【ライブレポート】崎山つばさ、俳優
とアーティストを行き来する“舞台的
”ワンマンライブ

崎山つばさが10月1日、新木場スタジオコーストにて2nd LIVE<TSUBASA SAKIYAMA PREMIUM LIVE 2019 -Flow*er->を開催した。
崎山つばさといえば、「2.5次元」作品に多く出演し、今年は主演映画や舞台など出演している人気俳優。ミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士として、『第69回NHK紅白歌合戦』に出演し、お茶の間に大きなインパクトを残したことは記憶に新しい。最近では舞台のみならず、『広告会社、男子寮のおかずくん』(2019年)にも出演し、活躍の幅をどんどん広げている。さらに2018年には初のソロ名義でのCDリリースを果たし、同年12月には初のワンマンライブをZepp Divercity Tokyoにて行うなどの実績を持つ。

俳優としての崎山つばさは、アーティストとしてどのようなライブを披露するのか。アーティスト・崎山つばさの新たな魅力が詰まったライブをレポートする。

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会場に入ると、キャパシティ2,400人の会場は多くの客で溢れかえっていた。なかには男性の姿や海外からと思われる観客の姿も見受けられ、はやくも幅広い層から支持されていることを実感させられる。

ステージ上のスクリーンには、「Flow*er」の文字が映し出されているが、これは崎山によると、「音楽や時間が“流れる”という意味を持つ“flow”と“人”を表す“er”、その二つを合わせて“Flower”」という意味が込められているそうだ。ライブ前の高揚感に包まれた会場に鋭いギターの音が鳴り響くと、観客は一斉にペンライトを点灯。色とりどりのペンライトは、まるで美しく咲く花のようにも見え、「Flow*er」という言葉には本人が語る以上に多くの意味が込められているのでは、という予感を感じさせられる。

カラフルなペンライトに迎えられスモークの中から崎山つばさ本人が登場すると、会場からは歓声が沸き起こる。激しいサウンドにのせ「いくぜ東京!」とのっけから強気に煽る崎山は、インタビュー雑誌でよく見かける穏やかそうな写真のそれとは良い意味でギャップを感じ、これから彼が魅せてくれるライブへ否が応でも期待感が募っていった。
そんな期待を煽るように崎山が「声出せ!」と叫ぶとすぐに1曲目「Re:quest」がスタート。ステージの上を楽しそうに動き回る姿からは、本人もこのセカンドワンマンライブを心待ちにしていたことを感じさせられる。さすが舞台慣れしているからか、ステージ上でのパフォーマンスはお手の物。余裕すら感じさせる佇まいに、早くもアーティスト・崎山つばさの真価を見せつけられた気がした。1曲目からコール&レスポンスも完璧で、ファンとの一体感は抜群。なお、「Re:quest」は崎山本人が初めて作詞を担当した曲でもある。そんな思い入れのある曲を1曲目に選曲するところからも、彼がこのライブにかける覚悟が伝わってくる。

勢いそのままに「Free Your Hand」と「Believer」を熱唱。この2曲は崎山が出演していた舞台・ドラマ『御茶ノ水ロック』(2018年)で、崎山演じるバンドマン・SHOが歌っていた曲でもある。その直後のMCでは、「SHOのスパイスが入っていたかもしれない」と語っていたが、これぞまさしく俳優とアーティストをシームレスに行き来する崎山の本領発揮だ。

崎山は、さらに「Flow*er」というタイトルにこめた思いについて、改めてファンに向けてこう語る。「感謝、笑顔、感動、希望。そんな花をみなさんと一緒にこの場所で咲かせたい」と。音楽が“流れる”空間に集う“人”全員でライブを作り上げたい……そんな崎山の願いも、恐らく込められているのだろう。
MC明けは雰囲気が一変し「Salvia」「スノーギフト」「月花夜」「キンモクセイ」といった“flower”を題材としたバラードが続く。「Salvia」は今年の8月に発売された4thシングル収録曲で、ライブでは初披露だ。ペンライトは赤一色に灯され、会場中にサルビアの花が咲いたかのような幻想的な景色が広がった。ちなみに赤いサルビアの花言葉は「燃える思い」。崎山が今回のライブに込めた熱い思いが伝わってくるような切なげな歌唱に、ファンはペンライトを揺らしながら応えていた。曲のラスト、高く掲げた拳を開くと赤い花びらが零れ落ちるという演出には、大きな拍手が鳴りやまなかった。

そんな拍手をかき消すように響いたシンバルの音から始まったのは「スノーギフト」。先ほどまでの赤い景色から一転、ペンライトは白く灯され会場は一面の雪景色へと変貌。この曲も、「Re:quest」と同じく崎山本人が作詞したラブソング。ライブ前のインタビューで本人も「推し曲」だと語っていたこの曲の歌唱は、確かに胸に迫るものがあった。

ちなみに、この日のバンドメンバーは1stワンマンライブと同じ。「スノーギフト」後のメンバー紹介では、樹(Dr)のアイメイクの濃さに崎山が突っ込むと、樹からは「こういうメイク好きでしょ?」と切り返し。「好き」と答えた崎山に対し、「もう一回言って!」という樹のおねだりには、しばし間を開けて「…好き」と呟くファンサービスも。これには会場からは黄色い歓声が上がっていた。

さらにこの日は、バンドメンバーのパーソナルな面を引き出したいという名目で、「休日は何してる?」「ウエスト何センチですか?」「影響を受けた音楽は?」など、笑いが絶えないトークを連発。ベース・Shoyoの驚異のウエスト57cmを保つ秘訣は「水を毎日5リットル飲むこと」といったバンドメンバーのプライベートトークや、ライブ直前の9月22日まで崎山が出演していた舞台『幽☆遊☆白書』のトレーニングで胸囲が7センチ増え衣装を作り直したというマル秘エピソードを告白し、会場を沸かせていた。

仲の良さを感じさせるフランクな掛け合いからは、俳優でもアーティストでもない、“素の崎山つばさ”を感じられ、ファンからここまで愛される彼の内面を垣間見た気がした。また、ファンだけでなく、バンドメンバーとも熱い絆で結ばれていることを実感させられ、どんどん崎山の魅力に惹かれていく自分がいることにふと気が付く。
続く「月花夜」は、デビューシングルでもあり、舞台『煉獄に笑う』の劇中歌でもある、ファンにとっても思い出深い曲。和楽器界で活躍中の和楽器隊・桜menとのコラボ曲でもあるこの曲は歌詞にも和のテイストが織り交ぜられ、募る恋心をしっとりと歌い上げた。

「キンモクセイ」では暗闇のなか照らされた一筋のスポットライトの元に崎山が登場。その手には、黄色い花を束ねたブーケが握られていた。先ほどの切なげな歌唱から一変し、両親や友人への感謝の気持ちを綴ったこの歌を驚くほど優しい声で歌う様子から、役者・崎山つばさの実力を改めて実感する。

ここで一旦バンドメンバーと崎山は舞台袖へはけ、会場には波の音が静かに響き渡った。ステージ上手側に一筋のスポットライトが灯され、その下へ崎山が登場するとスクリーンには「サルビアの花束 朗読:崎山つばさ」の文字が。「Salvia」の歌詞を題材にした朗読劇だ。ひと夏を共に過ごした男女の切ないラブストーリーを、時に優しく、時に激しく、時に歌うように情感たっぷりに語る崎山は、あの瞬間まさしく俳優とアーティストをリンクさせていたと言えよう。ライブと朗読劇、アーティストと俳優をリンクさせた崎山にしかできない演出に、ファンは惜しみない拍手を送った。その後、会場に向け深々とお辞儀をした崎山の姿が印象的だ。

そしてここからは再び雰囲気を変え、ポップでキッチュな世界観へと会場を誘う。ロング丈の白シャツへと衣装を着替えた崎山が、2人のダンサーを引き連れ「ダンシング☆サムライ」と「太陽系デスコ」を独特な振りと共に披露。カラフルなスポットライトが躍るなか、崎山の動きに合わせロング丈のシャツがひらひらと舞う様子は目にも鮮やかだ。
ここでスペシャルゲストとしてDA PUMPのTOMOとKENZOが登場。ふたりは崎山の「ダンシング☆サムライ」と「太陽系デスコ」のミュージックビデオの振付を担当し、紅白でも共演しているという、縁深い関係。KENZOは、2018年末に開催された<ミュージカル『刀剣乱舞』真剣乱舞祭2018>へ、TOMOは崎山の主演舞台『幽☆遊☆白書』へ足を運んでいたと話し、プライベートでも親交があるようだ。

さらに、先ほどのダンスパートのなかに舞台『幽☆遊☆白書』で演じた浦飯幽助の必殺技・霊丸のジェスチャーや、DA PUMP「U.S.A」の“いいねダンス”や「桜」の〝桜フィンガー”、「P.A.R.T.Y.〜ユニバース・フェステイバル」の〝バイーンダンス”等の、DA PUMPの話題かつ象徴的なフリも隠しこんでいたことを告白し、両者のファンを沸かせていた。

ラストは「覚悟できてますか!」の掛け声とともに「Crescent Moon」と「螺旋」を熱唱。崎山も会場も、最後まで勢いは衰えることなく激しくコール&レスポンスの応酬を繰り広げていた。

ステージから崎山がはけると、会場からは早速「アンコール!」の声が。しばらくすると、ライブグッズのパーカーに着替えた崎山が登場。パーカーには赤や金の花柄があしらわれ、細部まで“flower”へこだわる、崎山の思いが感じられる。

崎山が「みなさんの心に花は咲いたでしょうか?」と問いかけると、会場は暖かな拍手に包まれる。その拍手に後押しされるように、「今年一年で主演舞台を3作経験したことが、ライブでフロントマンとして立てていることに繋がっていると思う。逆に、ライブでの経験が主演舞台にも繋がっている」と真摯に自分の思いを語ってくれた。アーティストと俳優活動はお互いに相乗効果を与え合い、崎山を更なる高みへと確実に昇華させているのだろう。
一方で、アーティストと俳優活動を追うファンの懐事情を心配する崎山らしい優しい発言も飛び出し、会場からは笑いが沸き起こる一幕も。ファンを気遣いつつも、「それ以上のものをファンのみなさんに届けたい」と真剣な表情で約束した。

アンコール1曲目は「frost flower」。時おり祈るようなポーズをしながら「心からありがとう」と歌い上げる姿からは崎山が心の底からファンへ感謝している様子が伝わり、その真っすぐな思いには胸を打たれたのは、筆者だけではないはずだ。

そしていよいよ最後の曲「君の隣へ」へ。マイクを会場へ向けファンも一緒に歌う様子から、改めてファンとの強い絆を感じさせ、ライブは終了した。会場から惜しむような声がかけられるなか、恒例となった集合写真を撮影し、「また会いましょう!」の声と共にステージ袖にはけた崎山。まるでひとつの舞台作品を観たかのようなドラマチックな構成はまさしく俳優にしかできないライブであり、「“俳優がライブをする”というのが僕らしさ」と語っていた崎山の本懐を成し遂げたライブだったと言えよう。

ファンへの感謝と、アーティストとしてこれからさらに活動していく覚悟が随所に感じられた本ライブ。早くも3rd LIVEの開催が待ち遠しいものとなった。

取材・文◎鈴木 幸

<崎山つばさ 30th Birthday Event>

【大阪】
2019年10月27日(日)
昼公演:開場13:30/開演14:00
夜公演:開場17:00/開演17:30

会場:マイドームおおさか Eホール(3F)
https://www.mydome.jp/mydomeosaka/

【東京】
2019年11月3日(日・祝)
昼公演:開場12:30/開演13:00
夜公演:開場16:00/開演16:30

会場:品川グランドホール
http://tg-hall.com/

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