ふぉ~ゆ~辰巳雄大「三谷幸喜さんの
大河ドラマに呼ばれたい!」と熱烈ア
ピール 舞台『罪のない嘘』開幕

2020年1月9日(木)、東京・ヒューリックホール東京にて、三谷幸喜作「アパッチ砦の攻防」より『罪のない嘘』~毎日がエイプリールフール~ が開幕した。初日直前には同劇場にてゲネプロ(通し稽古)が公開され、本番さながらの芝居が披露された。
(前列左から)佐渡稔、小林麻耶、辰巳雄大、佐藤B作、片岡鶴太郎、鈴木杏樹(後列左から)石井愃一、まいど豊、黒田こらん、菅原りこ、あめくみちこ、小林美江、山本ふじこ、中西良太
ゲネプロの前に行われた囲み会見には、佐藤B作、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、小林麻耶、菅原りこ、あめくみちこ、黒田こらん、小林美江、山本ふじこ、中西良太、まいど豊、佐渡稔、石井愃一、鈴木杏樹、片岡鶴太郎が登場した。
フォトセッションでは新春らしく気合いを入れたポーズがカメラマンからリクエストされ、「せーの!」「よいしょー!」の掛け声で何度もポーズを決めていた。が、辰巳は「ズドン! はどう?」と口にすると、報道陣から「それは後輩(SixTONES)の持ちネタでは?」と笑いながら突っ込まれていた。
会見がスタート。まずは主人公・鏑木役の佐藤が口を開く。「笑いが起きなければ成立しない芝居なのでね。賑やかな劇場になると思いますよ」と語る。続けて「三谷くん(三谷幸喜)の芝居は細かい台詞のやり取りが肝なので稽古が本当に大事。しっかり稽古が出来たと思います。あとは本番でヌケた奴が出ないことを願うのみです」と笑うと「誰がヌケそうか?」「お前か?」「お前だろ?」と、キャスト陣が探り合うようにざわつきながら笑い合っていた。
三谷作品の魅力を聞かれた佐藤は「本当に面倒くさい本を書くなぁと(笑)。読んで面白いホンを(演じて)面白く伝えるのが大変だなと思います。本人は凄く厳しい方なので観に来なければいいなと思うんですけど……」と苦笑い。「もし観にいらしたら皆に大変なダメ出しをされると思いますよ!」とキャスト陣に喝を入れていた。
鏑木がかつて住んでいた高級マンションの一室を購入した今の居住者・鴨田役の片岡は濃い顔ぶれについて「まるで中華料理屋の床みたいにコッテコテ! だから(笑いが)滑る滑る!」とコメントすると報道陣も含めて一同大笑い。「稽古場は笑いが絶えないいい芝居が出来ましたね。これが稽古場で終わってしまわないようにね! 何のための稽古だったんだということにならないように」と自戒しつつ笑顔を見せていた。
鏑木の娘ちよみの婚約者・堤万次郎役の辰巳は、先輩たちとの共演について「もう飛び込んで(先輩たちの)胸を借りる勢いですね。脚本の力と役者さんの力を信じて本番は思いっきり楽しみたいです」と意気込む。このところのふぉ~ゆ~の多忙なスケジュールに話が及ぶと、辰巳が口を開く前に横から佐藤が「ほとんど稽古に来てないですよ! だからよくここに立っているなって」とつっこみ、辰巳は慌てて佐藤を止めようとしつつも「稽古場は“辰巳のない嘘”でした」とタイトルをもじり、苦笑いで切り返していた。少ない稽古ではあったが「でも台詞はばっちり入ってますから! 三谷さんの脚本がね!」と気合いを入れた辰巳は「三谷さんは2022年のNHK大河ドラマも決まったので、僕も(大河ドラマに)呼ばれるように気合いを入れて臨みたいです。三谷さん、よろしくお願いします!」とカメラ目線で自分を売り込み、先輩たちにドヤされていた。
「三谷さんの大河ドラマ、オファー待ってます!」と言いたげな辰巳さん
堤万次郎の母・タミ子役の小林は、「母というよりお姉さんかと」と指摘されると「まだ稽古が足りないですかね?」と微笑みを浮かべる。「稽古が本当に面白過ぎて自分の台詞がくるところまでずっと笑っていました。それくらい面白かったんです」と初めての体験を興奮しながら語っていた。その姿を見ていたタミ子の夫・喜一役の佐渡から「(演技は)バッチリです!」と太鼓判。そんな佐渡は報道陣に向かって「“お爺さん”と呼ばないでくださいね。70歳ですが」というと、初めて実年齢を知った片岡が「佐渡さん、70歳なの!?」と驚き、「本当にポンコツなんですよ。台詞が入ったのが昨日のことで」といじり倒していた。
鴨田の妻・まち子役の鈴木は賑やかなキャスト陣を観ながら「楽しいメンバーなので、アドリブなのか、三谷さんのホンの台詞のままなのか分からないくらい。どこがどうなの? と思ってしまうくらいですよ」と作品の面白さに触れる。その言葉を受けて片岡が「意識的ではなく、無意識的に何かが起こる芝居です」と返す。ちなみにアドリブはどの程度入っているのか? と聴かれると「俺は三谷くんのホンのままやっている」と佐藤、「僕もです」と辰巳。その発言に「おや?」という顔をしながら片岡の目が宙を泳いでいた。
昨日は舞台『阿呆浪士』の初日前会見があり、その場でラサール石井らが、同じ時期に上演される同じ喜劇である本作や佐藤のことを気にしていた、という話が振られた。すると佐藤は「まあ、若造ですけどね」と先輩風を吹かせながら一刀両断。直後に冗談だよ! と釈明していたが「きっと記事に書かれてしまいますよ」と辰巳がニヤリと突っ込んでいた。
鏑木の娘、ちよみ役の菅原は、昨年まで所属していたNGT48での活動を振り返りつつ「こうしてお芝居という形で舞台に携われることになり、新鮮な気持ちで大人になった私を皆さんに観ていただきたいです」と、はにかみながらコメントすると、あめくが「りこちゃんは私とB作さんの娘役なんですけど、ありえない可愛さでしょ!」と菅原に寄り添う。その言葉に佐藤が「可愛いよー! 時々(芝居で舞台袖から)出てこない時もあるけどね」と笑いながらいじると、菅原は「本番ではそんなことがないように頑張ります」と照れながら微笑んでいた。
最後に「稽古にあまり出てなかったんだから」という理由で、辰巳が代表して「『罪のない嘘』、劇場で2020年初の大笑いをしに来てください!せーの!」その言葉に「よいしょー!」と全員が声を合わせて会見はお開きとなった。
その後のゲネプロの模様も紹介しよう。
ある日の午後、高級マンションの一室にこの部屋のかつての持ち主だった鏑木がテレビの修理屋を装って忍び込んだところから話が始まる。妻子と別れ、今は愛人と暮らしているが、娘が婚約者を連れてくることに。鏑木は4日前まで住んでいたこの部屋にまだ住んでいるという「嘘」をつくことに。ところが留守だと思っていた鴨田夫妻が帰宅して、さらには顔見知りのマンション自治会の副会長夫婦、鏑木の前妻や愛人、そして娘の婚約者とその両親まで入れ替わり立ち替わり部屋にやってくるので、いつの間にか話はおおごとに! 鏑木はこの絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのか!?
鏑木役の佐藤が次から次と部屋に現れる人々に、その場しのぎの嘘で取り繕うと必死に振舞う姿が非常に愉快。ステージを右に左にと走り回り、額に汗をにじませながら熱演していた。またそんな佐藤と対峙する片岡の演技が非常に見応えあり、佐藤との台詞の応酬の間合いは「これぞ会話劇」。心くすぐられるものとなっていた。
鏑木の娘役を演じる菅原は初々しさを見せつつも気の強いイマドキの女子をしっかりと演じ、そんな菅原を経験豊富な辰巳が、短期間しか稽古に参加出来ていないと思えない抜群の安定感でしっかりフォロー。その上で時に笑いをも誘っていた。
また、初舞台の小林はアナウンサー出身らしく非常に滑舌よい台詞回し。今後演技としての台詞回しがどれだけ身に付けることが出来るかに期待したい。
ベテラン勢で見応えあったのは鈴木とあめく。鈴木は、思わぬ秘密を抱えているとはまるで思わせない天然が入っている妻像を、また、あめくは一見図々しさを感じさせるが、誰よりも元夫の心を理解している根性座った元妻役を見事に演じていた。1幕以上に2幕でとことん笑わせ、そして壮大な“オチ”が用意されている。これぞ三谷作品と呼べるものだった。
取材・文・撮影=こむらさき

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