河内REDSのマインドはメジャーでも普
遍「あのときの俺たちの曲のメジャー
版」に挑戦したミニアルバム制作を振
り返る

大阪が生んだジャパニーズロック界の問題児たち、河内REDS。過激かつ過剰なパフォーマンスで頭角をあらわし、8月にメジャーデビューを果たした彼ら。11月27日には、ミニアルバム『オリオン座』をリリース。表題曲は冬の寒い季節、大切な人がそばにいない心の寂しさと空虚感を抱かせながら、それでも未来に待つ大切な人を想う楽曲となっている。これまでにないムードの楽曲ではあるが、ポジティブなメッセージを勢い良く放ってきた河内REDSのマインドは今作にも間違いなく通じている。また、「トンカツ」「あばよ」といった収録ナンバーにも、メジャースタイルではあるが、インディーズ時代のギラつきがみなぎっている。全5曲、河内REDSの表現の幅の広がり、そしてバンドとしての可能性を抱かせる作品だ。今回は、『オリオン座』に関連づけながら、現在の河内REDSの考え方について、タダミ(Vo.Gt)、サクラマサチカ(Gt)、ナカザワリョウジ(Ba)、セタ(Dr)に話を訊いた。
――今作ですが、1曲目「オリオン座」を聴いた誰もが、作品としてのスケールや幅が広がったと感じたはずです。
タダミ:ありがとうございます。確かに、下から上の世代まで幅広く、河内REDSを好んでもらえるようになってきた実感があります。ライブには小学生まで遊びに来てくれるようになりましたし。
セタ:作品としては全体的に、「初めて聴くのに懐かしい」という気持ちが沸き立つはず。自分の母親にも聴いてもらったのですが、「懐かしさがある」という感想をもらいました。1曲目「オリオン座」は生ストリングスも入って、今まででの河内REDSでは考えられなかった壮大な編成になっています。
ナカザワ:表題曲「オリオン座」は、まず美しいメロディが出来上がって、そのあと歌詞がついてよりきれいになり、そこに寺岡呼人さんのプロデュースが加わって楽曲が洗練されていく見事な制作過程に感動したんです。それぞれの曲が、どんどん成長していく、そういう曲作りの流れを『オリオン座』で初めて体感できました。
タダミ:あと、「オリオン座」のMVはNMB48の元メンバー、太田夢莉さんにも出演していただいたこともあり、太田さんのファンの皆さんがたくさん聴いてくださいました。みんな「ええやん」と言ってくれて、改めて「間違いないものができた」と自信になりました。
サクラ:僕が作詞作曲をしながら何となくイメージしていたのは、哀愁です。とは言っても、サウンド面に関してはそれを狙って作ったわけではありません。インディーズ時代は、音もリバーブを深めにしたりして演歌的な感じを狙ってやっていました。でも、今回「懐かしい」と言われる要素に関しては無意識にそれが出ています。今後の河内REDSのあり方の一つが見えました。
河内REDS サクラマサチカ(Gt)
――サクラさんがイメージしていた哀愁とはどういうものですか。
サクラ:映画でいうと、大林宣彦監督の『青春デンデケデケデケ』(1992年)や『さびしんぼう』(1985年)、あとジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』(1973年)みたいなものですね。去っていくもの、変わっていくもの、そこから生まれる寂しさの描き方が好きなんです。
――『オリオン座』には大きなテーマとして別れがあり、そこから哀愁や孤独感が漂ってきますよね。メジャーの1stシングル「東京ガール」にも、という詞があり、カップリング曲「蛍」もと歌われています。今回も「オリオン座」だけではなく、例えば「トンカツ」にはという描写がありますし、どの曲も掘り下げるとそこには孤独があります。
サクラ:以前から、立場が弱い人たち、陽が当たらない人たち、周りから目を向けられない人に向けて歌うという気持ちがあって。その孤独感をくみとって、音楽を通して背中を押してあげたかった。
タダミ:僕自身も、たまに気持ちがどん底に落ちて、寂しさや悲しさが心に刻まれる。そういうときのメンタリティって、みんなで共有したくなるんです。
セタ:逆に自分は孤独をあまり感じないタイプ。むしろいつも、そういうタダミの感情に寄り添ってあげています。
サクラ:11月頭くらいから無性に「ああ、寂しい」ってならない? 僕は今から飲みに行くとかになっても、外に出たら「寂しい……」と。そういう気分を1曲目の「オリオン座」に込めたかったんです。
ナカザワ:僕も基本的には孤独な人間ですね。もともと一人でいるのが好きなんです。そんなに友だちも多くないし。だから、今回の5曲はそれをすごく実感しながらベースを弾いています。
サクラ:ただ、曲作りに関して心がけていることは、孤独や寂しさで終わらせないこと。何かしら救いを込めるようにしているし、最終的には前を向かせる。次の彼女と笑っていたいとか、休みの日があるから平日も頑張れるとか、曲を作る上でそういう気持ちを入れるようにしています。
河内REDS セタ(Dr)
――恋愛における別れ、そして次へのステップが描かれた曲が多い中、「あばよ」は友だちとの別れが軸になっている。友だち関係における絆と愛情の深さを読みとることができます。インディーズ時代も、近いメッセージを非常にアグレッシブな姿勢で楽曲として表現されていましたよね。「あばよ」を聴くと、訴え方に変化はありながらも精神性はまったくブレていないと感じました。
サクラ:そこに気づいてもらえたのは嬉しいです。「あばよ」のマインドは、まさにインディーズ時代の自分たちの表現を完全に意識していました。いわば「あのときの俺たちの曲のメジャー版」です。
――あ、それはめちゃくちゃ良いキャッチコピーだと思います。
タダミ:うん。俺たちはインディーズのときから、好き勝手な表現をやらせてもらっていました。メジャーで活動することになって、より新しい表現に挑戦できていることに幸せを感じています。メジャーデビューをしてから、以前よりさらに歌に心を込めることができている。インディーズの頃は、歌いながら「次の曲ではこれをしたらウケるんじゃないか」とかばかり考えていて、ドンと構えていられなかったですから。今は自分たちの歌に自信があるし、ちゃんとみんなに伝えることができていると思っています
セタ:インディーズ時代以上に多くの人が共感できるようになっているはず。あの頃はトガっていたし、危ないワードもがんがん使っていました。今は、また角度の違う表現を見つけ出したりしています。
ナカザワ:そういう意味で、寺岡呼人さんの存在は本当に大きい。河内REDSの思想をちゃんと生かしながら、寺岡イズムが浸透していっている。自分たちでは、今の方がより河内REDSらしさがあると感じています。
河内REDS
――収録曲の「ミラーボール」「僕はラジオ」は、伝えるということをテーマにしているじゃないですか。それこそ、そういった自分たち考え方、音楽を今後どう伝えていくのか考えさせられますよね。
ナカザワ:現在は音楽の流行もめまぐるしい。でも、例えば松任谷由実さんの「卒業写真」は、今聴いてもキラキラとしていて、まさにエバーグリーン。僕らもそういう曲をがんばって作っていきたい。語り継がれるようなバンドになりたいですね。
セタ:自分たちの曲をみんなが口ずさめるような、国民的なバンドを目指しています。
サクラ:で、僕らを見てバンドを始めてくれる子たちが増えてくれたら嬉しいよね。
河内REDS ナカザワリョウジ(Ba)
――これから河内REDSのコピーバンドも増えてきそうじゃないですか。
タダミ:あ、俺は一回見に行ったことがある。河内REDSの昔の曲をやっていて、「俺たちの初期の曲って、お客さんにはこういうふうに聴こえていたのか」と勉強になりました。そのバンドが良い、悪いではなくて、「もっとたくさんの人に受け入れられる曲を作らなきゃいけない」と思ったんです。
河内REDS タダミ(Vo.Gt)
――それって、「河内REDSのコピーバンドをやるから見に来てください」と連絡をもらったんですか。
タダミ:いえ、勝手にこっそり行きました。4、5年前のことなんですけど。多分、部活か何かの発表ライブで、一般の人は本当は入れないものだったんじゃないかな。Twitterで見つけたんですよね。後ろの方で静かに見ていました。
サクラ:いいね、それは見に行ってみたい!
タダミ:コピーしてもらえるのはすごく嬉しい。僕らも軽音部で結成して、当時は憧れのバンドをコピーしていたからね。そうやって自分たちの音楽が、いろんな形でいろんな世代に広がってほしいです。
河内REDS
取材・文=田辺ユウキ 撮影=日吉“JP”純平

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