【清木場俊介 インタビュー】
基本的にどの唄も
自分に言い聞かせている
自分に自信がある人って、
そもそも曲を作らない
スケール感やダイナミズムは、なかなか机上では生まれにくいですもんね。実際に体感したものを歌詞やメロディーに吹き込まないと、どこか嘘っぽかったり、上辺だけに映ってしまう。先ほど死生観の話が出ましたが、今作では主に後半のゾーンでその辺りを感じる曲が並んでいますね。
もう“死”に向かい合ってもいい年齢でもあるし、唄にしてもいつかはファイナルステージを迎えるわけで、その際に自分はどのようなファイナルを描くのかなと。長く続けるのももちろんですが、いつかファイナルが訪れた時、そこに何を残すべきなのかというのを作りながら考えることも増えましたね。なので、“長くやりたい”“もっと売れたい”よりかは、“あと何曲、世に残せるか”“この曲は長く残り、聴き継いでいってもらえるだろうか”“自分は最期、どのような曲を残せるか”…ということを考えていることも多く、それが唄に表れた部分はあります。
「削りゆく命」なんてまさにそれを感じました。
どれもフィクションですからテーマやシチュエーションは違えど、どこか唄っていることの根本は共通しているでしょうね。特に今作はその辺りが如実に表れていると自分でも感じています。というか、そうじゃないと唄っていても自分に響かない。最近は日記みたいな感覚で歌詞を書いてるんですよ。思ったままをガーッと書いて、ほぼ書き直さない。書いたそのまんま。あえて整えたり、きれいにしたりしない…客観視したくないんですよね。
いびつでもそのままのほうがリアリティーがあっていいと?
そうです、そうです。描いたら最後まで描き通したい。“続きは明日描こう”とかは嫌なんです。逆に出し切れない場合はほとんどお蔵入りにしているぐらいで。その場で描けないということは、それ以上のストーリーはないということでしょうし。今作の全曲もそうですが、最近は一気に最後まで書き通した歌詞の曲しか作品化したり、ライヴで歌ったりしていません。
それがゆえの熱量を、これまでの作品以上に感じます。
この方法論は性格的に飽き性なのも関係してるでしょうね(笑)。スタジオに半日もいられないタイプなんで、自分。だから、“リミットは半日しかない!”と意識して挑んで、ものすごい集中力で2時間で2曲を書き上げたり。早く終わらせて遊びに行きたいタイプなんですよ(笑)。良い仕事をして、さっさと終わらせて、早く呑みに行きたいですからね。
それにしても今回は歌詞に強さを感じました。あと、バシッと本質をダイレクトに言っていたり、シンプルに唄としても伝えている印象も受けました。
基本的にどの唄も自分に言い聞かせています。強い歌詞の場合は、その時の自分は弱気だったんでしょうね。そこに向けて唄ったというか。「生きてこそ」の《生きてやれ 生きてやれ》って歌詞も、“生きなくちゃ”と言い聞かせているよりかは、どちらかと言ったら死にたかった時期だったというか。そんな自分と対峙した時に“それでも生きなくちゃダメなんだよ!”との想いを込めて残しました。それらも含め、今回はほとんど逆のことを唄ってますね。ひとりでいて、自分に満足できて、自分に自信がある人って、そもそも曲を作らないだろうし。自分はどちらかと言ったら弱い人間だし、そんな自分があまり好きではない。“強く生きたい”と常々思っていているから、その想いを残しておこうと思うわけで。ただ、それで弱いことだけを語るとむちゃくちゃダサいので(笑)、強いことを言って、いつか聴き返した時に“あの頃こうだったんだな”と振り返りたいというか。そういう意味では、このアルバムの唄たちが今後、その辺りの答え合わせも含め、自分やお客さんにとってどう響くかが今から楽しみでもあるんです。
取材:池田スカオ和宏
アルバム『CHANGE』ダイジェスト
アルバム『CHANGE』コメント
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