。
さらには、「このツアーのために新曲を用意しました!」といううれしい言葉から、新曲「カラフルタッグチーム」へ。オシャレだったり、オトナっぽかったり、華やかだったり、ラップパートもあったり、目まぐるしい曲展開や言葉遊びも楽しい中に、君と僕にまつわる至言も光る曲だ。今後ライヴでどう育っていくか、期待感もふくらんでしまう。
天月-あまつき-
“心の種”から芽吹いた緑が覆っていたステージ上部に目を向けると、そこには見事に咲いたたくさんの花が。“心の種”との旅を通して、多くの宝物に出会い、自分のことも宇宙で一番大好きになった少年は、天月そのもの。「これからは一緒に旅を続けてくれるみんなを守りたいし、楽しい気持ちでたくさんにしたいし、全部受け止められる存在になりたい」と決意した上で目指すのは、“幸せで楽しい気持ちになれる、カラフルで夢みたいな星”だ。
11月29日公開の劇場アニメ『コルボッコロ』の主題歌として天月が書き下ろした「アイビー」は、サビに向かって徐々に熱を帯びていくエモーショナルなナンバー。新たなキラーチューンの誕生である。
「乗り越えられない壁があるなら、迂回してしまおう。どんなときも進むことだけは諦めたくないから。どうか、これからもたくさんの花を咲かせることができますように」
素敵な未来を夢見て、本編最後に届けてくれたのは「君が僕の心に魔法をかけた」。「2019年も、たくさんたくさん歌ってきました! それを支えてくれたのはあなたです!」という言葉、心動かす歌力もまた、オーディエンスに温かな魔法をかけてくれたように思う。
大きな声援に応えてのアンコールでは、「小さな恋のうた」の大合唱に「東京最高ですね!」と破顔の天月。「自分の憧れの場所である国際フォーラムのステージにワンマンライヴで立つことができて、しかもこんなにたくさんの人が僕の歌を聴きに来てくれたわけで……めちゃめちゃうれしいです、ありがとう!」とあらためてオーディエンスに感謝して、「きっと愛って」へ。トランペット&サックス、ダンサーも加わり、弾け飛ぶ銀テープ。多幸感で満たされていく。
天月-あまつき-
「中学生のころ、イヤなことから逃げるために、好きな音楽を聴いて、好きなゲームをして、インターネットに入り浸って、僕はたまたま光を見つけることができました。そして、デビューして、アルバムを出して、ライヴやイベントで君たちに出会っていく中で、凍っていた自分の気持ちがどんどん解けていって、自分の表現で少しでも楽しんでもらいたい、と思うようになって。気づけば10年経っていました。このツアーでも、こんなに幸せでいいのか、って歌いながら感じています。何度も言うけど、僕は本当に歌を好きになってよかった。みんなが救いの歌を望むなら救いの歌を歌いたいし、哀しみを共有してほしいんだったら哀しい歌だって歌うし、楽しい時間を望むなら僕はいつだってここで笑顔で歌うからさ。今日も、こうして歌を歌えてよかった、自分を表現できてよかった、あなたに会えてよかった。また、遊びましょう!」
ここに書ききれないほどのあふれ出る想いを言葉にした上で、「2019年の終わりに、僕はこの歌を歌わないと終われないと思ってる。僕らなりのやり方でみんなに音楽を届けるから、自由に楽しんでくれ!」と前置きして歌ったのは、「Hello,My story」。“最高な世界だ 君があらわれて 何もかもが変わった”のも、“これからも君の手を離さない”のもお互い様、手を差し伸べ合う天月とファンの姿は、とても美しかった。
2020年4月28日と29日には、幕張イベントホールにて『天月-あまつき- 10th Anniversary Live Final!!!~Love&Pop / Rock&Cool~』と題した2デイズライヴの開催が決定。28日は“Rock&Cool”を、29日は“Love&Pop”をテーマに、それぞれ違った内容のライヴになるという。多才で多彩なエンターテイナーの新たなチャレンジに、どうしたって胸が高鳴ってしまう。

文=杉江優花 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)

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