音楽とアイリッシュウィスキーの魅力
に酔いしれる JAMESON HALLOWEEN LI
VEレポート

美味い酒と共にいい音楽を聴く、なんて素敵なイベントだ。アイリッシュウィスキーのJAMESONが主催する音楽プロジェクト、<JAMESON HALLOWEEN FES 2>のフィナーレを飾る<JAMESON HALLOWEEN LIVE>が開催された。会場の渋谷WWWにはオリジナル・フライヤーが飾られ、ハロウィン間近ということも相まって、普段足を運ぶライヴハウスもちょっぴり変わった雰囲気で包まれていた。
 HAPPY、Newspeak、AAAMYYY、FINLANDSTempalayというラインナップで行われた昨年に続き、2年連続の開催となった本イベント。今年は唯一の2年出演となったFINLANDSのほか、DATSグッドモーニングアメリカが登場。ジャンルの垣根を越えた魅力的なアーティスト陣を見ると、主催者たるJAMESONの音楽愛が垣間見える。きっとウィスキーと音楽のコラボを誰よりも楽しんでいるのは彼ら自身だろう。

JAMESON HALLOWEEN LIVEレポート

 「ゴードン」から始まったFINLANDSのライヴは、塩入冬湖のねめつけるような鋭い視線と空間を裂くようなハイトーンボイスが冴えわたっていた。曲はポップでキャッチーなものが多いが、彼女のメンタリティは間違いなくパンクだろう。ソリッドで切れ味抜群のギターと、スピード感のある展開で、硬派なオルタナティヴ・サウンドを響かせる。春にはベースの脱退も経験したFINLANDSだが、既に新しいモードを掴んでいるような印象だ。「音楽を聴きながらお酒を飲むのは素晴らしいことだと、信念を持ってやっているイベント」と、JAMESONへのリスペクトも忘れない。前半の白眉はメランコリックな「衛星」で、こうした歌を書けるのも塩入のソングライティングの魅力である。ラスト1曲、マイクスタンドをなぎ倒しハンドマイクで歌う「ウィークエンド」は最高にクールだった。
 エッジの効いた上音が印象的だったFINLANDSとは一転、低音に存在感があり、色気のあるグルーヴを生み出していたのがDATSだ。セッションから始まったライヴは「Mobile」、「Memory」とスタイリッシュな代表曲へと続いていく。赤紫の妖艶なスポットライトも彼らの楽曲をよく引き立たせ、自分達の温度でじわじわとフロアを染めていくようなライヴである。途中、MONJOEがハイボールをオーダーし、オーディエンスと一緒に乾杯する一幕があるなど、JAMESONとのコラボを楽しむような姿も印象的だ。後半はマッドチェスターからの影響を感じさせる「オドラサレテル」から、彼らの楽曲の中でも特に開けた景色を見せる解放感を持った「Game Over」へ。情熱的な生音と冷ややかなエレクトロ・サウンドを同居させる彼らの楽曲の中でも、肉体的なアンサンブルを強く響かせる楽曲達で、会場のボルテージを上げていく。「Heart」でライヴを終えるまで、彼らのパッショナブルなプレイに惹きつけられた人は多いだろう。
 そして、トリとしての責務をきっちりと果たしたのがグッドモーニングアメリカだ。たなしんがJAMESONのボトル型の着ぐるみに身を包み、オーディエンスと乾杯しながら客席から登場した時点で掴みはOK。ド頭からオーディエンスの心を射止めた彼らは、エンターテイメント精神溢れるパフォーマンスで魅せていく。数々の舞台に立ってきたキャリアに裏打ちされた、胆力を感じさせるステージングである。そしてもちろん、演奏が素晴らしい。「Tonight Tonight」で始まり、「光となって」、「アブラカタブラ」となだれ込んでいったライヴは、どの曲も4人の呼吸がピシっと合ったタイトな演奏でバンドとしての筋力を感じさせた。活動休止前最後のシングル「フルスロットル」、昨年リリースのアルバム表題曲「YEAH!!!!」など今のグドモの楽曲も抜群で、「花」のような歌を聴かせる曲を織り交ぜる緩急、饒舌な話術らすべてが折り重なってショーになっていた。
 今年オリジナルメンバーだったコシズミカヨが脱退し、正式メンバーとしてはひとりになったFINLANDS。yahyelからの脱退を発表し、DATSでの活動に専念していくことを決めたMONJOE、そして本年の活動を持って休止に入るグッドモーニングアメリカなど、それぞれが活動の節目を迎えた3組だったが、どのバンドもそうした背景を感じさせない、音楽だけで勝負する姿勢がカッコいい。三者三様のロックを自由に楽しむ空間となった<JAMESON HALLOWEEN LIVE>。アイリッシュウィスキー片手に音楽を楽しむハロウィン・イベントはきっと来年も最高の形で開かれるだろう。

JAMESON HALLOWEEN LIVE概要 2019年10月30日(水) 会場:渋谷 WWW 出演: グッドモーニングアメリカ DATS FINLANDS セットリスト FINLANDS: 1.ゴードン 2.バラード 3.UTOPIA 4.衛星 5.ガールフレンズ 6.call end 7.ウィークエンド DATS: 1.Soul Session 2.Mobile 3.Memory 4.404 5.Money 6.オドラサレテル 7.Game Over 8.Heart グッドモーニングアメリカ: 1.Tonight Tonight 2.光となって 3.アブラカタブラ 4.言葉にならない 5.フルスロットル 6.YEAH!!!! 7.花 8.未来へのスパイラル EC1.そして今宵は語り合おう

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