teto『RUSH BALL 2019』クイックレポ
ート ーー自由に音を楽しむ、そんな
当たり前の事を体当たりで伝えてくれ
た朝イチのライブ

『RUSH BALL 2019』teto
昨日より15分早い10時10分スタートのオープニングアクト。tetoのボーカルギター小池貞利はレッドブル2本を決めてきたとの事。その効果なのか、何なのか、てか、いつも通り初っ端からフルスロットルでぶっ飛ばす。
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1曲目「高層ビルと人工衛星」のタイトルコールをして、歌い出すも、すぐ舞台を降りて、観客の上に向かい、また舞台に戻ろうとする。が、舞台と観客エリアの真ん中にある踏み台に留まり、そこでスタッフが舞台から軽く投げたマイクを受け取り、何事も無かったかの様に歌い出す。相変わらず一瞬も目を離せないなと思った矢先、踏み台からステージに上がり損ない舞台側面に顔面激突したが、これまた何事も無かったかの様に歌い出す。舞台に上がったら上がったでマイクスタンドは倒すわ、マイクを地面に落とした「ゴツッ」という鈍い音はするわ、本当に「危ね……」と思う瞬間は何度もあるが、続く「拝啓」へと雪崩れ込んでいく。
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この時間帯であれば、観客もエリアを広く有効に使い、散らばりながら観ているものだが、tetoの時はひとつのエリアにみっちり密集している。朝イチから、そんなに観客もフルスロットルにならなくてもと思うが、それくらい全力で楽しみたくなるパワーがtetoのライブにはある。
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小池は、何千人何万人いるフェスだからこそ、何千通り何万通りの楽しみ方でいいからと諭す様に話す。「あなたの楽しむ権利を奪う人はいない」という言葉も印象的だったが、それこそ一番後ろでのんびり楽しんでいる人にも、しっかりとパワーは届いてる訳で。そんな事を考えていると、小池がMCでボケてしまった自身の祖父の事を話した。普段は小池の下の名前すら、ろくに言えないのに、tetoの歌を聴くと、しっかりと名前を思い出すというのだ。あくまで小池は音楽の力という表現よりも、人の力という表現を信じてきたが、もしかしたら音楽の力もあるかも知れないと語る。でも、信じる時は信じて、信じない時は信じないでよいと言い、適当に最後まで楽しんでと微笑む。一見、強引に見せかけ、実は全く押し付けがましくなく聴き手に配慮を忘れないから、僕らは信用できるのだろう。そんな後に緩やかに歌われる「光るまち」が沁みないわけない。
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ラストは、9月1日というこの日には絶対聴きたいと思っていた「9月になること」。夏の終わりの哀しさを感じさせながらも、抜群のメロディーで駆け抜ける楽曲。楽曲が良いからこそ、小池が話した言葉たちにも説得力が増される。だからこそ、僕らは音楽の力があると思える。本来見えない音楽の力を見えさせてくれる、感じさせてくれるのは、その人が本気で音楽に向かい合っているからなんだなと改めて想った。とんでもなく力のある音楽を、朝イチからぶちかましてもらえた。ライブが終わって1時間以上経つが、まだクラクラする。
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取材・文=鈴木淳史 撮影=田浦ボン
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