【インタビュー】Split end、『deep
love』で踏み出した新たな一歩

奈良発のギターロックバンド、Split endが3人体制で新たなスタートを切った。最新となる3rdミニアルバム『deep love』は先頃、脱退を表明したみさきーにょす(Dr&Cho)をふくむ4人でレコーディングした最後の作品。ソングライターであるななみ(Vo&G)の心境の変化に伴い、バンドの意識改革が曲や音にフィードバックされた作品はSplit endが踏み出した新たな一歩でもあるという。そんな彼女たちにバンドの“いま”を語ってもらいつつ、高校生だった頃のバンド結成の初々しいエピソードや、それぞれの音楽ルーツについても振り返ってもらった。

  ◆  ◆  ◆

■結成理由は「あまってたから」

──まずドラマーのみさきーにょすさんが10月19日のライブをもって脱退されましたが、かなり悩んだ末の決断だったようですね。

ななみ(Vo&G):2ヶ月ぐらい悩みに悩みましたね。ウチらの中では4人で続けるために工夫してみようって試みたんですけど、なかなか難しかった。気持ちの面でもムリさせたくなかったし、自分の人生やから最終決断は本人に委ねたんですけど、ケンカしたとか、そういうのではないんです。最初は反応を心配していたんですが、Split endのことを好きな人たちはすごくわかってくれて、それがめっちゃ嬉しかったです。

──オフィシャルサイトにみさきーにょすさんの脱退理由のコメントが発表されましたが、ご家庭の事情など本当に正直に書いていましたものね。

ななみ:そうですね。本人に正直に伝えたいという意向があって。

イオナズン(G):ほんまにやめてほしくなかったんですよ。私はいちばん最後にSplit endに加入して、3人以外とバンドをやったことがないから、1人欠けることがどういうことかわからなくて「どうしたらいいんやろう」ってずっと考えていたんです。バンドの活動を止めたくないという気持ちと抜けてほしくないという気持ちの両方を叶えることができないのがすごく悔しかったですね。

ななみ:私たち2人は高校のときからバンドをやっているので、いろんなことがあったんですけど(イオナ)ズンちゃんは脱退とか経験してないからね。

──話し合いの中でSplit endの活動を止めようかとか、そういう話は出ることはなかったんですか?

みーちゃん(B&Cho):止めようっていうのはいっさいなかったですね。脱退する前は活動のペースを落とそうかとか、ライブの本数を絞ろうかとか、そういう案は出ていたんですが、ツアーも決まっていたので結果、サポートドラマーを迎えてやっていこうということになりました。
▲みーちゃん(B&Cho)

──いま、高校時代の話が出たのでSplit endの成り立ちとひとりひとりのルーツについて聞きたいんですが、バンドをやろうと思ったキッカケは?

みーちゃん:私は母親がずっとピアノをやっていて、大学生のときにはバンドとしてジャズバーで弾いていたみたいで。

ななみ&イオナズン:へえ。知らんかった(笑)。

みーちゃん:なので、母の意向もあって私も小学生の頃から習っていたんですね。母の友達がピアノ教室をやっていたので別に英才教育とか、そういうんじゃないんですけど。で、運動は嫌いやったので部活はどうしようと思ってたら母に「やりたいことないんやったら吹奏楽部に入ったら?」って言われて入ったんですけど中学で燃え尽きて、高校に入って軽音部に入った感じですね。バンドに影響受けたというより別の方法で音楽がしたくて。

──軽音楽部に入って、ななみさんと知り合うんですか?

みーちゃん:そうですね。クラスも違ったので。

ななみ:文系と理系だったので1回も一緒になったことないんですよ。

──一緒に組もうと思った理由は?

ななみ&みーちゃん:あまってたから(笑)。

ななみ:私は「ボーカルやりたい!」って思って、いろんなクラス回ってメンバー集めてたんですよ。当時のギター連れて、みーちゃんのクラスにも行ったりして。

みーちゃん:そう。「ベースしたい人いませんか?」って回ってて。入部するときにバンド組んで書類を提出しないといけなかったんだけど、入学して間もないし、友達もいないし、「その場で組めるやろ」ぐらいに思ってたら、みんな決まってて、「しゃあないから入るか」ぐらいな(笑)。

ななみ:それでSplit endを結成しました。

──(笑)困っていた同士、組んだバンドが続いてしまったわけですね。

ななみ:(笑)そうですね。
▲ななみ(Vo&G)

──聴いている音楽も似ていたんですか?

みーちゃん:組んだときはそんな話しなかったですね。

ななみ:ホントに学校の体育で組む班を決めるみたいなノリです。

──どんな曲をコピーしていたんですか?

ななみ:映画『NANA』の主題歌になった「GLAMOROUS SKY」とかELLEGARDENとかチャットモンチーだったり。

みーちゃん:コピーするときはそれぞれが「この曲しよう」って提案するのでめちゃめちゃ音楽の話をしていたわけでもないんです。

──ちなみにななみさんの音楽ルーツは?

ななみ:私も3才からピアノをやってて小中学の卒業式の歌の伴奏とかがっつりやっていたんです。でも、中学に入って好きな人がバンド好きだったので聴くようになって、年上の従兄がギターを持っていたので触らせてもらっているうちに「わあ! バンドやりたい!」ってなったんですよね。そのときは吹奏楽部に入っていたんですけど。

──2人は似た道を通ってますね。

ななみ:そうなんですよ。吹奏楽も好きだったんですけど、「高校に入ったらやっとバンドができる!」って。だから必死にメンバー探していたんです。

──好きな男のコの影響で聴いたバンドというのは?

ななみ:エルレとアジカンですね。

──では、最後に加入(2017年)したイオナズンさんは? 名前の由来も気になります。

イオナズン:(笑)大学の軽音部でつけられたあだ名です。たまたま高校時代の先輩がいるサークルだったんですけど、みんなドラクエのあだ名がつけられていて男の人はみんなモンスターの名前で女のコは呪文だったっていう(笑)。それが意外とハマって4年も呼ばれ続けていると馴染んできたというか。
▲イオナズン(G)

ななみ:イオナズンだから“ズンちゃん”って呼んでます。

──謎が解けました。音楽に目覚めたキッカケは?

イオナズン:私は2人みたいにピアノや吹奏楽をやってたわけでもなく、高校に入って突然「バンドするかぁ!」って。

みーちゃん:吹奏楽やりたかったって言ってなかったっけ?

イオナズン:そう。やりたいなと思ったことがあったんですけど、吹奏楽部に入ってるコたちが成績も良くてかわいくて気が強くてみたいな感じだったので、自分と違いすぎて近寄りがたかったんですよね。で、水泳やってたんですけど、バンドはホントに思いつきで。

──そしたらギターにハマってしまったっていう?

イオナズン:そうですね。高校のときはそこまで熱中してなかったんですけど、大学の軽音が楽しくて「このまま続けてみようかな」って。でも「絶対、私はギタリストになるねん!」って強い想いがあったわけではなく、就活も普通にしていて就職先も決まってたんですけど、ライブハウスの人の紹介でSplit endと知り合って。

──仕事が決まっていたのに加入した決め手というのは?

イオナズン:就職も特にその仕事がやりたいと思って探していたわけではなかったので、バンドはやりたかったし、最善!と思ったのがSplit endだったんですね。ただ、それまでは軽音の文化祭とか限られた範囲でしか活動していなくてライブハウスにバンバン出ていたわけではなかったから、わからないことがありつつ「よさげかな」みたいなふわっとした気持ちで。

──音楽の趣味が合いそうというわけでもなく?

イオナズン:それはありました。

ななみ:ズンちゃんが加入する前に動画送ってもらったんですけど、それがウチら的には“うおおお”ってなって。

イオナズン:indigo la EndSUPER BEAVERのコピバンの動画送ったんです。

ななみ:私らもめっちゃ好きや!ってなって。

──ギターロックやるんなら、どんな音でどんなプレイスタイルなのかって重要ですものね。

ななみ:そうですね。
■人生観の変化

──最新ミニアルバム『deep love』はどんな変遷があって完成したんですか? 例えば、これまでと意識が違うとか、歌詞が変わったとか。

ななみ:歌詞に関してはいままでは下向いているような暗い内容ばっかりだったんですけど、明るいものが増えてきましたね。タイトル曲の「deep love」は暗めかもしれないですけど、「フェイクワンダーランド」や「生命力」は前向きだし、「オレンジの暮らし」はめっちゃ明るい歌詞だし。

──どういう心境の変化があったんでしょうか?

ななみ:Split endでは曲も歌詞も私が書いているんですけど、人生に対する考え方が変わった部分はあります。

イオナズン:今作を作るちょっと前のななみちゃんは、お酒飲んだらベロベロになって「私は幸せになったらあかんねん」とか言ってたんですよ。失恋して曲作ったりしてたから、悲しいことが起きないと曲ができないみたいな。

──けっこう思いつめてたんですね。幸せになっちゃったらSplit endらしい曲ができなくなっちゃうみたいな。

ななみ:その頃はそう思ってましたね。

イオナズン:そういうこと言わなくなってから、違うテイストの曲ができてきて。

ななみ:「私も幸せになりたい」と思い始めて(笑)。

──それまでは、むしろふってくれ、みたいな?

全員:(笑)。

ななみ:そこまでじゃないんですけど、前は頑張り方がわかっていなかったんだと思います。いまは前と比べたら曲作る熱量もできる曲数も5倍ぐらいになってます。ペースが早くなっていろんな曲ができるようになった。

──ということはSplit endが新しい時期に突入した作品が『deep love』?

ななみ:そうですね。第1弾って考えてもらってもいいかなと思います。
──2人はななみさんの変化をどう受け止めたんですか?

イオナズン:ななみちゃんの変化に戸惑ったのは覚えてます。去年、「オレンジの暮らし」を作ったぐらいの時期に「生活感のある曲を作りたい」って言ってて「えーっ?」って。それまでは失恋の曲とかわりと事実に基づいた歌は多かったから、「生活感のある曲ってどういうのだろう?」って。そういう曲を際立たせるギターをどう弾けばいいのかピンとこなかったんですけど、同時にその時期から各自が「こういうバンドがマイブームやねん」みたいな感じで音楽の共有をぐいぐいするようになったんですよ。以前はライブの移動中もそれぞれが好きなCDをイヤホンで聴いていたりしたのが、誰かの持ってきたCDをみんなで聴くようになって、お互いに歩み寄るようになっていった気がします。前はななみちゃんのノンフィクションの曲に基づいて演奏する3人というか。

ななみ:私が日本語でやりたい曲とか説明するのが下手くそだったんですよね。

みーちゃん:だからスタジオの休憩とかにズンちゃんと「さっき言ってたのどういうことなんやろう。全然わからん」って(笑)。

イオナズン:2人で「どういう意味なんやろう?」って。いま思えば「どういうこと?」って聞けばよかったんやけど。

みーちゃん:でも、その時期は聞いても返ってくるななみの答えがだいぶ抽象的やったんですよ。

ななみ:私自身の中でも明確じゃなかったので、この1年ぐらいは自分のやりたいことを伝えることに努力してきましたね。

イオナズン:音楽も共有するようになったから、「ああいう感じ」って例をあげられるからやりやすくなりましたね。

──みーちゃんさんが驚いた曲はありますか?

みーちゃん:高校生のとき最初に作ったオリジナルはだいぶポップだったんですよ。もともと明るい曲も作れるのはわかってたから、そんなにビックリした曲はないんですけど、作り方でいったら「ぼくたちの戦争」ですね。いままではテンポが速いと明るい曲調が多くて、こういうシューゲイザーとかオルタナに寄ったアップテンポの曲はなかったので「めっちゃいいやん」って。

ななみ:私も「こういう組み合わせもあったのに」って発見でした。
▲Split end /『deep love』

──現在はツアー中ですが、タイトルが<「愛を纏え、愛を放て」ツアー>。Split endにとって“愛”は重要なメッセージなんですよね。

ななみ:そうですね。私はつねに愛についての歌を書いてます。

みーちゃん&イオナズン:(爆笑)。

イオナズン:それ、偉人が言う言葉や(笑)。

みーちゃん:伝記とかの(笑)。
ななみ:今作の6曲もそうですけど、全曲、愛がテーマなんですよ。「生命力」に出てくる“愛を纏え愛を放て”という歌詞が気に入ったのでツアータイトルにしたいって言って。

──曲の中で“世界”はネガティブなものとして捉えられていて、その世界で生きている主人公は愛を探していますものね。

ななみ:この世界、いろいろ考えなあかんことがあるし、生きていくことってめちゃくちゃ難しいと思うんですよ。暗い部分を見たらキリがないと思うんですけど、その中で惹かれるものを見つけるのってすごくきれいだなと思っているんです。

──愛を届けるSplit endのライブの魅力は?

みーちゃん:私らのライブって騒ぐようなアッパーなノリじゃないんですけど、その分、自分の暗いところにフォーカスを当てて見られるバンドだと思うので、むしろ落ち込んでいるときに見てめちゃくちゃ泣いてほしいですね。

ななみ:わかる。

──泣いてデトックスできるような作用がある?

ななみ:そうですね。ワーッて楽しんでるより泣いてる人多いですね。

──泣いている人を見て、どういう気持ちになります?

ななみ:「泣け泣け〜」って(笑)。母性ですね。

みーちゃん:たまに最初の2曲くらいで泣いてるときあるやん?

ななみ:サウンドだけでキテたりとかね。

みーちゃん:嬉しいですけどね。

──音だけで泣けるってすごいことだと思いますよ。

イオナズン:お客さんがめっちゃ絶妙なタイミングで泣いてたりすると「わかる〜!」ってもらい泣きしそうになります(笑)。

ななみ:私もMCしてる最中に泣くことあるんですよ。自分のこと正直に話すと涙が出てきたり。

イオナズン:ライブ前に「今日ちょっと泣いちゃうかも」って言うときもあれば横で「あ、泣いてるわ」って思うときもある。

みーちゃん:お客さんもつられて、ななみ見て泣いてたり。

ななみ:そういう雰囲気のライブなのでライブハウスに行ったことがない人でも大丈夫です。

──もみくちゃにされるとか、ライブハウスって怖いかもっていうイメージを持っている人も。

ななみ:はい。スカートはいてきても大丈夫です。
取材・文◎山本弘子

3rd Mini Album『deep love』

2019年9月3日(火)発売
¥1,800(税抜)/NGNY-004
1. deep love
2. ぼくたちの戦争
3. オレンジの暮らし
4. ウェディングドレス
5. 生命力
6. フェイクワンダーランド-album ver.-


<Split end 3rd mini album release tour 「愛を纏え、愛を放て」ツアー>

※終了公演は割愛
2019年
11月16日(土)埼玉・越谷EASYGOINGS
11月17日(日)神奈川・F.A.D yokohama
11月26日(火)愛知・CLUB UPSET
12月8日(日)福島・LIVE STAGE PEAK ACTION
12月9日(月)宮城・仙台 Flying Son
12月14日(土)広島・福山Cable
2020年
1月13日(月祝)新潟・CLUB RIVERST
2月7日(金)東京・TSUTAYA O-Crest
2月15日(土)大阪・Music Club JANUS

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