AK-69映画初出演の手ごたえと、「もう一度挑戦したい」という思い

AK-69映画初出演の手ごたえと、「もう一度挑戦したい」という思い

AK-69映画初出演の手ごたえと、「も
う一度挑戦したい」という思い

AK-69が所属するのは、リアーナやジャスティンビーバー、ジェイZ、カニエウエストなど、ヒップホップ界のスーパースターが名を連ねる名門レーベルDef Jam Recordings。
彼はその日本におけるレーベル再始動後の、初のアーティストとなり、今国内では最も熱い注目を集めるヒップホップ・アーティストの一人となっています。

今回彼が出演した映画『影に抱かれて眠れ』は、小説家・北方謙三が手掛けたハードボイルド小説を映画化した作品。
主演を俳優の加藤雅也が務める一方で、AK-69 のほかにEXILEの松本利夫、湘南乃風若旦那らも名を連ねています。
映画初出演となった今作で、AK-69は主人公・硲(はざま)冬樹と対等する暴力団のボス・三田村涼役を好演、個性的で雰囲気のある演技を披露しました。
今回はAK-69に今作の印象や、初体験となった撮影の感想などを語ってもらいました。

恵まれた機会から学べた、役者という仕事の奥深さ
──今回出演された映画『影に抱かれて眠れ』は、AK-69さんにとって俳優初挑戦の作品となりましたが、もともと俳優として作品に出るということを将来的にはやってみたいと希望していたこともあったのでしょうか?
AK-69:逆に苦手だと思っていた分野でした。
まあそれをかたくなに避けるという感じでもなかったんですが。
これまで自分のMVや武道館の映像で自分のドラマを、自分自身が演じるということをしたことはあり、そのときに難しさを感じたこともあって、それほど役者やろうということを考えたことはありませんでした。
ただ、2018年を迎えたときに「今までやってこなかったことに挑戦しよう」とこの年の目標を立てていたんです。
その中で、映画もできればやってみたいと勝手に思っていました。そんな時に、ちょうど今回のお話をいただきまして…

──青天の霹靂ですね。
AK-69:まさに。「願えば叶う」じゃないですけど、本当に運がよかったです。

──でも逆にこういうオファーが突然来ると、緊張もあったのではないでしょうか?
AK-69:もちろん。
まあプロデューサーの中野(英雄)さんからご連絡をいただき、和泉(聖治)監督にも撮影前に2回くらいお会いしたんですが、その時点でなぜかすごく緊張していましたし。

──また共演にはアーティストの若旦那さんや、EXILEの松本利夫さんも出演されていますが、もともとお二人とはつながりもあったのでしょうか?
AK-69:松本さんは現場が一緒になってご挨拶するくらいだったんですけど、若旦那さんは結構前から。
テレビの番組で一緒に出たりとかもしてますし、音楽を一緒に作ったことはないですけど、面識は以前からありました。

──完成した作品を拝見しましたが、若旦那さんの演技はかなりぶっ飛んだ感じというか(笑)
AK-69:(笑)。そうですよね。(僕は)あの役でなくてよかったなと思いましたけど(笑)

──でも「逆に負けられない」とライバル心に火が付いたようなところもあったのでしょうか?
AK-69:正直、意識したところはあります(笑)。
でも若旦那さんは役者をやりたい、と言ってやられているし、そんな若旦那さんを凌駕しようなんて…(笑)。
でも一方で俺は、今回はありがたいことに、初めての仕事で自分のイメージとそう遠くないものというか、自分の延長線上でできるという役をいただけて、しかもこんなトリの役をいただけて嬉しかったこともあり、同じアーティストとして、自分を出して若旦那さんとは違う良さを出せたら、とは思いました。
ただ、若旦那さんのあの役のプレビューを見せられたときに、マジで焦りましたけどね、「これ!?すげーな!」って(笑)。
まあ初めから彼がああいう役だと聞いていたのでよかったんですけどね。
彼のキャスティングは俺より後に決まったんですが、こういう役と聞いても「全然やりたい!」と自分から手を挙げたそうなんですが、そうしただけあるなとは思いました。
あそこまで狂った役はなかなかないですし、若旦那さんはスゲエはまっていましたし(笑)

──あんな人を目の前にしたら、本当に怖いですよね(笑)
AK-69:ですよね。違う怖さというか(笑)
▶映画「影に抱かれて眠れ」物語に寄り添う 本予告映像
──アーティストであるAK-69 さんの立場から、俳優という立場の方を見ると、どのような印象がありましたか?一番共演者として印象が強かったのは、共演時間が長かった主役の加藤雅也さんかと思いましたが…
AK-69:もう単純に「役者ってすげえな」と思いました。
役者にはアーティストとは違うオーラを感じました。
印象的だったのは、最初の撮影が、最後のシーンだったんですけど、そのときに二人で話していたんですけど、映画に対する考え方が全然違う。
俺なんかは特に初めてなんで、まずはセリフを覚えるために一回台本を読んだことで、俺はもちろん物語は把握したんですけど、このセリフをどういう表情で話そうかとか、そういうことばかりを考えていたんです。
でも雅也さんは、三田村涼と硲(はざま)冬樹という二人の男に対して「映画では明確にはそう書かれていないけど、本当は表裏一体なんじゃないか」みたいなことを言われたんです。
その二人の人間が「裏と表」みたいな、そういうものを表現しているんじゃないかって。
「俺は三田村の役を思えば思うほど、実は硲なんじゃないかと思えてくるんだよね」って話されていて、そのときには「うわっ、そこまでいくんだ…」と、考えの深さに驚きました。

──台本に書かれたストーリーから、見える範囲が違う感じで?
AK-69:そう。そんな現場への取り組み方とか、そこまで思いを巡らせて相手役と対峙するという姿勢に「ああ、これが役者としての雅也さんの在り方なんだな」と思って、すごく勉強になりました。

──大きな刺激を得られたようですね。AK-69さんの、実際の演技プランみたいなところはいかがでしょう?具体的に、実際に演技としてどう出そう、みたいなところはどのように考えられていたのでしょう?
AK-69:いや、事細かく「こういう風にやってほしい」ということは、特には言われませんでした。
中野さんや和泉監督からは「本当にAK-69 さんの素の感じでいいですよ」みたいな感じの言葉だけで(笑)。
だから本当に自分だけで考えました、この物語を読んで、セリフとかも自分で言ってみたり。そして感覚的にこんな感じかな、と演技に出してみました。
いい感じでいけたな、と思ったところもある一方で、逆にやっぱり演技は演技、役者さんの道も物凄いものだと改めて思いました。
演技に命を賭けてやっている人たちがたくさんいる中で、僕は初めてやらせていただいたこともあって、その奥の深さみたいなものも同時に感じましたし。

──実際に目前にしないとわからない部分でもありますね。
AK-69:でもちょっとおこがましい意見かもしれませんが、演技に入るときにスイッチを入れるという感覚というか、その気持ちの持っていき方に、俳優にはアーティストとすごく近しいものがあると思いました。
アーティストもスイッチを入れる職業なんですよね。あまりイケてないアーティストは、スイッチが入らないからステージの上で焦ったり、恥ずかしがっちゃったり、トークとかも不自然になっちゃう。
無理にしゃべろうとするから、なんかぎこちなくなったりとかするんです。それに対してイケてるアーティストって、パン!とスイッチが入るんですよね。
カメラもあって「はい、スタート!」となった瞬間にスイッチが入るという感覚というか。
また自分が今後映画の世界とかで、さらにスイッチを入れることができれば、もっといい演技ができるんじゃないかということは感じました、ちょっとおこがましいかもしれませんが、「もう一回やりたい!」と今すごく思っています。

──その意味では役者の方って、本当にすごいですよね。スタート!となった瞬間にスイッチが入って、カットが掛かったらパッと切れて、みたいに、その切り替えに迷いがないというか。
AK-69:そうなんですよね。俺はそこでまだ素になっちゃう自分が見え隠れしていたから、余計にすごいと思えて(笑)。
スタート!となる前から、雅也さんと表情を作り始めていたんですけど、俺はなんかえらくギョロギョロしちゃったりとか(笑)
もうスタートが掛かってカメラが回って、瞬きをしてはいけないときに雅也さんと目が合って、ふと素の自分になって目をパチパチしちゃったり(笑)。
「もう〜!スイッチ入れろ!自分〜!」と思った瞬間がよくありました(笑)
自身の人生経験から考える「ボス論」
──先程このストーリーとご自身の役柄に関して「自分の延長線上的な部分にある」ともおっしゃっていましたが、本を最初に読まれたときに、このストーリーに対してどのような印象がありましたか?
AK-69:そうですね…最初はやっぱり「切なさ」を感じました。
どの役にも「切なさ」がある。硲の女性関係の部分ですらそうだし、硲の周りの人間が事件に深くかかわっていくのもそう、三田村の組織の動きもそうだし。
いろんな表現、印象があると思いますが、その中でもやっぱり「切なさ」の印象が強かったですね。
例えば「何か得ようとしたときに、何かを失う」みたいな。また「何かを失うと、何かを得る」みたいなところもあるけど。そんなことを感じました。
まあ自分の人生でもそんなことを感じることがあるけど。
人生っていつも順風満帆にいけばいいんですけど、やっぱり完璧じゃない。そんなことを感じさせる作品だと思いました。

──AK-69さんが演じられたこの三田村という人物、役柄の印象はいかがでしょう?ストーリーではすごく不思議な役柄だなと思いました。
AK-69:そうですよね。いわゆるヤクザのボスなんですが、敬語しかしゃべらないし、声も荒げない、そんなところがすごく不気味な役なんです。
それに対して和泉監督からは「不気味さを出してほしい」と言われていたんですけど。

──「不気味さ」ですか。なかなか難しそうですよね。
AK-69:でも一回台本を読んでみようとなってきたときに、その感じで読んでみたら、中野さんから「すごく怖い…」って言ってもらえて(笑)。

──1回でそれが出るってすごいですね(笑)
AK-69:まあ自分がここまで育ってきた環境の中で、いろんなところでいわゆる「ボス」という立場の人に出会ってきたんですが、やっぱり「大したことのないボス」というかあまり威厳を感じないボスはうるさくて高圧的だし、虚勢を張ろうとする。
でも見ていて感銘を受けるボスは、逆に静かなんです。
余裕があって丁寧だし、礼儀正しい。
そういう人から見える怖さみたいなものは、そんな人と会って経験してきたことから得た印象もありましたし。どうあるべきかというのは、意外に深く考えなくても想像できる感じではありましたけどね。
【インタビュー】AK-69が自身の事務所Flying Bを設立するという厳しい道を選び再び“挑戦者”となり、ニューアルバムをリリース!
https://utaten.com/specialArticle/index/1410
──暴力団という反社会的な組織の人間であるので、ある意味その立場自体は褒められたものではないけど、その性格や役柄的には理解できるところがある、という感じですね?
AK-69:おこがましくも、そう感じたとことはあります。演じた役に比べたら、自分にはもうちょっと感情はあると思っていますけど(笑)。
でも、彼のこの所作みたいな部分は、自分で普段意識していることにすごく近い役でした。

──また、映画を拝見して受けた印象なのですが、ボスという意味で若旦那さんの役と対照的なポジションである一方で、ラストシーンの硲と対峙する姿からは、人知を超えた存在というか、ある意味「硲の死神」みたいな感じで立っているような感じもありました。
AK-69:確かに。あのシーンはまさしく死神みたいな。雅也さんも話していたんですが、「実はこの二人は同じ人間なんじゃないか」と言われた意味が、すごく理解できる感じがしました。不気味さみたいなところでもありますが。

──今言われた「不気味さ」みたいなところは、初めての役としては、かなりハードルが高い感じでもありますよね。
AK-69:いや本当に。楽といえば楽、さっきもお話したように、雰囲気的に自分の普段のイメージと、それほど遠くないというのはもちろんありました。でもだからこそすごく難しいということもありました。
普通に「はい、そうです!」みたいな感じでは表現できないし、裏にただならぬ壮絶なものがあって、人と対峙しているときには静かだけど、それが怖いものになって見えるという。
そこはすごく難しいポイントだったなと思いました。

──このストーリーの主人公である硲というキャラクターには、どのような印象がありましたか?三田村とも、若旦那さんの役柄とも違う感じがありました。
AK-69:硲は兄貴肌なんだと思います、「頼られたら放っておけない」というところもそうだし。
そうやって人を引き寄せたり、さらに芸術的な才能もありながら、女性関係のところではちょっと憂いがあるというか。「好きだから抱いて」というストレートな感じでもなく…

──だらしない感じでもないですよね。
AK-69:そうなんです。まあその付き合いが、端から見るとだらしなく感じられる関係でも、実はプラトニックなところをしっかり深く持って、そうは見えなくなっていたりとか。
俺が演じた三田村も兄貴というかボスで、硲はもっと親しみやすいボスという感じの、違うボス感はあると思いました。

──怒鳴ることもなく、でも言われると放っておけない、みたいなところを持っていますね。その意味では、男がすごくあこがれるようなところもあるのでは、と思いました。
AK-69:確かに。表現は違うけど、例えば漫画『ONE PIECE』のルフィみたいというか(笑)、「みんなを引き連れていくぜ!」みたいな統率性は感じました。

──言わなくても、その行動で示してくれる、みたいなところですね。
ストーリーからもかなり多くの刺激を受けられた様子がうかがえます。先程役者という仕事に対し「またやりたい!」とおっしゃっていましたが、もしまたチャンスがあるとしたら、次はどんな役を希望されますか?
AK-69:いや、まだ自分は役を選べるような大層なものじゃないと思いますし…やらせてもらえるのであれば何でも全力でやりたいと思っています。
まあでも今回みたいに、自分とそう遠くない役でいただければすごく力を発揮できるじゃないかと。
これがいきなり「変態の役をやってくれ」とか言われても…(笑)。それは本当の演技力がいると思うし、なかなか難しいかもしれないですけど。
また俺はもともと会社に勤めていたこともあって、一生懸命働いて過ごすということもしてきたし、そこから今は本当に自分の人生を紡いで歌を歌っているんですが、それと一緒で役者の仕事も、同じように自分の人生のワンシーンから切り出していけるものがあるのであれば、全力で挑みたいと思っています。
『影に抱かれて眠れ』映画情報
原作:北方謙三
監督:和泉聖治
脚本:小澤和義
プロデューサー:中野英雄
出演:加藤雅也 中村ゆり 松本利夫(EXILE) カトウシンスケ 熊切あさ美 若旦那(湘南乃風) 余貴美子 火野正平 AK-69
9月6日より、丸の内TOEI2、横浜ブルク13ほかにて全国順次公開
Text 桂伸也
Photo 片山拓
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