バイオリニスト・NAOTOが贈る“一点
物”の特別ライブ、小野リサを迎えた
第一夜レポート

Special Living Live produced by “NAOTO” Haute Couture Collections 2019 第一夜

2019年11月6日(水)LIVING ROOM CAFÉ&DINING
“Haute Couture”(オートクチュール)とは“高級な仕立て”、すなわち一点物の特注オーダーメイド服を意味する言葉。バイオリニスト・NAOTOが贈る『Special Living Live produced by“NAOTO” Haute Couture Collection 2019』は、渋谷のオアシス空間・eplus LIVING ROOM CAFÉ&DININGを舞台に、スペシャルゲストと共に過ごす音楽の夕べだ。昨年の第一回は黒澤薫(ゴスペラーズ)、八神純子金原千恵子を迎えて大いに盛り上がったが、今年は小野リサ、浜端ヨウヘイmajikoという興味津々のゲストが揃った。素晴らしい素材をどんな服に縫い上げるのか、仕立て屋・NAOTOの腕前やいかに?
19時30分ちょうど、シックなグリーンのスーツで決めたNAOTOと、遠山哲朗(G)、呉服隆一(Pf)がステージに上がり、まずは挨拶代わりの「Sunny Side Love」。ガットギターとピアノが刻む軽快なリズムと、タッピングやピチカートを駆使して奏でるバイオリンのメロディが心地良く響く。この会場はとにかくステージが近い。気軽に音楽と食事を楽しめる親密な空間のおかげで、メンバーもリラックスしているように見える。
「今日は素晴らしいゲストをお迎えしています。が、一部はこの3人で頑張ります。最後までゆっくり楽しんでください」
遠山がNAOTOのために書いた「consolation」は、クラシカルな品格と、郷愁をまとうギターの音色をたっぷりフィーチャーした安らぎのバラード。弾き終えたNAOTOが思わず「いい曲ですね……」とつぶやくのも納得の逸品だ。「Samba of the Sun」はその名の通りご機嫌なサンバのリズムに心躍り、「PARAMUSHIR」では哀愁漂うケルト音楽の響きが遥かな旅情をかきたてる。パーカッシヴな激しさとメロディアスな優しさを併せ持つ、3人のアンサンブルは完璧だ。
新登場のグッズ紹介を兼ねたMCがいつの間にやら脱線し、大阪のおせっかいオバチャンのエピソードで爆笑を誘うトークが最高に可笑しい。最新アルバムのタイトル曲「Polyvalent」のファンキーなリズムに乗り、踊るように弾きまくる姿が楽しい。息の合った三人編成の醍醐味をたっぷりと味わえた、第一部の45分間はあっという間だった。
「今日のテーマは“癒し”。素晴らしい歌声を爽やかな風と共にお届けします」
20分の休憩をはさんで第二部のスタート。いよいよスペシャルゲスト、小野リサの登場だ。おや、手ぶらですか? 珍しくギターを持たずにマイクに向かう、屈託ない笑顔とレモンイエローの服が目に眩しい。曲はご存知「イパネマの娘」。スタン・ゲッツのサックスのパートを、軽やかに奏でるバイオリンの音色が遠い異国の風を運んでくる。
「今日は僕が歌ってほしい曲をリサさんに歌ってもらう日です。歌だけでいいですか? というのも、僕がリクエストしました」
小野リサといえばブラジル音楽だが、2000年代以降は“音楽の旅”と題してヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアなど世界中の名曲をカバーしてきた。フランス産のシャンソン「回転木馬」もその一環で、明るく賑やかに、NAOTOのバイオリンもフィドルと呼んだほうが似合う奔放なプレーで盛り上げる。続く「街の灯り」は日本の歌謡曲のカバーで、オリジナルは1973年の堺正章。ブラジル生まれの小野リサが日本に帰国した時、よく見ていたというドラマ『時間ですよ』の劇中歌だ。洋楽への憧れと歌謡曲の系譜を織り交ぜた三連符の美しいバラードが、慣れ親しんだ子守歌のように懐かしく響く。深く柔らかいウィスパーボイスにそっと寄り添う、凛としたバイオリンの妙なる調べ。それはまさにこの日限りの一点物。
「この距離でリサさんの歌が聴けるなんで、素敵な時間でした。本当に幸せです」
風と共に去った小野リサとの夢の共演のあとは、盛り上がる曲で一気にラストスパート。ファン参加型のコーラス曲「Precious Day」は歌と手拍子で思い切りハッピーに、夜なのに「HIRUKAZE」は会場いっぱいの手拍子と手振りで明るくダイナミックに、素晴らしいスピードで駆け抜ける。第二部は異国情緒と世界共通のポップスの楽しみが共存する、40分間で世界を一周したようなロマンチックなひとときだった。
「初めて聴いた時、なんていい曲だろうと思いました。僕にとって、ボサノヴァの最初の扉はこの曲でした」
熱烈なアンコールの拍手に呼び戻されたNAOTOとメンバーが、再び小野リサを招き入れる。曲はNAOTOの思い出の曲であり、世界中のボサノヴァファンが愛してやまない名曲「WAVE」。アントニオ・カルロス・ジョビンによるこの上なく優雅なメロディを、慈しむように奏でるバイオリン、ギター、ピアノ、そして歌。ここが東京のど真ん中であることをふっと忘れさせる、この音楽には確かに人の心を高く遠く浮遊させる力がある。音が消え、メンバーがステージを降りてもその浮遊感は続いていた。もしかすると、今も続いている気がする。
腕利きの仕立て屋・NAOTOと仲間たち、そしてミューズの小野リサが織りなす、特別な魔法がかかったオートクチュール・ナイト。2日目はどんな特別な体験ができるだろう。明日の夜、またここに来るのがもっと楽しみになった。
取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希
>>【ライブレポート】NAOTO Living Live produced by “NAOTO” Haute Couture Collections 2019 第二夜

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