無意識から生まれる怪物。ブラック・
ミディが語るジャム・セッションの魅
力とは
即日完売となった、代官山unitでの初来日公演は超満員。イギリスのブリット・スクール(アデルやエイミー・ワインハウス、キング・クルールらを輩出)が生んだ新星の音を求め、多くの音楽ファンが詰めかけた。既に語られているように、彼らの音楽からはポストパンク、マスロック、クラウトロック、ポスト・ハードコアといった、多くの音楽の歴史が聴こえてくる。そして何より、その楽曲は変則的で強烈だ。今年デビューしたばかりの彼に熱視線が集まるのは、そうした音楽的な知性と好奇心、創作に対するピュアネスが受け取れるからだろう。
さて、そうしたエナジー溢れるBlack Midiの音楽は、基本的にはジャム・セッションから生まれている。しかも、40分くらいジャムを続けていく中で、だんだん自我がなくなってきた頃にいいものが出てくるという。…実にクレイジーな話である。けたたましく、エネルギッシュで、予測不能、それでいてキャッチーな要素もあるBlack Midiの音楽がどのようにして生まれてくるのか。そのメカニズムをジョーディ・グリープ(Vo&G)とキャメロン・ピクトン(B&Vo)に聞いた。
ずっと動きのある音楽をやりたい
ー爆発的なエネルギーがあって、非常にエキサイティング。Black Midiの作品からは多くの音楽性、音楽の歴史が聴こえてきます。
ジョーディ・グリープ(Vo&G):
うん、なるほど。ーおふたりはティーンの頃、もしくはもっと若い頃に、音楽を聴くことでどういう快感を得ていましたか。
ジョーディ・グリープ(Vo&G):
音楽の何がいいのか、そこから何を感じるかっていうのは、一言では表現できないな。ただ、そこにあるメッセージ性や複雑な音作り、そのすべてが合わさったものに自分は動かされてきた。センセーションを感じる時が、音楽を聴いていていいなと思う瞬間だね。キャメロン・ピクトン(B&Vo):
俺もジョーディと同じだよ。いろいろな音楽を聴いて、そこから自分が何か感じられるものを聴いていた。ユニークなものだったり、何か学べるものを聴く。そういう楽しみ方で音楽を聴いていたな。ー日本のアンダーグラウンドから生まれたジャンル「Black Midi」からバンド名を取っていることや、ダモ鈴木とのセッション、ボアダムスから影響を受けているというエピソードがありますね。日本の文化へのシンパシーはありますか?
ジョーディ・グリープ(Vo&G):
もちろん日本にはいいものが沢山あるけど、日本の音楽や文化に特別他の国よりも強く繋がりを感じているわけではないよ。ボアダムスは5年前にハマって、武満徹のような日本のクラシックも凄く好き。ただ、日本の音楽がすべていいかって言われたらもちろんそうじゃない。これは日本の音楽だけに言えたことじゃないけど、ジャンルだったり、ムーブメントだったり、いろんなことがある中で、いいものっていうのはその中の1パーセントしかないと思う。その素晴らしい音楽の一部が彼らだと思うし、でも、たとえばブラジルにも素晴らしい音楽は存在しているから、日本のものだけに特別執着しているわけではないな。