Best Perfromances from FUJI ROCK
FESTIVAL ’19 無事に終了した23回
目のフジロック。今年もキュレーター
がそれぞれ強く印象に残ったライブ・
アクトを発表!

今夏7月26日(金)、27日(土)、28日(日)に渡って、新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催された“FUJI ROCK FESTIVAL’19”(以下:フジロック)。今年は2日目に台風6号の影響を受け、例年を超えるほどの大雨を記録。一部ステージ内容に変更も起こったが、それ以外は滞りなく無事に23回目を迎えるフジロックは終了した。

The Chemical Brothers、Sia、The Cureをヘッドライナーに、Thom YorkeJames BlakeMartin GarrixからRed Hot Chilli Pipers、HYUKOHまで、今年も国内外問わず横断的なラインナップを展開したフジロック。

ということで、今回もSpincoasterのキュレーターにそれぞれ強く印象に残ったライブ・アクトを発表してもらった。今年のフジロックを振り返りつつ、オリンピックの影響を受けて初の8月開催となる来年を楽しみに待とう。

Text by Spincoaster
Janelle Monáe
07.26 (Fri.) 16:50 GREEN STAGE
ELLEGARDENの前というアウェイな中でも、そのファン勢すらも虜にしたであろう圧巻のパフォーマンス。大きな影響源として公言し、生前親密な関係を築き上げていたPrince「Purple Rain」のギター・リフを「PrimeTime」の合間に入れ込んでいたり、Janet Jacksonをオマージュしたような振付があったりと、先達への、そして今の自分を構成する全てに対してのリスペクトを表現しているかのようであった。Grimesとのコラボという点でも話題を集めた「PYNK」で着用していた衣装にも、セクシャリティへのメッセージが見受けられたが、彼女のパフォーマンスは常に何かしらのメッセージを発信しているよう。まさに一瞬たりとも目が離せない60分間。今年はグラミー賞でのパフォーマンスを始め、『Coachella』、『Glastonbury』など数々の大型フェスのメイン・ステージを飾り、そのパフォーマンスに各所から拍手喝采だっただけに、今後の展望も楽しみで仕方ない。(Eriko Sakai)
The Chemical Brothers
07.26 (Fri.) 21:00 GREEN STAGE
6月に『Glastonbury』でも観ていて、その時と同じセットリストではあったものの、何回観ても本当に素晴らしかった。傑作だった最新作~名曲オンパレードの神セット。個人的な彼らとの出会いの曲「Swoon」では感極まってしまい、思わず序盤から涙が。New Orderの「Temptation」から「Star Guiter」への繋ぎも秀逸で、終始とにかく盤石なセット。終演後には抜け殻となり、思わずThom Yorke(Tomorrow’s Modern Boxes)を観逃しましたが、とにかく一瞬たりとも飽きない最高の90分間だった。(Eriko Sakai)
KID FRESINO
07.26 (Fri.) 27:00 RED MARQUEE
まだまだ遊び足りないオーディエンスでパンパンの初日のRED MARQUEE。BIG YUKI、yaeji、KAYTRANADAが温めたステージに、三浦淳悟や石若駿、小林うてなといったお馴染みのバンド・メンバーを引き連れてKID FRESINOが登場。昨年11月にリリースされた最新アルバム『ài qíng』を引っさげたツアーでも度々披露されているだけあり、バンド・アンサンブルの仕上がりもかなりのもの。「Salve」や「Coincidence」では生楽器のグルーヴで踊らせ、トラック主体の「Cherry pie for ai qing」などではその音圧で圧倒。客演にはISSUGI、鎮座DOPENESS、Campnella、C.O.S.A.、JJJ、ゆるふわギャングなど、これでもかと言わんばかりにゴージャスなライブであった。そして、ライブ終了後に流れたのは「2014」。この日は、シーンの先輩からFebbまで、みんなで作り上げたステージとなった。(Takazumi Hosaka)


clammbon
07.27 (Sat.) 18:10 WHITE STAGE
雨が強くなり始めてきた2日目夕方のWHITE STAGE。clammbonのステージは、雨すらも味方につける多幸感に満ち溢れたパフォーマンスが展開された。サウンド・チェック段階からライブ定番曲「波よせて」が披露されるやいなや、オーディエンスからはシンガロングが巻き起こる。始まる前からいい空気感漂う中、「シカゴ」や「yet」といった名曲~メジャー・レーベルを離れて以降に発表している『モメント e.p.』シリーズからの曲を織り交ぜて披露。ミトがゴリゴリにベースを歪ませて低音を響かせる「nein nein」は、WHITE STAGEの音響とも相性最高だ。さらに、ラストにはチェリスト・徳澤青弦とtoeの4人が登場。Nujabes「Reflection Eternal」のカバーを披露するというエモさ大爆発なサプライズが。イントロが聴こえた瞬間に各所から歓喜の声が上がっていた。

GEZANから始まったこの日のWHITE STAGEは、clammbon、そしてゲストで出演したtoe、American Football、Death Cab for Cutieという流れには、フジロックの音楽愛とアーティストに対するリスペクトが現れているかのようであった。音楽の点が線となって繋がっていく感覚をフェスティバルで実感できるのはとてもおもしろい。それがフジロックを好きな理由かもしれないと感じた。(Eriko Sakai)


Vince Staples
07.28 (Sun.) 20:00 WHITE STAGE
昨日の豪雨が嘘のように過ごしやすくなった3日目。フジロックも佳境に近づく中、WHITE STAGEにはKOHHに続いてVince Staplesが登場。どこかシニカルな印象を受ける多数のテレビ画面をバックに、広いステージにただひとり。序盤は彼が生活するLAの日常を描いた最新作『FM』から、「FUN!」や「Run the Bands」などを披露。ステージを軽快に動き回りながら、タイトなラップと骨太なビートで魅せていく。しなやかに動き回るその肉体とは反対に、顔は終始シリアスな表情。まるで機関銃のようなラップを繰り出す様は、どこか演劇的な要素すら感じた。FlumeやSOPHIEらが参加した、エレクトロニック〜ベース・ミュージックを取り込んだ前作『Big Fish Theory』からの楽曲では、WHITE STAGEの音響も相まりその迫力がより一段と増す。終盤には自らオーディエンスに支持をし、サークル・モッシュを巻き起こしていたが、それを余所目に淡々とラップをする彼の姿も深く印象に残った。派手な演出はないが、観るものを釘付けにするその強烈な個性に魅了された60分であった。(Takazumi Hosaka)
Death Cab for Cutie
07.27 (Sat.) 22:00 WHITE STAGE
2日目のWHITE STAGEのトリを務めたDeath Cab for Cutie。昨年リリースの最新作『Thank You For Today』の1曲目である「I Dreamt We Spoke Again」で幕を開け、バンド・キャリア中期以降の楽曲で組まれたセットリストを、MCもほとんど挟まずテンション高くプレイするその姿からは、緻密で美しいインディ・ロックの真髄を感じた。特に終盤の「Soul Meets Body」では、煽るBen Gibbard(Vo. / Gt.)と、豪雨の中でそれに応えるオーディエンスの大シンガロング。彼らのライブ・バンドとしての真価を思う存分体感することができた、まさに今年のフジロック最大のハイライトとも言える瞬間であった。豪雨の影響でスタートが15分早まり、短縮セットとなってしまうというアクシデントはあったものの、そんなマイナス要素もPLACEに働いたと言っても過言ではない、熱量溢れるショーを見せてくれたDeath Cab for Cutie。完全に優勝。(Yuya Tamura)
TENDOUJI
07.28 (Sun.) 23:50 苗場食堂
4年前、28歳のほぼ初心者4人が集まり、そこからスタートしたTENDOUJI。そんな彼らが、たった4年でフジロックに出るなんて誰が予想し得ただろうか。3日目深夜の苗場食堂には多くのオーディエンスが集結。いつもに増してフルスロットルのライブに、オーディエンスもど頭からモッシュ、ダイブ、大合唱の嵐。気がつけばモッシュ・ピットは知った顔だらけ。ここは新宿MARZか、それとも下北沢THREEか。盟友であるTempalayの綾斗やJABBA DA FOOTBALL CLUBのノルオブがリフトされる様を観て、これはメンバー4人だけではなく、ここ数年における東京のインディ・シーンと、この場に集まったみんなで掴み取った快挙なのだということに気づいた。あんなに一人ひとりが輝いてみえたライブは初めてかもしれない。(Nojima)


MIRRROR
07.28 (Sun.) 26:00 ROOKIE A GO-GO
Spincoasterレーベルから作品をリリースする、MIRRRORが「ROOKIE A GO-GO」に出演した。昨年8月にユニットを結成し、未だ1年足らずながら、都内を中心に様々なイベントやJMSN来日公演などでパフォーマンスを行ってきた彼ら。フジロックという大舞台でも、いつもと変わらない平常運転でのライブ・パフォーマンスは、ステージに駆けつけた多くのリスナーを魅了。ミニマルなトラックに、クールな温度感を特徴とする彼らのサウンドは、苗場の夜に深く溶けていくかのようであった。その堂々としたライブぶりは、来年のRED MARQUEE出演を期待させられるほど。イベント終了後にフジロック公式チャンネルから公開されたライブ映像もぜひご覧いただきたい。(RINJUN)


【イベント情報】

FUJI ROCK FESTIVAL’19

日時:2019年7月26日(金)〜28日(日)
会場:新潟県湯沢町・苗場スキー場

■ オフィシャル・サイト(https://www.fujirockfestival.com/)

Spincoaster

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