「未来になれなかったあの夜に」はど
ん底を肯定してくれる歌である
過去には別れも経験してきた
『未来になれなかったあの夜に』のMVはamazarashiのボーカル・秋田ひろむの過去を題材にして作られており、歌詞にも音楽を生業とする秋田ひろむの過去や今の思いが込められています。
バンドを続けていくことは、想像以上に大変なことです。
たとえ一時は気が合ってもやはり夢を追いかける人間同士、ぶつかり合うことも多くあり、それが原因で解散してしまうバンドもたくさんあります。
秋田ひろむも、これまで人間関係のもつれからバンドが続けられなくなったこともあるのかもしれません。
自分のやりたい音楽にメンバーを付き合わせてきた部分もあるでしょう。
でも「もう、それぞれ自分のこともバンドのことも忘れて好きなように生きてほしい」という秋田の思いを表現したような言葉が綴られています。
泥だらけになりながら追いかける夢
未来になれなかったあの夜に 歌詞 「amazarashi」
https://utaten.com/lyric/tt19120301
https://utaten.com/lyric/tt19120301
「夢を追い続ける」という言葉は綺麗ですが、売れないバンドマンをずっと続けるより潔く諦めてしまった方がいいこともあるでしょう。
でも、彼はたとえどんなにみっともなくても自分の夢を追いかけ続けることを選んだのです。
夢を諦めてしまえば周りに合わせたり、相手の機嫌を取ったりして疲れることがあっても、一人で革命を起こして立ち向かうことより苦労は少ないでしょう。
また、悔しさは時には夢を追いかけるエネルギーにもなります。
「悔しさを並べたプレイリスト」とは、自分より先に売れていった人たちの曲を並べたプレイリストではないでしょうか。
いつまで経っても諦め切れず、忘れられない夢。
「生き別れたはず」という表現からは、たとえ一度は手放そうとも心の底からなかったことにして諦めることができていない、夢への思いの強さが感じられます。
思い出話や、お酒のつまみの笑い話にも到底できません。
それはまだ自分の心の中で本気で夢を諦める覚悟などできていないからです。
夢を馬鹿にされて悔しくて一人で泣いた夜も、いつかはきっと報われる、つまり未来に繋がっていく夜なのです。
どれだけつらい夜があってもそれを「くそくらえ」「ざまあみろ」と踏み付けて、踏み台にしてやればいい。
「未来になれなかったあの夜」にも意味があったことを実感できた自分が、今度はあの夜の真っ只中にいる人たちに向かって歌ってやる。
力強い言葉とともに「そのままでいい」と聴く人の醜い部分も全て肯定してくれる歌詞が心に響きます。
どん底の人たちを救ってくれるこの曲は、amazarashiらしい応援歌なのです。
▲amazarashi 『未来になれなかったあの夜に』Music Video
TEXT ぽんつ
アーティスト