井上芳雄「毎回感動して泣いてしまう
」『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)
までとんだ』いよいよ開幕

井上芳雄が主演を務めるミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』のゲネプロ(通し稽古)が、2020年1月6日(月)東京・日比谷シアタークリエにて公開された。
本作は1988年、音楽座の旗揚げ公演として初演、その後も継続的に上演され、多くのファンを魅了し続けている、日本オリジナルミュージカルの原点にして最高傑作の一つ。人生に迷う男女が運命的に出会い、時間、そして空間をも超えて愛を貫いていくという物語。今回の上演に際し、小林香が演出を務めた。
(左から)福井晶一、濱田めぐみ、咲妃みゆ、井上芳雄、土居裕子、畠中洋、吉野圭吾
公開稽古前に行われた囲み会見では、井上と、咲妃みゆ、畠中洋、吉野圭吾、濱田めぐみ、福井晶一、土居裕子が出席し、今の心境を語った。
井上芳雄
作曲家を目指しているがシャイで少し頼りない青年・悠介役の井上は、本作を「奇跡の作品。日本のオリジナルミュージカルの傑作で宝物だと思っている。素晴らしさにおののきます。学ぶことがたくさんある」と敬意を示す。その一方で「25歳くらいの役なので、若く見えないといけない」と笑いを誘っていた。稽古中、毎回感動して泣いてしまう井上は「この涙が役の涙であり、自分の涙でもあり」と正直な心境を口にしていた。
咲妃みゆ
スリを生業としている少女・佳代役の咲妃は「先に土居裕子さんが演じていらした佳代役を演じることは人生最大のチャレンジだと思っています。素晴らしいキャストと制作の方々と心を一つにして頑張りたい」と意欲を見せる。
福井晶一
喫茶店のマスター役を吉野とWキャストで務める福井は「この作品を観てミュージカルの世界に飛び込んだんです。だからそんな作品に出演できることに幸せを感じています」と嬉しさいっぱい。作品自体は昭和の時代を描いているが「愛のメッセージが溢れる作品なので、本作を知らない方も、また昔の『シャボン玉』を観た方でも新たな作品となっているので、楽しんでいただきたい」と力を込めた。
濱田めぐみ
マスターの妻・春江役の濱田は「稽古場の時から、毎日キャストがほぼほぼ号泣しています。身内の芝居を観て泣くのはいかがなものかと思うんですが、本当に今の時代にこの作品をやる意味があると思う。大切に、大切に演じていけたら」と熱い思いを述べる。
土居裕子
音楽座時代は佳代役を演じた土居は、今回、宇宙人のピア役を演じる。「31年前に畠中さん、濱田さんと共に所属していた音楽座でこの作品は産声を上げたんですが、当時は畠中さんらと共に小道具を作ったりしながら幕を開けた作品です(笑)。今日このたくさんの取材陣を目にしてることを31年前の自分に教えてあげたい」と笑顔を見せた。
畠中洋
宇宙人のテムキ役の畠中は音楽座に入団して初めての舞台が本作だったことに触れつつ、「僕はこの作品で俳優の第一歩を踏み出すことになりました。まさかまたこの舞台に立てるとは思っていなかったので震えが止まりません。言葉に言い尽くせない躍動が身体を駆け巡っています」と興奮を口にした。
吉野圭吾
そして福井と共にマスター役を務める吉野は「今の気持ちは(心臓が)バクバク。すごい作品を目の前にして気合いが入るというか、おののくというか(笑)。ぜひたくさんの人に観ていただきたい」とコメントした。
井上はゲネプロ直前の今の心境を問われると「今日のゲネプロには音楽座の関係者の方々がいらっしゃるということで、その反応にいちばん緊張しています。ここを乗り越えれば明日の初日なんて大した事はない(笑)」と正直すぎる心境を語って皆を笑わせ、しまいには土居に向かって「ちょっとは(音楽座関係者に)媚びた方が良いですか?」と真顔で問いかけると、土居を含めキャスト全員が大笑いとなっていた。
ゲネプロの模様もお伝えしよう。
とにかく音楽が素晴らしかった。海外作品のミュージカルの場合、どんなに上手な翻訳がされたとしても、英語詞の翻訳で生まれるちょっとしたぎこちなさやメロディーから一文字、二文字言葉が零れ落ちる(もしくは言葉足らず)な違和感が生まれるものだが、本作ではそれが一切なく、日本語の歌詞がメロディーとぴったりマッチしてすうっと耳に飛び込んでくる心地よさがそこにあった。また、井上を筆頭にキャストが皆揃いも揃って日本を代表する歌声の持ち主故に、彼らの歌声でいつもの何倍も胸が躍り、思わず笑顔が零れ、涙をそそられた。
会見でも話が出たように、昭和の時代に生まれた作品ならではの、どこか懐かしさを感じる設定が至るところに見受けられた。冒頭、その昭和感に一瞬古臭さを感じたが、物語が進行していくうちにそんな些末な感覚は見事に飛び散り、この物語のテーマである、人を愛することの素晴らしさ、互いを思いやる優しさに何度も泣かされていた。
ひょんなことから出会い、いつしかお互いを愛し合うようになった悠介と佳代。だが、佳代には本人も知らない秘密があった。それは悠介と佳代、そして周りの人間の運命も大きく動かしていく……。二人が待ち受ける結末とは!?
取材・文・撮影=こむらさき

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