NIGHTMARE メンバー個々のバンドで出
演したイベントでバンド復活を宣言、
『伊達漢祭』完全レポート

little HERARTS.11th Anniversary Special LIVE「伊達漢祭」

2019.10.14 ZEPP Tokyo
アンコールでのこと。“NIGHTMARE”という文字がスクリーンに映し出され、「Quints」が大音量で流れるなか、バンド活休以来初めてYOMI(Vo)、柩( Gt)、咲人(Gt)、Ni~ya(Ba)、RUKA(Dr)の5人が同じステージに集まったものの、残念ながら集結するだけで終わってしまった2018年の『伊達漢祭』。あれから1年。10月14日、会場となった東京・ZEPP Tokyo には再び、NIGHTMAREのメンバー・ソロプロジェクト5組が一堂に集結。そのアンコールで、5人がついにNIGHTMAREとしてバンド復活を伝えた記念すべきイベント『little HERARTS.11th Anniversary Special LIVE「伊達漢祭」』。その模様の一部始終をレポートする。
■LSN
LSN
トップバッターを務めるのは、RUKAのソロプロジェクトであるLSNだ。昨年同様、1番手を狙うところはRUKAらしい。NIGHTMAREのメインコンポーザーらしく、5人のソロプロジェクトのなかではもっともダークでハードな歌ものサウンドを貫き、NIGHTMAREの遺伝子を色濃く匂わせるLSN。この日は髪を短く切ったRUKAを筆頭に、全員が真っ黒い衣装を着て登場。まずは挨拶代わりに「MODO NOSTRA」をじんわりと切り出し、ZEPP場内をどっぷりまっ暗闇へと飲み込んでいく。おなじみの「Cruel」ではヘドバンがあちこちに広がり、齋藤紳一郎(Gt)がハンドマイクでラップし、場内を盛り上げ、また、最新ミニアルバム『D.E.W』収録曲の「GAUDY」は、揺紗(Vo)が「声出せ!」、「はい、手拍子!」と歌の合間に叫んで、動作をガイドしながら観客をライブにどんどん引き込んでいった。そして「ZEPP TOKYO、盛り上がってる? このまま盛り上がった感じで」と揺紗が叫び「PARTY」からラストまで来場者とともに暗闇の快楽のパーティーでぶち上がる。「去年よりみなさんが協力的で楽しかったです」と揺紗がコメントしているなか、RUKAはジャケットを脱ぎながら真っ先にドラム台から立ち去っていった。

LSN
■BULL FIELD
BULL FIELD
NIGHTMAREとは真逆にあるような、爽快感たっぷりの明くて男らしいロックサウンドをストレートに打ち出し、昨年の『伊達漢祭』で大いに話題をさらったNi~ya率いる3ピースバンド、BULL FIELDがインスト曲「BIGINNING」で勢いよく舞台に登場。フロアの声援をあびながら「REV LIMIT」、「DRIVE ME CRAZY」とNi~yaがベースを弾きながら歌い出すと、暗闇にぬられたZEPPにたちまち爽やかな躍動感が広がる。Ni~yaは「去年もいったけど、俺はNIGHTMARE活休中ソロ活動はやらないっていってたけど、結果やっちまった」といってファンを笑わせたあと、そのお陰でベーシストとしてだけではなくベースをプレイしながら歌うこと、作詞作曲など様々な経験ができたことについて「とにかく音楽続けててよかった」と笑顔をうかべながら伝え、続けて新曲「BREAKAWAY」をアクト。曲中、歌わないときは積極的にフロントまで飛び出し、ベースソロを弾きながら観客を煽りまくるエモーショナルな「BATTLE FIELD」から、とびきりポップな「BRIGHT」へと流れる終盤などフロントマンとしての成長を感じさせるパフォーマンスで場内を楽しませた。演奏が終わると、Ni~yaのベースを(gremlinsのサポートBaをつとめる)Chiyuが受け取るというお約束の1幕で、最後まで観客を笑顔にしてステージを去っていった。

BULL FIELD
■TAKE NO BREAK
TAKE NO BREAK
カラフルなレーザービームがこれでもかという勢いでバンバン飛び交う場内、EDMが爆音で鳴り響くと場内の雰囲気がガラッと変わる。続いてはYOMI改め“淳”が率いるTAKE NO BREAKが登場。真っ白いロングケーブルがついたマイクを持ち、ダメージジーンズにTシャツ、足元はスニーカーというヴィジュアル系とはまったくかけ離れたルックスの淳が、早速フロアにクラップを求め、ライブは「HUNGRY」の破壊力あるアッパーなビートで開幕。音とレーザービーム、照明が三位一体となってライブ空間を埋め尽くすなか、「Take my hand」では全員をジャンプへと導き、オーディエンスのテンションをどんどんあげていく。「今日を楽しみにしてました。最後まで楽しんでいこうぜ!」と淳が叫び、ミラーボールにレーザーをあて、きらびやかな空間を作って見せた「act in the dark」、タオルを回しダンサブルなミクスチャーサウンドで心地よく躍らせた「Jump in the Sound」とフロアを容赦なく盛り上げていったあと、最後にできたてホヤホヤの新曲「Never Leave You」を届けてライブを締めくくった。

TAKE NO BREAK
■gremlins
ハロウィンのようなダークファンタジーなSEが流れるなか、ヘアやメイクまでキメキメの派手な和モダンファッションで着飾り、狐のお面をつけた柩とKNZ(Dr)が率いるgremlinsが姿を現わす。KENZOの前に柩と、2人が全幅の信頼を置くサポートメンバーの関西勢・Chiyu(Ba)と美月(Gt)がフロアに背中を向けて構え、4人でアイコンタクトを交わしたあと、「HUNGRY.」でこの日のショーは開幕。NIGHTMAREでは飛び道具的なポジションでエフェクティブな声で楽曲を盛り上げていた柩だが、「mischievous」では本気の歌でぐいぐい曲をリード、「耳心過.」ではアッパーなバンドのグルーヴを腰でとらえ、体をクネクネ動かす妖艶なパフォーマンスで観客をどんどんのせていく。そうして、出演者のなかで唯一メンバー紹介をして「以後、お見知り置きを」と丁寧な挨拶でそれを締めくくったあとは、サプライズでカウボーイなビートを轟かせる新曲「snatch」を初披露し、ファンを驚かせた。そうして、後半は「the brilliant world」、「FLYAWAY」、「Bacchus」とおしげもなく盛り上がりの曲をかっちりと揃えて、最後までgremlinsならではの明るくチャーミングで陽気なロックンロールでオーディエンスを魅了していった。

gremlins
■JAKIGAN MEISTER
JAKIGAN MEISTER
この日のトリをつとめたのは、咲人(Gt)率いるJAKIGAN MEISTER。中近東の匂いがたっぷり混ざったスパイシーなSEをバックに咲人(Gt&Vo)、Ni~ya(Ba)、Tooru Yoshida(Key)、HIRO(Dr)が真っ白い衣装で登場。咲人の耽美で端正な容姿が衣装でさらに際立ち、場内からは悲鳴が上がる。そんな美しさとは対照的な、キモカワな赤ちゃん顔形テルミン(目が光るとキモカワ度がさらに倍増!)を目の前に置いて、「DAWN」でライブはスタート。次はルーパーペダルでギターのリフを重ねながらファンキーなパーティーチューン「Crook」を披露し、オープニングから歌いながギタリストとしてどこまでチャレンジングなプレイができるのかというジャキガンならではこだわりのギター&ヴォーカルのあり方を、オーディエンスに徹底的にアピール。そんな咲人がボーカリストして大胆なファルセットにチャレンジした新曲「Halcyon」なども挟みながら、後半は「名状し難いほど有り余る邪気」までとことん一体感ある盛り上がりを作りだしていった。そうして、最後に「今日俺から伝えたいことはただ一つ。みんながつないでくれたその手は、俺たちは絶対に放しません」という言葉を残し、最後に「ワールズエンド」を演奏し、華麗に投げキッスをフロアにおくってこの日のイベントを締めくくった。

JAKIGAN MEISTER
NIGHTMARE
アンコール。スクリーンにはこれまでNIGHTMAREが行なってきたライブがモノクロの映像となってひっきりなしに流れていく。その上で数字を刻むカウンターが、2016.11.23のところでピタリと止まる。それは、NIGHTMAREの活動休止前のラストライブを行なった日だった。
そこから、再びカウンターが動き始める。シーンと静まり返り、固唾を呑む場内。そうして2019.10.14で再びカウンターがストップ。すると、幕がパーンと開き、照明がともると、“NIGHTMARE”のロゴを背負い、新衣装に身を包んだ5人が、NIGHTMAREとしてオンステージ。場内に絶叫が響き渡るなか、なんと去年と同じ「Quints」のイントロが流れ出す。
NIGHTMARE/YOMI(Vo)
今年は、目の前にいる5人がそれを生演奏しているのだ。さっきまでの“淳”を脱ぎ捨て、裸足になり、髪型も髪色も変えてセンターに構えたYOMIが<夢見たこの場所はずっと夢見たあの場所か?>と歌い出した瞬間、ファンはたまらずボロボロと号泣。タオルで涙をぬぐい、泣きじゃくりながらステージの5人を見ながら手を掲げる。あのとき止まって以降、メンバーが、ファンがずっと夢見ていた場所。それが、目の前に広がっている。曲の終わりは、4人がRUKAに視線を集め、演奏を締めくくる。そんなシーンを見ただけで目頭がさらに熱くなる。
曲が終わり、絶叫するフロアに向けて耳に手を当て、さらなる歓声を求めるYOMI。その横で、咲人が両手を華麗に広げ、ポーズをとってみせる。YOMIが「ZEPP、そんなもんか?」「頭置いて帰れー! かかってこーい!!」と叫び、始まったのはNIGHTMAREの代名詞「極東乱心天国」だった。すぐさまフロアにはヘドバンが広がる。ステージを見ると、いつもよりも視線を上げ、場内も視野に入れながらプレイしているRUKAがいた。
NIGHTMARE/柩(Gt)
NIGHTMARE/咲人(Gt)
柩とポジションチェンジをしようと移動をする咲人が、RUKAに目線を送ると、そのRUKAが珍しく微笑んだ。そのあとは、Ni~yaがいつものようにドラム台に片足をかけてベースを弾き、お立ち台のところでは柩とYOMIが向かい合って変顔合戦を繰り広げる。いつもの「極東~」の景色が、目の前に蘇る。そうして、4人がお立ち台に揃ったあとは、オーディエンスがいつもの大合唱をこの日ばかりは泣きながらメンバーに届ける。
そうして、大興奮のまま曲が終わり、YOMIが「みんな、また会おう!」と伝え、NIGHTMAREのライブは終了。と、同時にステージを後にするRUKA。手を振るNi~ya、投げキッスをする咲人、柩がYOMIのところに近寄って「よかったな」と耳打ちして抱き合い、余韻を楽しんだあとは、YOMIがナマ声で「ありがとー!」と叫び、この日のイベントはフィニッシュ。
NIGHTMARE/Ni~ya(Ba)
NIGHTMARE/RUKA(Dr)
その直後、スクリーンを通してNIGHTMARE が20周年のアニバーサリーライブ『NIGHTMARE 20th Anniversaryh SPECIAL LIVE GIANIZM~最惡~』を2020年2月11日に神奈川県・横浜アリーナで開催することを発表すると、観客はこの日最大の悲鳴をあげながらさらに号泣を続けた。
2016年11月23日、東京体育館でラストライブを行ない、活動を休止したNIGHTMAREが復活の場所に選んだのは、バンド史上過去最大規模となる横浜アリーナだ。活休中、各々がソロプロジェクトで培ってきたものをNIGHTMAREへフィードバックしたとき、はたしてバンドにどんな化学変化が起きるのか。2020年2月11日、横浜アリーナで見届けてもらいたい。暗黒の帝王、NIGHTMAREの伝説が、ここからまた新たに始まる――。

取材・文=東條祥恵
NIGHTMARE

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