「God of Grind」が流れたとたん、T
SUTAYA O-EASTは20数年前の目黒鹿鳴
館のライブのような様に変わっていた
。初期衝動の満載した、PENICILLINの
ツアーファイナル公演をレポート!!!
今回のツアーのセットリストの中心を担っていたのが、最新ミニアルバム「九龍頭 -KOWLOON HEAD-」へ収録した楽曲たち。同ツアーでは、収録した6曲すべてを披露。そのうえで彼らは、構成の中へ「花」や「ヒーロー」というテーマを掲げれば、「初期衝動」を呼び起こす曲たちを随所に配置していたのも、大きな特色として見えていたことだった。
千聖とO-JIROによるトークコーナーでは、O-JIROがHAKUEIの誕生日を祝おうと「今日はごきげんHAKUEIを見せるように仕向ける」話をすれば、千聖の、HAKUEIに対する「歳とっても恰好いいじゃなくて、永久に恰好いい」の言葉も嬉しい想いのプレゼントに見えていた。
次のブロックでは、PENICILLIN流のヒーローナンバーの数々を披露。この地へ一つの伝説を刻むように、PENICILLINは「そして伝説へ」を演奏。楽曲が進むごとに熱とテンションが上がりだす。ゴキゲンなロックンロールナンバーに乗せ軽快に歌い演奏するメンバーたちへ向かい、フロアでも数多くの手が大きく揺らめいていた。軽快に跳ねたロックンロールなセッション演奏を受け、楽しさを連れだすように「UFO 対 ラオウ」へ。手を打ち鳴らすHAKUEIに合わせ、一緒に手拍子に興じる観客たち。HAKUEI自身も肩の力を抜き、心騒がせるシャッフルナンバーへ身を預け気持ちをスウィングさせていた。勢いをさらに加速させるように飛び出したのが、「ウルトライダー」。3曲立て続けにロックンロールナンバーを演奏。気持ちを滾らす歌へ触れた会場中の人たちが、心を熱く燃やし、伸ばした手の先から熱情した想いを迸らせていた。終盤に起きたHAKUEIと観客たちとの歌のやり取り。この一体化した高揚へ、今は嬉しく溺れていたい。共に歌う声を途切れぬ想いに変え、ずっと繋ぎあっていたい。
楽曲が速度を増すと同時に、演奏は「Blood Red Snow White」へ。モニターに足を乗せ、前のめりの姿で観客たちを雄々しく煽るHAKUEI。溜め込んでいたパワーをすべてぶつける勢いで暴れ倒す観客たち。間奏では、HAKUEIの煽りへ触発され、フロア中から「オイ!オイ!!」熱い声が飛び交っていた。轟音が唸るたびに膨らむ熱。その熱狂へ感情的なドラマを描くように、PENICILLINは「The pain song of the beast」を演奏。楽曲自体は攻める激しさを持っている。その上で響く歌が艶めいているように、その歌声は触れた人の心をときめかせる。「快感∞フィクション」が観客たちの理性を消し去り、熱狂や恍惚を貪る野獣へ変えてゆく。鋭い音の刃を剥き出しに満員の観客たちを挑発するメンバーたち。その熱い誘いへ向け、力強く腕を伸ばす観客たち。さぁ、もっともっと熱狂を貪り喰らえ。そのエナジーを高め、一気に快感の先にある絶頂を求めあえ。高い熱を抱いたまま、演奏はラストナンバー「SEX」へ。沸きだす衝動のままに荒ぶる歌声や演奏で観客たちを殴り倒すメンバーたち。フロア中からも、HAKUEIの叫びに合わせ「SEX SEX」と声が飛び交う。己の本性を相棒に騒ぎ尽くせ、それこそが人の持つ本心。剥きだした裸の姿をさらけだすライブを、今宵のPENICILLINは示していた。
ここからは、HAKUEIのバースデーセレモニーのコーナーへ。大きなバースデーケーキに灯した蝋燭の火を吹き消して、HAKUEIの誕生日をお祝い。「ここに来た人たちはみんなPENICILLINという音楽サークルの一員だという自覚を持ってください」とHAKUEIが挨拶。千聖は、「俺は自分が恰好いいと思って生きてる。その俺が横で弾きたい唯一のヴォーカルがHAKUEI」と素敵な言葉を述べていた。O-JIROは、「うちの顔ですからね。HAKUEI氏はバンドのアクセルだからこそ、PENICILLINを背負って爆進し続けてもらいたい」と発言していた。
ここでHAKUEIがバースデー企画として、みずからへ衝撃を与えたGASTUNKの楽曲をカバー。じつは、PENICILLINとして名乗り活動を始める前の時期にバンドでカバー演奏もしていた、PENICILLINのルーツに当たるバンドの一つ。この日は、メンバーらがまだ大学生だった頃にカバーしていた「DEVIL」と「Night Sight Light」を披露。ワイルドで雄々しい楽曲たちを叩きつけ、メンバー自身も当時の気持ちを思い返すように熱唱しながら演奏を楽しんでいた。
観客たちの熱烈な声に応えるよう、メンバーはふたたびステージへ。「暴れようぜ!!」のHAKUEIの言葉を合図に、PENICILLINは、自分たちが初期衝動を持って生み出した「For Beautiful Mad Human Life」を演奏。煽るように。いや、暴走した音の塊を次々とフロアへ投げ込むように、PENICILLINは荒ぶる演奏をぶち噛ます。滾る熱情をぶつけるように身を預け、頭を振り乱し暴れる観客たち。理性を忘れ、ただただ熱狂の虜になり騒ぎ続けていた。最後の最後にPENICILLINは、「God of Grind」を演奏。HAKUEIは、今にもステージから落ちそうなくらいに前のめりの姿で観客たちを煽っていた。そこには、彼らがインディーズの頃に目黒鹿鳴館でワンマンを行っていた頃と同じ匂いや熱狂が渦巻いていた。初期衝動どころではない、初期PENICILLINの姿を、彼らはみずからの衝動をタイムスリップさせ現代へ甦らせていた。PENICILLINがこのツアーで求め続けた初期衝動。その答えを、彼らは最後の最後に知らしめ、会場にいる誰もの心を、共に青春を謳歌していたあの頃の自分に揺り戻し、騒ぎ狂わせて逝った。
PHOTO:コザイ リサ
★インフォメーション★
●PENICILLIN LIVE 2020「PENICILLIN 28th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」
●PENICILLIN LIVE 2020「新宿サーキット(仮)」
●テレビ東京系「大正製薬 presents MelodiX!スペシャル 2019」
―セットリスト―
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