【ライブレポート】ASH DA HERO、ツ
アー初日に最高の夜「今からでも人は
変われる」

ASH DA HEROが9月29日、OSAKA MUSEより<ASH DA HERO LIVE TOUR 2019 GOD SAVE THE ROCK AND ROLL II>をスタートさせた。
ソールドアウトとなった満員の会場は、開演を待ち侘びるオーディエンスの熱気で爆発寸前。ステージ上にはASH DA HEROの名前が刻まれたバックドロップに、真紅のフラッグ。徐々に大きくなるThe StrutsのSEとシンクロするようなクラップと歓声と共に次々とバンドメンバーが登場、ドライヴするバンドサウンドが本日の主役を迎える。
「ロックンロールショーへようこそ!」──ASH DA HERO

と開口一番。何百という手が上がった絶景にASHも思わず微笑んだ。ド頭からメッセージがビシビシ胸に突き刺さる「からっぽの街」に息を呑んだのも束の間、虹色の照明に照らされながら、音楽というガソリンを心に火の点いたオーディエンスに容赦なく注いでいく姿は、最高にクール。

「まだまだ行こうぜ大阪! 誰が大阪に帰ってきたと思ってんだ!?」と放った「HERO IS BACK 2」でも、促さずともパーフェクトにキマるシンガロング。会場が混然一体となってトップスピードで突き進む光景は壮絶だ。「Are You Ready!? Crazy Osaka! 本邦初公開の新曲を持ってきました!!」と披露したのは「Starting Now」。本ツアーの各会場にて限定リリースされるシングルの1曲が、疾走感溢れるヘヴィなサウンドでOSAKA MUSEを完全ロックオン。新曲とは思えない盛り上がりには、大阪とASH DA HEROの相性をまざまざと感じさせる。

「1年ぶりに帰ってきたけど、大阪やっぱ好きやねん(笑)。みんなまとめてかかってこいよ!」と煽れば、それを呼応するかのように熱い咆哮やジャンプと熱狂ぶりは続く。
「初日大阪、2年連続満員御礼ソールドアウト、本当にありがとうございます!」と、まずは感謝を述べ、そのままDREAMS COME TRUEの「大阪LOVER」をひと節もじって歌い上げたASHが、「この1年、めっちゃ関西弁練習したんやで。どうなん? 俺の関西弁」と投げかければ、「まだまだやな」と返してくるあたりは、さすが大阪(笑)。「まぁな、そういう愛の形やもんな、大阪は(笑)」と思わずASHも笑ってしまうほど、フロアがグッドヴァイブスに包まれる。

「久しぶりの大阪、いいねやっぱり! 元気をもらっちゃうね。“大阪を初日に選んで最高だったな”っていう夜を1人1人と作っていきたいと思うので、今日はよろしくお願いします! 街を歩いててASH DA HEROの看板を見かけるような世界では今はないかもしれない。でも、こうやって顔が見える距離で、匂いが分かる距離で、体温を感じる距離で、こういうところから広がっていくんだよ。こういうところから広げていくんだよ。俺の人生はいつまで経っても、ジジイになっても、死んでも完成しないかもしれない。でも、俺の人生には君というピースが必要で。だったら未完成なまんまでいいんじゃない? 死ぬまでは」──ASH DA HERO
この日、会場限定でリリースされた「未完成ストーリー」はMC通り、彼の人生観や価値観をしたためた1曲だ。力強い言葉とサウンドの渦の中、オーディエンス1人1人に優しいまなざしを送るASH。その後も、“悔しいんだろ まだやれんだろ!”という歌詞の一節が心を焚きつける「Never ending dream」や、“夢があるヤツは頑張れ、夢がないヤツは俺がお前の夢になってやる。お前が逃げなきゃゴールは逃げないんだよ!”と熱唱した「STAY FREE」など、言葉で、歌で、観る者を奮い立たせるASH DA HEROの音楽。魂を鼓舞するようなリリックが染みわたる新曲「Gatekeeper」といい、“いつだってライブハウスにお前の居場所があるから”と、目の前にいる全員の手を離さないようなASH DA HEROのライブには、なぜオーディエンスがここまで惹きつけられるのか、という理由がきっちりと詰まっている。

MCでは、「ライブにこうやって会いに来てくれるみんなにね、いち早く新曲を届けたくてさ」と素に戻った地元・名古屋弁で、本音で、心から伝えようとしてくれている愛が分かる。「全員でぶっ飛ばしてロックンロールしていきましょう!」と幕を開けた後半戦も、しょっぱなからタオルが回る。その手を緩めず、「大阪、暴れ足りないよね? 知ってる知ってる。OSAKA MUSEがぶっ壊れちゃったら俺が弁償するからさ(笑)」とブチ上げれば、天井知らずのハイボルテージで熱量が一気に急上昇。さらには、「大人から子供まで、みんなが楽しめる世界一安全なサークルモッシュ(笑)」がフロアに発生。会場の隅々まで愛おしそうに眺めながら歌うASHも「すげー……」と漏らした、音楽が生み出すピースフルでハッピーなシーンには鳥肌が止まらない。
そして、「デビューした頃はギラギラしてて、気に入らないヤツはぶっ飛ばして、俺の道を作ることばかり考えて、この曲で俺の物語は始まりました。だけど今は、中指を立てるだけじゃなくて、人差指も立てて、その先にあるのがピースだと思ってるので。俺の背中と行動を見て、ついてきてください。俺がよぼよぼのジジイになっても歌い続けていくであろう曲を。でっかい声で“クソくらえ!”って歌ってくれ!!」とフラッグを肩にかけ、代表曲の「反抗声明」を。その勇ましいASHの姿はオーディエンスの先頭に立って戦う勇者のよう。

「歌手になる、プロになる、東京へ行く、ロックをやる。選択肢なんていくらでもある世の中で、俺はこの道を選んで。それを選ぶまでにいろんな人を傷付けたり、いろんなことを取りこぼしたり、いろんなものから逃げてきた自分がいます。最初からカッコいい人間なんてほとんどいなくて……そうだ、言い忘れてた、僭越ながら、先日誕生日を迎えました(笑)。そうやって1つ1つ年を重ねていってるけど、俺たちはいつまでそれを言い訳にして、足踏みしてるんだろうね。今からでも、何歳からでも、人は変われる。俺の人生がそうだったし、今もそうだよ。辛いと嘆くだけなら辛いままだよ。言えよ! “辛い”んだったら。君の人生に一本線を付け足して、“幸”に変えてやるから。いつでもライブハウスに会いに来てください。いつもたくさんの愛をありがとう、また必ず大阪に帰ってきます」──ASH DA HERO
最後の1曲まで全身全霊で駆け抜けたASH DA HEROは、10月18日(金)の東京・Veats Shibuya公演、11月23日(土)の名古屋・ElectricLadyLand公演への並々ならぬ覚悟を語り、「また必ずライブハウスで会いましょう、旗は立てておくぜ!」とステージを去った。舞台に残されたフラッグが、まるで再会を約束する証のようにゆらめいた渾身のライブだった。

取材・文◎奥"ボウイ"昌史
撮影◎西殿智紀
■<ASH DA HERO LIVE TOUR 2019「GOD SAVE THE ROCK AND ROLL II>
09月29日(日) 大阪・OSAKA MUSE
open16:30 / start17:00
▼シングル「未完成ストーリー」+ オリジナルGOODS
XQCR-1108 ¥3,000
※OSAKA MUSEライヴ会場にて発売開始

10月18日(金) 東京・Veats Shibuya
open18:30 / start19:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼シングル「Starting Now」+ オリジナルGOODS
XQCR-1109 ¥3,000
※Veats Shibuyaライヴ会場にて発売開始

11月23日(土) 名古屋 ElectricLadyLand
open16:30 / start17:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
▼シングル「Gatekeeper」+ オリジナルGOODS
XQCR-1110 ¥3,000
※名古屋ElectricLadyLandライヴ会場にて発売開始

▼チケット
前売り ¥4,000(税込) / 当日 ¥4,500(税込)
※スタンディング / 入場時ドリンク代別途必要

3ヶ月連続シングルCDリリース情報

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