【ライブレポート】SiM、<THE EXPE
RiMENT TOUR>開幕「実験、始めます
!」

11月5日、SiMの新たなツアー<THE EXPERiMENT TOUR 2019>が開幕を迎えた。彼らは2020年春のリリースを目指して5thフル・アルバムを制作中だが、そこに収録予定の新曲をいち早く披露しながら“実験”する機会として設けられたのがこのツアーで、しかも全公演がライブハウス規模での対バン形式によるもの。その第二夜にあたるライブを、11月6日、川崎CLUB CITTAで観た。
この日の共演者はヤバイTシャツ屋さん。疾走感が止まらない3人の熱演に、人で埋め尽くされたCLUB CITTAのフロアは最初から過熱気味。しかし午後8時を10分ほど過ぎた頃に場内が暗転し、SiMの4人が最初の一音を轟かせた瞬間、まるで爆発物が炸裂したかのような衝撃をおぼえた。タイトに研ぎ澄まされた一瞬の“ジャーン!”の説得力が半端じゃないのだ。
黒一色に統一された衣装に身を包んだ彼らは、序盤から「DiAMOND」「Blah Blah Blah」、さらには「Faster Than The Clock」といった、SiMのファンならイントロクイズに即答できないはずもないキラー・チューンを惜しみなく繰り出し、完全にオーディエンスをコントロール。MAHは「フェスは遊び場。俺たちのホームグラウンド、ライブハウスへようこそ!」と観衆に呼び掛け、「CDを出す前に新曲をやっちゃうツアー。アタマじゃなくカラダを動かしてください!」などと扇動していたが、そんな言葉が聞こえてくる以前からフロアは極上の一体感に包まれていた。

そして「ここから新曲。実験、始めます!」という言葉に導かれながら肝心の新曲群が披露されたのは、ライブも終盤に差し掛かりつつあった頃のこと。MAHが黒いバットを手にしながら歌う「BASEBALL BAT」は、ブライトな感触からヘヴィに一転するインパクト充分のナンバー。次に「昨日やってない、悪魔の歌」と紹介されたのは「Devil In Your Heart」。そして「自分らしく生きる権利を虐げようとするやつに負けるな、という曲」という言葉に続いて始まったのは「BULLY」。まさに三者三様の新曲たちは即効性も高く、いずれも新鮮さとSiMらしさを兼ね備えたもの。筆者自身、初めて聴く曲のような気がしなかったし、それはオーディエンスにとっても同じだったはずだ。
MAHはこれらの新曲でも場内の一体感が損なわれることのないよう、各曲が始まる前にサビの歌詞やコーラス・パートをレクチャーしていたが、そんな心遣いは不要だったかもしれない。なにしろ観衆の大半はこうした初披露の楽曲たちに即座に順応していたのだから。そうした即時的反応の素晴らしさに、当然ながらステージ上の4人も満足そうだった。そして、新曲の3連打を披露した後は、「WHO’S NEXT」と「KiLLiNG ME」という必殺コースでクライマックスへ一直線。その後のアンコール2曲も含め、一瞬たりとも熱が冷めることのない、実に密度の濃いライブだった。

すでにミュージック・ビデオが公開済みの「SAND CASTLE feat.あっこゴリラ」を聴くことができなかったことが少しばかり残念ではあったが (この前夜、ツアー初日の恵比寿リキッドルーム公演では披露されている)、この夜の“実験”が大成功だったことは言うまでもないし、ここから先もこのツアーの過程のなかで、待望の新作アルバムを彩ることになる楽曲たちが次々とお目見えすることになるのだろう。こんな試みのためならば、オーディエンスは喜んで実験台になるはずだし、アルバム自体に対する期待感も当然のように高まってくるというものだ。
終盤のMCで、MAHは新作について「清書していない、今までで最もまとまりのないアルバム」と語っていた。果たしてその言葉が意味するのはどういうことなのか? 彼がSilence iz Mineを始動させてから今年で15年。翌年から正式にSiMとしてのスタートを切っているこのバンドが現在のラインナップになったのは、今からちょうど10年前のことだ。もちろんそうした年数でバンドの歴史が区切られるわけではないが、実に4年ぶりとなる新作フル・アルバムは、彼らにとって新たな起点となるのではないだろうか。

このツアーは年末、12月18日まで続く。すでに全公演ソールドアウトとなっているが、SiMの次なる展開に乗り遅れずにおくためにも、是非、彼らのホームグラウンドであるライブハウスへと足を運びたいところだ。

取材・文◎増田勇一
撮影◎SUZUKI KOUHEI
■<THE EXPERiMENT TOUR 2019>

11月05日(火) 恵比寿LIQUIDROOM
open18:00 / start19:00
w/ ハルカミライ
(問)SMASH 03-3444-6751
11月06日(水) 川崎club CITTA'
open18:00 / start19:00
w/ ヤバイTシャツ屋さん
(問)SMASH 03-3444-6751
11月11日(月) 名古屋DIAMONDHALL
open18:00 / start19:00
w/ DUB 4 REASON
(問)サンデーフォークプロモーション名古屋 052-320-9100
11月12日(火) 岐阜ANTS
open18:30 / start19:00
w/ DUB 4 REASON
(問)サンデーフォークプロモーション名古屋 052-320-9100
11月14日(木) 静岡 窓枠
open18:00 / start19:00
w/ キュウソネコカミ
(問)サンデーフォークプロモーション静岡 054-284-9999
11月18日(月) 大阪BIGCAT
open18:00 / start19:00
w/ PRAISE
(問)GREENS 06-6882-1224
11月20日(水) 京都MUSE
open18:30 / start19:00
w/ 岡崎体育
(問)GREENS 06-6882-1224
11月21日(木) 神戸 太陽と虎
open18:30 / start19:00
w/ Age Factory
(問)GREENS 06-6882-1224
11月26日(火) 郡山HIPSHOT JAPAN
open18:30 / start19:00
w/ dustbox
(問)G.I.P 022-222-9999
11月27日(水) 新潟LOTS
open18:30 / start19:00
w/ Survive Said The Prophet
(問)FOB新潟 025-229-5000
11月29日(金) 金沢EIGHT HALL
open18:30 / start19:00
w/ 岡崎体育
(問)FOB金沢 076-232-2424
12月05日(木) 広島club Quattro
open18:00 / start19:00
w/ SHANK
(問)夢番地 082-249-3571
12月07日(土) 愛媛W Studio RED
open18:00 / start18:30
w/ SUPER BEAVER
(問)DUKE 089-947-3535
12月08日(日) 香川OLIVE HALL
open17:30 / start18:00
w/ SUPER BEAVER
(問)DUKE 087-822-2520
12月11日(水) 鹿児島CAPARVO HALL
open18:00 / start19:00
w/ ハルカミライ
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
12月13日(金) 佐賀GEILS
open18:00 / start19:00
w/ SHIMA
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
12月17日(火) 苫小牧ELLCUBE
open18:30 / start19:00
w/ SHADOWS
(問)SMASH EAST 011-261-5569
12月18日(水) 札幌PENNYLANE24
open18:00 / start19:00
w/ SHADOWS
(問)SMASH EAST 011-261-5569
▼チケット
立見¥3,800 (税込・入場時別途ドリンク代)
※6歳未満入場不可・6歳以上有料
※お一人様各公演4枚まで
※モッシュ・ダイブに関する怪我等は自己責任とさせて頂きます
■<THE EYEWALL NiGHT vol.2>

2020年2月23日(日) 福岡 国際センター
open16:00 / start17:00
▼出演
SiM / LiSA / THE ORAL CIGARETTES
▼チケット
1Fアリーナスタンディング ¥7,800(税込)
2Fスタンド席 ¥7,800(税込)
3Fスタンド席 7,800(税込)

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