松下優也&青野紗穂が魔術ミステリー
の世界に! 音楽劇『ロード・エルメ
ロイII世の事件簿 -case.剥離城アド
ラ-』いよいよ始動

2019年12月~1月にかけて千葉・東京・大阪・福岡にて上演される音楽劇『ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-』​。都内某スタジオで行われたビジュアル撮影にて、キャラクター姿に身を包んだロード・エルメロイII世役の松下優也&グレイ役の青野紗穂をキャッチ! 総合演出を務めるウォーリー木下とともに語る、壮大な物語世界に立ち向かう“決意”とは──
ーーまずは本作がどのような舞台になっていくのか、その構想などをお聞かせください。
ウォーリー:僕は今回初めて「総合演出」という形で関わらせてもらうんですけど……演出って大きく分けるとふたつあって、ひとつは大げさに言えばその舞台が社会にとってどういう意味があるのか、もしくはお客さんにとってどういう意味があるのか、キャストやスタッフにとってどう作るに値する作品にするかを考えること。そして、もうひとつは、それとは別に商品としてしっかり出来上がらせるという役目があると思っています。僕は今回その前者をやらせていただいて、後者の方は演出の元吉庸泰くんに頑張っていただくという役割分担を考えています。構想はまだこれからではあるんですけど、すでに小説や漫画やアニメとして壮大な叙事詩的世界観が広がっている作品、その一端を舞台として担わせていただくとすれば、やはり元々のファンの方たちにも初めて触れる方にも受け入れてもらえる、そして新しい解釈で楽しめる舞台にできたらいいなぁとは思っています。
ーー“魔術ミステリー”という部分でのお楽しみもいろいろありそうですね。
ウォーリー:そもそも魔術がたくさん出てくるファンタジーテイストの作品だからこそ引き受けさせてもらったというところも大きくて。僕は演劇はなんでも出来ると思っているんですが、その「なんでも出来る」ということを証明するためにもこういうハードルの高い作品を……戯曲も半分ぐらいできてますが非常に難しい戯曲で(笑)。でも難しければ難しいほど楽しいし面白い。無理難題なト書きもあるんですけどね、そういうものもぜひ具現化して演劇化していけたらいいですね。
ウォーリー木下
ーー主演のお二人はこの作品にどんな魅力を感じていますか?
松下:やっぱり世界観じゃないかなぁ。僕もまだ原作小説や漫画、アニメを見始めている段階ではあるんですけど、例えば背景の描き込まれ方ひとつにしてもとてもキレイですし、それが舞台化されたときにどういう風になるのか、すごく楽しみに思えました。難しいですけどね、お話は(笑)。
ウォーリー:難しい。なかなかわからないよね。
松下:え、わからないって言っちゃっていいんですか? 言っていいんだったら……僕もまだ「わからん」です(笑)。
青野:フフフッ(笑)。
ウォーリー:台詞回しも難しいですし。
ーーその難しさも含めた作品の空気感が魅力である、と。
松下:そうですね。稽古しながら難しさと向き合い、そこをちゃんと理解して落とし込んでいけたらなぁって思ってます。
青野:私は原作がある作品を具現化していく舞台をやるのは初めてなので、撮影のときも「こんなにミニスカなんや〜」って思って(笑)。
ウォーリー・松下:(笑)。
青野:あ、そこからすでにテンションが上がったんですよ。もちろんお話もすごく好きな物語で……ここに出てくる魔術、言葉にするのが難しいんですけど日本人が好きそうな感じがいいんですよね……!(笑) あとグレイが持つ武器がめちゃくちゃ大きいから、それを持つのがもう楽しみで仕方ない。それを思い切り振り回せたらいいなぁ。
音楽劇『ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-』
ーー実際に衣裳を身につけると、さらに気持ちが入りますよね。
青野:ウィッグも本当に綺麗な銀髪で、あ、これがロマンだ!って思いました(笑)。すごくウキウキしてます。
松下:俺、2.5次元作品に出るの、ひっさしぶりなんですよ。3、4年ぶりくらい?
ーーミュージカル『黒執事』以来ですね。
松下:そう。だからなんか、懐かしい感じがしました。もちろん作品も衣裳も全然別なんですけど、キャラクターを纏う感じとかが。この世界観もそんな違和感なくやれたかなって思います。髪の毛の捌きとか本番はどうするんやろっていう課題も見据えつつ、「始まるんだな」って感じはしましたね。
ーーご自身のキャラクターのイメージはいかがですか?
松下:アニメを見てひとつ安心したのが、エルメロイII世は体力があんまりないんですよ。なのでこれ、あんま動かんでええんちゃう?って(笑)。原作モノは役によってはもうホントにとてつもなく動きますから……ってこと言ってると「じゃあ動いてもらおうか」ってことになるから、ここではあまり言わないでおきますね(笑)。
ウォーリー:(笑)。
松下:中身的なことだと、第一印象はちょっと冷たいキャラクターかなぁと思ったんですが、原作を読んだら見た目よりも人間味のあるキャラだなって感じて。意外なギャップがありました。
青野:グレイは本当に師匠(エルメロイII世)のことを信頼しているんだなっていうのと、「これやっておきました」みたいにいいタイミングで師匠をヘルプする感じとか(笑)、気の利くいい子なんだなって思いました。私も最初に絵でこのふたりを見たときはちょっと近づき難い感じのような印象だったんですけど、ふたりとも案外おっちょこちょいだし、師匠はよくわかんないところでキレて勝手に自己完結してるところがあるんですよ。それを見てグレイちゃんが「なんかいいですね、今の師匠」ってなってたりもして。作品世界の言葉が難しい分、そういうキャラクターの親しみやすさって見ている人は入りやすいんじゃないでしょうか。
青野紗穂
ウォーリー:彼ら二人はやっぱり作品の入り口になる存在なので、劇中、それぞれが抱える闇みたいなモノがあるんですけど、そこがうまく伝わるような仕組みを僕が作る。そしてその仕組みに二人が乗って楽しく演じられるモノが提案できたらいいなぁとは思っています。この二人がドライブかけないと多分物語が進まないので、そういうモノになればいいな、と。
ーーカンパニーのみなさんの印象はいかがですか? 身体の利く俳優さんが揃っているイメージですが。
ウォーリー:うん、そうですね。やっぱり物語の大事なポイントでは必ず戦いがありますし。
青野:師匠は? 命令だけ?
ウォーリー:あー、ま、頭脳派だからね。割とそうかも。グレイは戦いますよ。
青野:はい。戦います。楽しみ〜!
ーーおふたりはウォーリーさんとは初タッグですね。
松下:派手な演出方法やアイデアをたくさんお持ちの方なので、それこそ僕があまり動かなくても周りでいろんなことが巻き起こっているような舞台にしてくださるんじゃないかなぁと(笑)。そういう期待はしています。
ウォーリー:やっぱりそこか(笑)。んー、でもこの舞台はやっぱりエルメロイII世がどれだけ頭が良くて頭脳でいろいろ切り抜けていくのかってことが重要だしそのための理念を見せるってことが大切なので……そういう意味では松下くんが言うように、彼が立っていて、そこでどういう表現で伝えるのか? ということが大事だなとは思います。映像での魔術ショーを見せたいわけじゃなく、やはり人物ドラマを見せたいのでね。
青野:私はジャンルも含めて初めてづくしなウォーリーさんとの作業の中、絶対なにかしら掴みたいなって思っています。歌、お芝居……自分がなにをどれくらいできるのかまだわからないですけど、原作の世界から飛び出して来るというなかなか体験できない世界の体現。もう楽しみしかないですね。とりあえずできるところまで頑張ります!
ーー「音楽劇」ということは、やはり歌もたっぷりと?
ウォーリー:歌の比重はかなりあります。そして、歌わない部分でも音楽が物語を引っ張っていくという構造にはすると思うので、やっぱりこのお話はすごく難しいんです。ある文脈をわかってないとちょっと理解できない単語が出てきたりするし、でも知らない人が楽しめないのは良くないと思っていて。そういう意味で今回は音楽劇にすることでより深く伝えられるモノがあるんじゃないかなぁと。心情を歌い続けるミュージカルではなく、音楽劇として音楽の良さを生かしたい。
ーー物語が常に音楽と共に在る、という感じですか?
ウォーリー:あ、そう。そうですね。
音楽劇『ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-』
ーー公演は12月。まだ少し時間がありますが、それまでどんな準備を?
松下:原作があるモノをやるときは小説でも漫画でもアニメでも必ず見ますし、特に2.5次元作品の場合は原作を愛している方たちもたくさん観てくださるので、僕的には新たに提示するというよりも、すでにみなさんが愛している世界へと近寄りたいなって思っています。だからまずはそこへのアプローチですね。自分のキャラクターを研究し、ある程度準備を整えて稽古に臨んでいければ。そこがベースにあってこそ、芝居も乗せていけるんだと思いますし。
青野:準備……できることはいろいろあるんだと思います。小説を読んで、アニメを見て、とにかくたくさんたくさんイメージを膨らませながらお稽古を楽しみに待ちたいですね。あとは日焼けをしないこと、かな(笑)。グレイの肌、めっちゃ白いので。
ウォーリー:あの……今回もちろん映像も使うんですけど、今のところは基本、黒いステージにしたいなと思っていて……奥行きがわからない感じ、といいますか。そこに照明、光と陰の効果をベースに、イリュージョン的なマジックの方にも入ってもらっての演出を織り交ぜ、見ている人が「あれどうなってるんだろう?」「急に上から現れた!」とかね、今僕がト書きで見ている不思議なことを体感してもらえるように考えています。僕の拠り所はあくまでも戯曲なので、魔術の表現もあくまでも戯曲に書かれているイメージ。アニメでの表現は意識していません。むしろもうここは舞台なので舞台を観にきてもらった醍醐味、舞台で触れられる喜びを与えられたらいいなぁと思っています。
ーー人気原作の舞台化ということで、原作ファンの方も注目の一作。こうした2.5次元作品は「初めて観劇する」というお客様も多くいらっしゃいますし、実は観劇人口を増やすという大きな役割も担っていると思うのですが……。
松下:そうかもしれないですね。自分は今ミュージカルもストレートプレイもいろいろやらせてもらってますけど、チケットもそれなりの金額がしますし、そこに寄せる一人一人の思い……その日その場所に観にきてくださること自体がもう相当なパワーだと思うんですよ。だからなかなか簡単には「観に来てください」って言えないんだけど、僕も元々は音楽からこの世界に入ってきて、お芝居や舞台の面白さは自分がやるようになって気づいた人間。気づけて、そして日々楽しんでやれているので……舞台の世界、まだ知らないみなさんにも楽しい空間が広がっているのは絶対だよって言いたい。
松下優也
ウォーリー:やっぱり芝居に行ったことないと、若い人は特にちょっと怖いかもね。舞台の世界。
松下:ですね。自分は子供の頃親に舞台へ連れて行ってもらうとき、なんかサーカスに行くときみたいなゾクゾクっとした怖さがありましたよ。
ウォーリー:ああ〜、そうだね。
松下:だからこそ、僕が出ている作品がまだ舞台の楽しさを知らない方の世界が広がる入り口になればいいなぁって思うんです。なによりも僕らができることのひとつとして、先輩方が繋いできた舞台の世界をまた新しい世代の若い人たちへ広げていくのも大事な役目。この思い、この楽しさ、ぜひ受け取りにきて欲しいですね。
青野:私、以前は舞台に行くときはいつもドレスアップして、ちょっと特別な気持ちで行ってました。でもみなさんは昔の私みたいに気張らんでもええかなって(笑)。2.5次元舞台は日本で生まれた日本特有の文化。こんなに素敵な文化ってほかになかなかないと思いますし、自分が興味を持ったモノなんだから、まずはもうただただ楽しみにして劇場まで来て欲しいですね。自分が好きだったものが、現実に触れるくらいのところにあるんだってことを知るのは素敵です。平面とは違う、目の前で生で見る愛情や情熱や汗……まずはぜひそこに触れて欲しいです。
ウォーリー:確かに演劇ってハードル高いな、敷居が高いなって思うかもしれないし言葉がすでに硬いイメージですけど、実際はもっとこう、スポーツみたいな感じ。生身の人間が目の前で今まさに起こることに対してやりとりをしているっていうことを楽しむ場所なんです。高尚なものを見させていただくっていうんじゃなくて、一緒に応援するというか見ながら自分も盛り上がれるモノなんだってことを知ってもらえたら、もっともっとみんなが足を運んでくれるんじゃないかな。今回もぜひそういう気持ちで劇場に来てみてください。
ーーたくさんの出会い、楽しみですね。
松下:僕らも楽しみです。
青野:はい。待ってます!
音楽劇『ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-』
取材・文=横澤由香 撮影=福岡諒祠

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