【動画あり】ミュージカル『FACTORY
GIRLS~私が描く物語~』開幕~柚希
礼音は「自信作」、ソニンは「充実感

柚希礼音が主演を務めるA New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』が2019年9月25日(水)TBS赤坂ACTシアターにて初日を迎える。これに先立ち、同日日中に囲み会見とゲネプロ(通し稽古)が公開された(次の動画をご参照のこと)。
【動画】『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』公開ゲネプロより

本作は、ブロードウェイの新進気鋭作曲家クレイトン・アイロンズとショーン・マホニーのコンビと、日本語版脚本・演出を務めた板垣恭一を中心とする日本のクリエイティブチームが集結、日米共作で製作された、“世界初演”のミュージカルだ。
19世紀半ばのアメリカ・ローウェルを舞台に、産業革命によって大規模な紡績工場が誕生し、そこで自由や希望を夢見ながら“ファクトリー・ガールズ”として働く女性たちの闘いを描いている。

(前列左から)清水くるみ、実咲凜音、柚希礼音、ソニン、石田ニコル(後列左から)板垣恭一、クレイトン・アイロンズ、ショーン・マホニー

ゲネプロ前に行われた囲み会見には、柚希のほか、ソニン、実咲凜音、清水くるみ、石田ニコル、そして板垣とクレイトン・アイロンズ、ショーン・マホニーが出席した。
初日を目前にした心境を聴かれた柚希は、「ついに初日ですね!」とかみしめるように口にする。「世界初演、日米合作に関わらせていただき、大きな作品をいつも以上に一丸となって作り上げてきました。自信作でございます!」と胸を張る柚希に皆が大きくうなずく。

続いてソニンも「アメリカチームが音楽を(担当し)演出が板垣さんで、オリジナル作品を作る楽しさと充実感、難しさを感じましたね」と力強く語った。ソニンは続けて「板垣さんのご理解もあって、歌詞とか言葉を作り上げる事を、私が(演じる)ハリエットと同じく、ライターとして自分の言葉として書くことをご理解いただきまして、練り込みました」と舞台裏の苦労を明かした。
実咲は「高揚感でいっぱいです。お客様に観ていただいて、どのような言葉をいただけるのか楽しみです。新作ということで、板垣さんとお話しながら作り上げて、キャストの皆さんともいろいろと話し合って作り上げた作品なので」と喜びにも似た心境を述べた。
「初日はどんな作品でも緊張します」と語り出した清水は「今回は一から作り上げた作品でもあるので、すごく緊張しまして。“世界初演”っていう事が皆さんにあまり伝わっていないように思うので、“世界初演”と(記事に)書いて欲しいです!“世界初演”と!」と前のめり気味で話し、他メンバーを笑わせていた。
石田ニコルは『RENT』に次いで二度目の舞台出演。「すごく恵まれた環境で出来る事に誇りも感じますし、……“気合い”を込めて今日は赤いワンピースを着てきました!」と高らかに宣言し、一同大笑いとなった。
板垣は清水の“世界初演”という言葉を拾って話し出した。「クレイトンさんとショーンさんの楽曲を僕たちが使わせていただくことになったんですが、途中で曲が足りなくなって急遽『こういう曲を書いてくれ』とお願いしたんです。本当に日米合作でして、僕の脚本と彼らの楽曲から引っ張ってきて膨らませて、キャストの皆さんと作り上げて。これが“世界初演”の真実です」と説明した。
ここまで通訳を介して皆の話を聞いていたクレイトンは初日を迎える気持ちを「大変光栄に思います。日本とアメリカでは文化の違いもあって、労働する女性の問題の認識に違いもありますが、今回のコラボレーションでは、うまくいっていると思います。また日本チームの皆さんはアメリカのチームとしっかり共同で深く理解していると思います」とコメント。続いてショーンは「今回の作品ですが出来上がるまでに12年ほどかかっていたので大変楽しみにしています。今回のために新しい曲を作曲したり、我々の引き出しの中で温存されていたままになっていた曲も持ち出しています」と喜びを口にした。
女性の労働問題を描く本作だが、柚希はそれだけでなく「女性として生きていく事、今の時代でもまだまだ変わっていない事がいっぱいあって、共感できる事もたくさんあると思います。舞台を観終わった後、女性として生きている事に誇りをもち、明日から頑張ろうって思える舞台になっていると思うので、多くの方に観ていただきたい」とコメント。するとソニンも「今の世の中は、いろんなツールで発言できますが、19世紀、言葉の力を信じて戦った女性たちの話を、お客様にも“言葉の力の大切さ”を感じていただけたら」と話す。また実咲は「女性の労働の厳しさや、過酷な労働を強いられて改めて学ぶことがありました。女性として仕事をしているには、こういう女性たちがいたという基礎があったからこそ。女性の底力が伝わったら」と熱く語った。清水も実咲の話に同意しつつ「19世紀の話ですが、今の日本でも共感できること、働き方改革など、共感できることが盛り込まれています」と作品の見どころをPR。さらに「再演をやるためにも! 今、観に来て欲しいです!」と再び熱を込めて訴えた。そして石田は「朝稽古に向かう途中で、忙しくしている人もたくさん見かけました。仕事で疲れている人が舞台を観にきた時に心に染みるものに、そして人生とは何か、自由とは何かという事が少しでも伝われば」とコメント。
世界初演について「プレッシャーはあります」と本音を素直に語る柚希だったが「とても大変でしたが、皆で一丸となって稽古してきたので、皆で手を繋いで(芝居に)挑みたいです」と力説。ただ楽曲の難しさはかなり応えたようで、「曲が難しい。音を取るのに何日もかかりました。変拍子でイチ、ニサンとかたくさんあって」と手を叩きながら語ると皆も苦笑しながら、難しかったと同意。するとその背後で作曲を担当したクレイトンとショーンがしてやったりといわんばかりの笑顔を見せていた。
最後に皆を代表して柚希に挨拶の役目が振られる。「自分の事を言わせていただきますが」と前置きして話出した柚希は「今年、芸能生活20周年で、その締めくくりでこういう素晴らしい作品に出会えました! 早く観ていただきたいです!」と熱い想いを注ぐように言葉を残していた。
ゲネプロでは、ステージの奥には生バンドが控えており、すべての楽曲を生演奏で披露された。工場の建物はあえて骨組みだけでそうとわかるようなシンプルな舞台セットのなかで、女工たちは歯車のように日夜働き続ける。そこに田舎から働きに来た柚希演じるサラ・バグリーは皆より少し年上で背も高いという安定感もあっていつしかリーダー役を務める事に。一方で女工たちの啓蒙を目的とする寄稿誌の編集長をまかされたソニン演じるハリエットは、才能あふれる佇まいと実績で誰もが憧れる存在だった。宝塚歌劇団で“トップ・オブ・トップ”スターを務めた柚希とミュージカル界で一、二を争うほどの並々ならぬ実力を発揮してきたソニン。サラとハリエットは実在の人物ではあるが、柚希とソニンにぴったりのハマリ役となっていた。

その他のキャストにも注目したい。アビゲイル役の実咲は、心優しくもどこか姉御肌、タフな女性を演じる姿が似合っていてこれまでの役のイメージを覆す存在感を示し、ルーシー役の清水は表情豊かでコケティッシュ。小動物みたいにクルクルと動き回り、魅力満点。マーシャ役の石田は年相応の恋やおしゃれに積極的な女性をイキイキと演じていた。
その他のキャストも一人ひとりの人生をしっかり描くように舞台の上で生きていた。なかでも、ルーシーの母親役と、老いた後のルーシー自身の二役を演じる剣幸のすべてを見守り、あたたかく包み込む佇まいが絶品だった。
物語の中では共に手を取り、女性の労働環境の改善に力を尽くそうとするが、お互いのおかれた立場の違いから、やがて距離を置くことになるサラとハリエット。サラは徹底抗戦の姿勢を取り、ハリエットは経営側の意図を踏まえつつ穏便に事を進めようとする。二人の、そして女性たちの闘いの結果はいかに……。すべての女性に、そして男性にも観ていただきたい物語。胸の奥に炎が宿る、そんな熱いものが感じられる作品だった。

取材・文・撮影=こむらさき

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