テクノロジーにも愛される、宇多田ヒ
カルのツアー音源を最新音響で体験。
 ソニーストア銀座 イベントレポー

デビュー20周年を記念して開催された宇多田ヒカルの国内ツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」。約12年振りのツアーを記念し、7〜8月にかけて全国のソニーストアにて「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 Sony Store Days」と題したイベントを開催。今回は、ソニーストア 銀座店開催時の様子をレポートする。

Photography_Tomomi Chijiiwa
Text_Kan Mine

ツアーの世界観を表現したコンテンツ

全国のソニーストアを巡回する本イベント。東京では、8月24日〜9月1日までの8日間、ソニーストア 銀座店で行われている。エスカレーターで5階会場へ訪れると、出迎えるかのようにツアー衣装2体の展示が。ツアータイトルの「Dark」にあわせた漆黒カラーが印象的なドレスとセットアップのスタイリングは、宇多田とも縁深い小川恭平氏が務めている。展示故に360度至近距離で確認でき、ドレスに至っては大きな帯状になっていて、その帯が宇多田をリボンのように包み込む仕様に。ライブや映像ではなかなか気づけない、12年ぶりのツアーならではのディテールに対するこだわりが見受けられた。
店内に展示されているブラビアでは、ライブ本編の全編上映も実施。全体としても、まるでライブビューイングされているような一体感のある空間が完成されていた。また、昨年公開されたPlayStation®VRの体験ブースも設けられ、そこでは「光」と「誓い」のライブVRコンテンツを楽しむことができた。VR化された宇多田が目の前で自分に向けて歌唱してくれる姿は臨場感に溢れているが、仮想現実というよりも現実を超越した超現実という印象が色濃く残る。観賞後は、新しい宇多田の一面に出会ったような不思議な余韻に浸った。

ライブを最大限に楽しむ「360 Reality
Audio」体験

そして、本イベントの目玉とも言えるのが、実際のライブのように音響を楽しめる、ソニーの「360 Reality Audio」体験だ。「360 Reality Audio」は、全天球型のサウンドフィールドを再現したもの。現在絶賛開発途中の本フォーマットは、13個のスピーカーを設置し多方面から音の反響を生むことで音に厚みを持たせ、実際に目の前で演奏を聴いているような臨場感を味わえる。
しかし、一般のユーザーにとって、リビングにスピーカーを13個も設置するのは現実的ではない。そういった再生環境の最適化も考慮し、耳元にスピーカーがあるように聞こえる技術を搭載したヘッドフォンで今後展開していく予定だ。もちろん、最終的には家庭用のスピーカーでも聞けるように技術開発していくことを目標としている。
また、ゆくゆくは有料版サブスクをステップアップさせたプレミアムコンテンツとしての展開を想定。ソニー以外の音響機器でもサブスク音源を「360 Reality Audio」で聞ける未来の実現に力を入れている。
宇多田はハイレゾが流通する以前から、ソニーの最先端技術を取り入れた録音を行なってきた。今回のツアーも「360 Reality Audio」の活用を前提にマイクを配置し録音。映像作品のリリースの一貫として、「360 Reality Audio」をコンテンツとした本イベントを実施する運びとなった。

今回はデモンストレーション曲として、映像作品「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」収録の「あなた」、「Play A Love Song」の2曲を公開。ミックスは、DVD・BDに引き続き録音エンジニアの小森雅仁氏が担当した。映像とあわせて「360 Reality Audio」を実際に体験して感じたのは、「ライブ」の距離感が生々しく感じられるということだ。観客のざわめき、宇多田の息遣い、迫力のバンドサウンド。そのすべてが日常で感じる距離の音ではなく「ライブ」環境ならではの音として成立し、その空気を作っていた。そして、13個のスピーカーから溢れる音の分身に触れていると、自然と視界の宇多田の動きに目がいくようになる。聴覚の極限でライブを体験すると、五感すべてが音を得たがるという、音楽体験の新しい形を垣間見た気がした。ツアーに参加した人もしなかった人も、参加者は同じ熱量で聞く体験ができたと感じられる。ツアー参加者はTシャツを着用して楽しんだり、実際見た時よりもいい席に座れた気持ちになれたりと、大満足の様子だったという。

10年近く前から構想していたという「360 Reality Audio」は、活躍の幅を広げるために、今後はさまざまなレーベル、アーティストへのアプローチも検討中。実際にその良さを体験し音楽制作の可能性を広げてもらいたいという、音を追求し続けてきたソニーのサプライヤー精神が伺える。宇多田とソニー、ジャンルは違えど世界から認識される2トップのタッグがあれば、近い将来、音楽に新しい価値を創造することができるのではないだろうか。


Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 Sony Store Days
2019年8月24日(土)~9月1日(日)東京都 ソニーストア 銀座
2019年9月6日(金)~9月16日(月)福岡県 ソニーストア 福岡天神
https://www.sony.jp/store/retail/event/utada-sonystoredays/


宇多田ヒカル
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