THE BAWDIES キャリア史上最高に痛
快で洗練されたロックサウンドを響か
せる最新アルバム『Section #11』ツ
アー開幕

THE BAWDIESが最新アルバム『Section #11』を携えたツアー『Section #11 Tour』が12月6日(金)、7日(土)渋谷 CLUB QUATTROからスタート。その2日目公演のオフィシャルレポートが到着した。

11月27日に新作アルバム『Section #11』をリリースしたばかりのTHE BAWDIES。その新作を引っ提げてのツアーが、12月6日(金)・7日(土)の渋谷 CLUB QUATTRO 2Days公演からスタートした。アルバム制作においては「常に前作を超える作品を」という真摯な姿勢で取り組み、音源をリリースするたびにアップデートされた最高のロックを聴かせてくれる彼らだが、今回の『Section #11』は間違いなくバンドのキャリア史上、最高に痛快で洗練されたロックサウンドを響かせてくれている。その最高傑作のリリースツアーである。最新音源の楽曲がどのようにプレイされるのか、どんなグルーヴを生むのか、とにかく楽しみであった。というわけで、ツアー2日目、7日の渋谷 CLUB QUATTROに足を運んだ。
このクアトロは、彼らがデビューして最初に行ったツアーのファイナルの地でもある。そんな感慨深さもあってか、この夜のライブは想像以上の衝撃と多幸感を感じるものだった。すべてのパフォーマンスがアップデートされている。結成から15年を経てなお後ろ向きな惰性は皆無であり、これほどロックンロールの楽しさを体現してくれるバンドは、彼らをおいて他にないとあらためて実感する。ソールドアウトで立錐の余地もないほどのフロアは、初っ端からヒートアップ。その熱気に応えるかのように、バンドサウンドはぐいぐいとグルーヴしていった。新作からの「DON’ T SAY NO」は、TAXMAN(G・Vo)の奏でるギターリフが凄まじい吸引力を放ち、「LET’ S GO BACK」のJIM(G・Cho)のブギーなギターには思わず弾けるように会場中が揺れる。クアトロという親密な会場のせいもあるかもしれないが、この日のTHE BAWDIESのアンサンブルはワイルドなガレージバンドとしての真骨頂を見せた。一方で同じく新作から、TAXMANがリードボーカルをとる「EASY GIRL」では、胸キュンもののモータウンビートをMARCY(Dr・Cho)がポップに弾けさせ、THE BAWDIESがゴリゴリのロックサウンドで押すだけのバンドではなく、成熟したアンサンブルを武器に、グッドメロディのポップ・ロックを響かせるバンドであることも見せつけてくれる。ROY(Vo・B)のボーカルも、楽曲ごとにワイルドにスウィートに変化し、表情豊かなメロディを放ちながら、観客を惹きこんでいく。4人のバンドアンサンブルはここにきて、さらなるステージに突入しつつあると感じた。
振れ幅の大きさということで言えば、そうした最高のプレイと相反するかのように、この日の彼らのMCというか、トークというか、思いついたことをとにかくその場でしゃべる、みたいな時間は、いつにも増して楽しい暴走を繰り広げていたし、ロックンロールのライブを見に来たということを忘れてしまうくらい、腹を抱えて笑った。あまりにもROY(Vo・B)のトークが長引いて、早く演奏したくてうずうずしているJIMが「早く曲やろうよ」と促す場面もあり、さらに笑いを誘う。おなじみ『HOT DOG 劇場』も詳しい内容には触れずにおくが、国民的アニメをモチーフにして最高に笑わせてくれた。TAXMANのエプロン姿とか、JIMの「物真似」の精度の高さとか、MARCYがたった一言で観客のハートをつかむ様とか、曲前の「小芝居」というには、言及すべき点が多すぎて、このあと「HOT DOG」の演奏になだれ込むのはわかっていながら、ただただ笑顔で緩んでしまうのである。この緩急には毎度やられるが、今回の「HOT DOG」の演奏の気持ち良さは半端なかった。演奏をするTHE BAWDIESのメンバー自身が、この音楽を楽しむ観客のようでもあり、音楽の中に入り込んで、音楽とひとつになってバンドサウンドを奏でているみたいな、そんな感覚があった。よくステージとフロアの一体感という言い方をするが、この瞬間、ほんとにひとつになったように大きなグルーヴが生まれていった。フロアのジャンプもステージのメンバー同様どんどん大きくなっていく。なんて素敵なロックンロールタイムなのだろう。
ブルージーなJIMのギターが響くスリリングな「BLUES GOD」や、客席とのコール&レスポンスの熱狂が凄まじかった「SKIPPIN’ STONES」など、『Section #11』には、ライブでの新たなキラーチューンが何曲も存在することを、この日あらためて確信した。2018年にはベストアルバムをリリースして、結成15周年、デビュー10周年の活動をまとめあげ、真に「ベスト」な作品をリリースしたTHE BAWDIES。彼らがその「ベスト」を、つまりは15年間の活動を、1枚のアルバムで更新して見せたのが、『Section #11』だと思っている。どこをどう切り取っても、どのパート、どのフレーズを切り取っても、徹底して磨き上げられたロックが12曲並んでいるのだ。まさにTHE BAWDIESの新章の始まりがここにあり、その新作が生まれたことによって、過去曲たちのライブ演奏もまた、相乗効果でよりアグレッシブになっている。今回のTHE BAWDIESのツアーがとにかく最高に痛快だということは間違いない。これがツアーが始まったばかりのパフォーマンスというのだから恐れ入る。これから全国をまわっていく中でさらに更新されていくのだろう。すでに追加公演も発表になったが、ツアーファイナルではまた東京、新木場STUDIO COASTに帰ってくる彼ら。ツアーを経てのさらなる進化が今から楽しみで仕方がない。
文=杉浦 美恵 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
>>【インタビュー】THE BAWDIES アニバーサリーイヤーを締めくくる最新アルバム『Section #11』から聴こえる普遍と革新

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着