【清木場俊介 インタビュー】
基本的にどの唄も
自分に言い聞かせている
変わるのを待つんじゃなくて、
自分から変えに行きたい
そんなニューアルバム『CHANGE』はそのタイトルから“一変”を予想してましたが、実際は変わらないものと新しく変わったもの、その両極の同居も耳を惹きました。“CHANGE”を表していくうちに自然と“UNCHANGE”なものも浮き彫りになった感があったんです。
ポイントはそこなんです。今回のタイトルや中身に関しては、変化を表した“CHANGE”よりも、21歳のデビューからここまでをしっかりとやり上げて40代に向かっていく、そのための“CHANGE”なので。いわゆる節目的な。やはり40代に突入することは自分の中でも大きな出来事ですから。あるじゃないですか、年代が変わる瞬間の想いって。次の年代にはとんでもないぐらい人生が変わるんじゃないかとの恐怖や楽しみが。まっ、そんなことは20代の時も30代の時も起こらなかったんですけど(笑)。
自分も同じです(笑)。
(笑)。対して40代に突入する自分はより冷静になれている面もあるので、変わるのを待つんじゃなくて、自分から変えに行きたいって。その辺りが収まった作品だと自分ではとらえています。内容的にも各曲、前作からこの2年間で自分が感じた日々のことを綴っているので、ほぼリアルなことしか描いていないし。
確かに今作はこれまで以上に、信憑性や信頼感がある曲が収まっている印象があります。どうして今回はその辺りを?
20代30代で作ってきた楽曲が、今思うと自分の胸が痛くなる作品群だったなって。切なく苦しい自分の像みたいな。対して40代はより的確にポジティブに生きるオッサンを唄おうと(笑)。そういった面では今回はかなり深い部分まで唄えました。
死生観に向き合ったり、自分との戦い的な唄の内容からも、その辺りがうかがえます。
自分の中では“このようなシチュエーションの際、こんなタイプの曲が欲しい”というのが各曲、結構明確にあったんです。例えば“朝起きた時には「虹色の朝」で目を覚ましてみたい”とか。人の死に直面した時に“この想いを書き残しておきたい”とか。あとは、単純に“ロックンロールな曲が欲しい”とか。ただ一曲一曲欲しいもの、このタイミングやシチュエーションでこんな曲を唄いたいというものを書いていったんです。8曲目の「走り続けて」も旅をする中で、自分の応援ソングとして欲しかったし。だから、今回に関しては誰かに向けてよりかは、ほぼほぼ自分に向けて、自分と対峙しながら書いた曲ばかりなんです。
それが意外な面でもありました。というのも、全体的に聴き手が見えるアルバムだと感じていたもので。
もちろんアルバムを作るにあたって気にするのはライヴであって、今作でもそれをイメージして作ったと言っても過言ではありません。そういった面ではどの曲もライヴでのステージがイメージできる…その辺りは意識したので、そう感じられたんでしょう。この作品のリリースのあとにはホールツアーもやりたかったし。なので、ホールに映える、そんなダイナミズムやスケール感を想像したり、意識して各曲を作っていきました。
「走り続けて」に関しては通例なら疾走感があって、もっと勢い良く駆け出していきそうですが、わりとじわじわとダイナミズムにてスケール感を表していますよね。
ほぼ情景を言葉にしてますからね。旅をしている自分をイメージして書いたし。レコーディングの時は“どのようなイメージを持ってステージに立っているか”というところで固まっていくので、ほとんどの楽曲が情景を思い浮かべて、そこに立つ自分を描いています。
各曲かなり情景的ですからね。
そうなんです。自分の場合、都会の雰囲気や景色よりも田舎の空気や情景みたいなものが、常に何かを作る時には重要になっていて。なので、東京の自分の部屋で机に向かい合って、イチから歌詞を書くこともあまりしないんです。だいたいイメージをどこかで吸収して、それを膨らませて、スタジオに持ち帰って一気に書き上げる。そんなパターンばかりですね。だから、生きている日常の中で感じたことが多いのかもしれません。
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