林家彦いちが語る、三遊亭円丈の底知
れない魅力~お宝映像とトークで紡ぐ
『実験落語neo~あの頃のシブヤ炎上
~』開催迫る

『実験落語neo~あの頃のシブヤ炎上~』が、2019年12月20日(金)19時、東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!で開催される。新作落語のレジェンド・三遊亭円丈が、在りし日の渋谷ジァンジァンで「実験落語」という、新作(創作)落語の会を主催していた頃の円丈落語、1980年花王劇場「グリコ少年」の貴重映像を上映し、その当時のエピソードなどを語らいながら、また新作落語を披露するという貴重な会となる。
三遊亭円丈
円丈と共ににトークと高座に登場するのは、古典から新作まで、SWAや「シブラク」などでも精力的に活動の場を広げる、林家彦いち。このほど、林家彦いちに、三遊亭円丈という人の底知れない魅力について語ってもらった。
林家彦いち
── 今回のイベントで上映される円丈師匠の「グリコ少年」は1980年の花王劇場の高座です。1980年、彦いち師匠ご自身は何をされてらっしゃいましたでしょうか?
1980年は……「柔道」と「サイクリング」ですかね。
落語は、読み物として小さい頃から好きでしたね。そして当時はSF小説にはどっぷりはまってましたね。横田順彌さん筒井康隆さん、かんべむさしさん、豊田有恒さん 眉村卓さん、星新一さん、夢枕獏さん、アルマゲドンの平井和正さん….SFとつくものは沢山読んでいました。 その単行を本持ちながら、自転車に乗って旅に行ってましたね。と同時に柔道もやって格闘技に目覚めた頃でもありました。
──落語家になろうとしたきっかけは?
落語家になろうとは思っていなかったんですですけど、うちの師匠(林家木久扇)の高座を見たというのは、大きなきっかけではありましたね。林家彦六師匠の噺を、ものすごく面白く喋るおじさんがいたんです。木久扇師匠ご自身が抜群に魅力的でした。ソフト(噺)以上に、ハード(ご本人のキャラクター)のスペックが高いという印象が強かったんです。そしてこの世界入って、師匠に敬意を表し、筋を通して、円丈師匠のところにちょいちょい落語会に出させて頂いたり、年に何度かはご自宅に行ってお話ししたりするようになりました。円丈師匠は、ご自身の魅力はもちろんですが、噺の物語性がとても高かった。
ジァンジァンの「実験落語」の前身の「応用落語」第一回目新作落語の会では、寄席でたまにかけられる新作落語とか、ギリギリのネタをやっていて、僕もやりましたが、トリの円丈師匠は臨死体験の噺をやったんです。それがとてつもなく強烈で、「こんなもんもありなんだ」という衝撃を受けたのは大きかったですね。「指の先にバカがいる」っていうフレーズがあったんですけれども、そんなの寄席では届かないんじゃないかと思いましたが、”演芸と芸術"を観た!といった感じでした。他と全然違いました。
三遊亭円丈
──木久扇師匠にお弟子に入られて、円丈師匠に衝撃を受ける、という道を歩んでこられたんですね。
そうですね。衝撃を受けましたね。そして、SFとかの世界観が元々好きであったり、シチュエーションコメディが好きだったりしながら、それを落語でやるのはどうなんだろうかと、当時はまだ迷いがあったんです。「元犬」「頭山」など、古典落語にもSFの噺はあるけれど、そのプラスアルファをやるのって、それってありなのかな?と思っていたことが、「ありなんだ」と円丈師匠の落語で思えたんです。
林家彦いち
──円丈師匠は、元々好きだった「SF」と「落語」の可能性を繋げてくださった方なのだと思いますが、円丈落語の魅力はどんな所にあると思いますか?
それはもう「自由」というその一言に尽きるんじゃないでしょうか。円丈師匠は落語界に自由をもたらしたんですよ。本当にそう思います。落語の世界は「こうでなきゃいけない」と言われがちな世界ですが、円丈師匠は、自由なんだ、と。登場人物も自由だし、何を喋っても良いし、極端に言えば何着ててもいいんじゃないかと(笑)。「パパラギ」では脱いでましたからね。最後は客席に去っていくんですよ。僕は前座で出ていたのですが、「あれ、師匠が降りてこない」って思ってたら、客席から出て、多分裸ぐるっと外を歩いて帰って来たんじゃないかと(笑)。自由だってことですね。
──円丈師匠はさんはどんな存在ですか?
そうですね、落語家にとっては、”マザー”(笑)。”母なる大河”ですかね。産み出している源で、時には溢れるし、時には流れが変わりますからね(笑)。僕の30年を解き放ってくれた人です。
三遊亭円丈
──彦一さんにとって新作落語は、端的に言ってどんなものでしょうか
“生き方”じゃないですかね。その人を象徴している。他の人の新作落語を見ても全部そう。三遊亭白鳥師匠の噺には、凄くお腹すいている人が沢山出てくるんですよ。腹減ってんだなぁって。いつも「足りない足りないっ」て(笑)。で、喬太郎師匠はやっぱりちょっとこじらした人が出てきたり。春風亭昇太兄さんも、すごい追い詰められて”ぎゃー”となってジャンプする、みたいな人たちが沢山出てくる(笑)。やっぱりその人らしさ、魅力が出る。あとは、噺家になって自分でお話を作って喋るというのは、僕自身にとっては、当然のことだと思っているんです。
──お客様にお誘いの一言をお願いします。
確実に来ないと損をすると思います。見た方が良いと思いますよ。見ればいいじゃん、目撃しちゃいなよ(笑)。
林家彦いち

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