【A応P工藤的注目アニメ】第3回 回
想を使った入れ子構造の「あんさんぶ
るスターズ!」
こんにちは! A応Pのラベンダー色、工藤ひなきです。2019年の秋アニメは学園ものが豊富ですね。そんな数ある学園ストーリーの中から、第3回のコラムも工藤的視点でアニメを語ります!
スマホアプリ配信開始から4周年。ダウンロード数100万以上の人気を誇る、男子アイドル育成ゲームの「あんさんぶるスターズ!」は今年、ファン待望のテレビアニメが放送となりました。現在2クール目が放送中のこのアニメの魅力は、“キャラクター”と“曲”と“ストーリー”の3点にあります。特に“ストーリー”はゲームをまだ始めていない人でも、誰もが楽しめて魅了される構成となっているのです!
テレビアニメ「あんさんぶるスターズ!」は、原作であるゲームのメインストーリーを中心に展開されています。男子アイドル育成に特化した「私立夢ノ咲学院」を舞台に、新星アイドルユニット「Trickstar」と、転校生であり学院の紅一点である「あんず」が学院に革命をもたらす青春ストーリーです。この物語は、「Trickstar」と転校生が、なぜ革命を起こしたのか、起こす必要があったのか、そして現在の夢ノ咲学院が出来るまでの過去を知ることにより、倍楽しめます。また、学院の生徒は必ずユニットに所属しなければならない制度があるため、ユニットごとの成長や成り立ちを知ることでさらに楽しむことができます。
メインユニットの「Trickstar」を含めて、夢ノ咲学院には全11ユニット、生徒は37人います。綺麗なデザインの個性豊かなキャラクターたち、それぞれの個性が強くともしっかりとまとった各ユニットのことが原作のストーリー内では描かれています。しかし、アニメの各話でメインストーリーを軸にするとキャラクター全員にスポットが当たりません。そのためアニメではときおり、劇中劇という“入れ子構造”の形式をとるという工夫がなされているのです! 入れ子構造とは、外枠の大まかとした物語のなかに短編のような小さなお話を展開させることです。登場人物が回想、または誰かから聞いた話を語るかたちのものが多く、ひとつの物語の中で別のもうひとつの物語を楽しむことができます。
テレビアニメ「あんさんぶるスターズ!」ではこの入れ子構造を使い、メインストーリーという大きな枠の中に、ゲームではイベントストーリーとして扱われていた他のユニットの物語を入れているのです。これにより、それぞれのユニットに焦点を当てたお当番回を作ることもでき、「Trickstar」以外のユニットのファンの方も楽しむことができます。例えば第5、6話「マリオネット~前編・後編~」では、私の推しユニット「Valkyrie」が登場しました。「Ra*bits」というユニットと主要キャラクターである明星スバルとあんずが雑談している際に、「Ra*bits」のリーダーである仁兎なずなが作中の1年前の出来事の回想を始めます。仁兎なずなを語り部として、仁兎が過去に所属していた「Valkyrie」時代の各キャラクターの立ち位置を知ることができ、そして「Trickstar」がこれから対峙するであろうユニット「fine」への思いと以前の学院の様子を垣間見ることができます。また、第10話「エレメント~前編~」からは、「Switch」の青葉つむぎにより1年前の出来事が別の視点から語られます。「Trickstar」と転校生の革命に対する思いが、イベントストーリーに登場するユニットキャラクターたちの視点を通して色濃く映しだされるのです!
4年も続く作品の複雑なストーリーを綺麗にまとめ、ほぼ全てのキャラクターを登場させる構成は圧巻です! 現在では夢ノ咲学院だけでなく、他校との物語も展開し始め、「あんさんぶるスターズ!」はますます楽しい展開となることでしょう!
アーティスト
アニメハック