【イベントレポート】クイーン全201
曲解説本、出版記念イベントの温かな

クイーンの全公式音源を1曲つずつ解説した書籍『クイーン全曲ガイド』が、9月12日(木)、シンコーミュージック・エンタテイメントより発売された。それを記念して、同書の著者であるクイーン研究家・石角隆行氏のトークイベント<「クイーン全曲ガイド」発売記念“Talk Live! For QUEEN Lovers Vol.1”>が、9月13日(金)、東京・月見ル君想フにて開催された。
ミラーボールからの穏やかな光が照らす会場は満席。開演を待つ観客の雰囲気は終始和やかで、知人との再会を喜ぶ声や、これまでに開催されてきたイベントの感想を語り合う声が聞こえて来ていた。

「愛にすべてを」とともにイベントがスタートすると、司会を務めるスベリー・マーキュリーが登場。芸歴18年、軽快なトークで会場を温め、この日の主役である石角隆行氏を呼び込んだ。
「『クイーン全曲ガイド』は235ページある本なのですがね、比較的文字が大きいんです。これは老眼の私でも読めるようにと担当者にお願いしまして。若い人からお年を召した方まで楽しめるようになっております」

そんな冗談とともに始まった話題は、1stアルバム『戦慄の王女』(1973年)から『オペラ座の夜』(1975年)ごろまでの楽曲制作を取り巻くものだった。録音が行われた当時の時代背景やバンドの動向、楽曲がどこから影響を受けたのかという話に、観客は真剣な面持ちで耳を傾ける。解説の合間に大音量で流れる楽曲には、「炎のロックンロール」の初期テイクや、とある理由からアルバムに収録されなかった楽曲「マッド・ザ・スワイン」といった珍しいものもあった。
1975年の初来日の話題に触れた際、石角氏が観客席へ「初来日公演、行かれた方いらっしゃいますか?」と問いかけると、手を挙げる人があり、会場は温かな拍手に包まれた。また、『シアー・ハート・アタック』(1974)制作時、ブライアン・メイが体調不良に悩まされていたという話題で、石角氏が「“ナウ・アイム・ヒア”と“ディア・フレンズ”と“シー・メイクス・ミー”、この3曲を“ブライアンの病床三部作”と呼んでいます」と独自の見解を述べた際には、この日いちばんの笑いが起こっていた。

“クイーンのライブで最も演奏された曲は?”という話でトークを締めくくった後は、ゲストの増田勇一氏が登場。話題はクイーン+アダム・ランバートの北米ツアーに関するものへ。同ツアーでセットリスト入りした珍しい楽曲や、注目の楽曲、そしてブライアン・メイの衣装の変遷について触れた。
終わりに、2018年末から始まったクイーンブームについて司会に問われると、「今この現象は映画の影響もありますが、<SUMMER SONIC 2014>の時点であの盛り上がりですからね。再評価の熱は何年かに1度来ています。アダム・ランバートが語るように、クイーンの音楽は世代を問わない音楽なんです。親から子へ、またその子供へ伝えていく。それを映画『ボヘミアン・ラプソディ』が、“ロックバンドってこんなに面白い”ということを若い世代にもわかりやすく伝えられたんだと思います」と増田氏。

続く石角氏は「この後にコメントするの辛い」と笑いつつ、「クイーンの音楽は普遍的なものです。若い人は“ウィ・ウィル・ロック・ユー”“伝説のチャンピオン”を昔の曲と認識していない。それはこの先10年も20年も同じです」と語った。

また、2020年に来日するクイーン+アダム・ランバートについて問われると、増田氏は「アダム・ランバートの認知を広めたい。クイーンで歌うことの度胸はもっと評価されて良いです。この来日公演をもって、もっと認知を広めたい」と熱弁。石角氏は「ホントにこのコメントのあと言いづらい」と苦笑いして、「1979年の大阪フェスティバルホール公演が、初めて行ったクイーンのライブでした。そこから40年。まだ一緒にいられるということへの期待と嬉しさですね」と話した。

『クイーン全曲ガイド』は現在発売中。全201曲を丁寧に解説した書籍は、既刊の『クイーン詩集 完全版』とあわせて読めば、アルバムの面白さがより一層伝わるものに仕上がっている。10月23日(水)には来日公演に向けたイベント<ザ・ラプソディ・ツアー プレイベント>が、東京・シアター六本木にて開催される。こちらでは石角氏のトークのほか、QUEENESS(クイーンネス)のライブも行われる予定だ。クイーンブームはまだまだ終わらない。

取材◎安藤さやか(BARKS編集部)

■<「クイーン全曲ガイド」発売記念“Talk Live! For QUEEN Lovers Vol.1”>

2019年9月13日(金)東京・月見ル君想フ
出演:石角隆行(クイーン研究家)
スペシャルゲスト:増田勇一(音楽評論家・映画ボヘミアンラプソディ字幕監修)
司会:スベリー・マーキュリー
イベントHP:
https://www.shinko-music.co.jp/info/190829/

■『クイーン全曲ガイド』
2019年9月12日(木)発売
著者:石角隆行(クイーン研究家)
定価:1,500円+税 判型:四六判/235頁
発行元:シンコーミュージック・エンタテイメント
書籍HP:
https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0648285/

■<ザ・ラプソディ・ツアー プレイベ
ント>

2019年10月23日(水)開場18:00/開演19:00
会場:東京・六本木・EX シアター六本木
チケット価格(税込み/全席指定/1ドリンク別):5,000円
出演:
ライブ:QUEENESS(クイーンネス)
トークセッション:石角隆行(クイーン研究家) 他
イベントHP:
https://www.creativeman.co.jp/event/trtpre/

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