【インタビュー】鈴木瑛美子らしい音
楽で新しい風を吹かせられたら

鈴木瑛美子が8月28日にシングル 「FLY MY WAY / Soul Full of Music」をもって、avexからメジャーデビューする。
テレビ番組の企画で「最強ゴスペル女子高生」として注目を集めたことをきっかけに、「湖池屋」ポテトチップスのテレビCM出演、LINE RECORDS第1弾アーティストとしてデビュー、映画『恋は雨上がりのように』の主題歌「フロントメモリー」の歌唱を担当するなどの活躍をしてきた鈴木瑛美子。

今年5月に二十歳を迎えた彼女がとうとうメジャーデビューを果たす。幼少期から家族と共に音楽に囲まれる環境のもと、7歳の時から作詞・作曲も始め、様々なステージ、テレビ出演やCD音源収録にも参加してきた経歴を持ちながらも、どうやら本格的にアーティストを目指し行動に移すようになったのは大学に入学してから、とのこと。彼女をデビューまで突き動かした背景と、デビューシングル「FLY MY WAY / Soul Full of Music」から見える彼女の人間性を探った。

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■歌手になる以外の道はそんなに考えたことがなかった

──鈴木さんは大学に入学したあと、ご友人である大原櫻子さんのライブを観て、真剣に歌手を目指したと聞きました。

鈴木瑛美子:そうです。そのライブが大きなきっかけでしたね。

──でも鈴木さんはご家庭がゴスペル一家で、幼い頃からレコーディング経験もあって、高校時代にコンテストで優勝して、インディーズデビューもなさっていましたよね。だから本格的に歌手を目指したタイミングがそこだったことが意外だったんです。

鈴木瑛美子:歌は大好きだから「いつかアーティストになれたらいいな」とは思っていたんですけど、中学高校とバレーボール部に所属して、学業に専念することを優先していたので、あくまで生活の中心は学校だったんです。だからコンテストも人から「こんなものがあるよ」と勧めてもらって、「あ、この日は部活がないから行こうかな」という感じです。その流れで語学の勉強をしたくて大学に入学したんですけど……大学は単位のために、あまり興味の湧かない授業を選択する必要もあるじゃないですか(笑)。

──ははは。そうですね。

鈴木瑛美子:その時間がすごくもったいないなー……と思っていた時期に櫻子ちゃんのライブを観に行って。そこで、ファンの方々の前で自分の好きな曲を自分の好きなように歌っている櫻子ちゃんの姿を見て、すごくうらやましくなっちゃったんです。「自分だったらこういう曲を歌いたい」「こういうステージングにしてこういう歌い方をしたい」というイメージがどんどん湧いてきて。その瞬間に「アーティストになりたい!」と強く思ったんです。
──なるほど。ただただ歌うのがお好きで、「大学を卒業してから歌の道に進めたらいいな」というやんわりしたマインドが、そのライブをきっかけに「今すぐにでもアーティストになりたい!」というテンションに変わったということですね。

鈴木瑛美子:そうです、そうです。ちょうど揺れていた時期だったのもあって、それをきっかけに生活の中心をアーティストになるための行動を起こしていく時間に割く決意をしたんです。結果的にいい方向に転がったのかなと思っています。小さい頃からずっと歌が好きで、常に歌っているような子だったので、「バレーボール選手になりたい」「画家になりたい」と思っていた時期はあったとしても、アーティストになる以外の道はそんなに考えたことがなかったかなと思います。

──環境的にもそうですよね。でもそれだけ歌がお好きなのに、ゴスペルの専門家であるお父様に歌を習っていないというのも意外で。いくら小さい頃とは言っても「教えて」と頼みそうだと思ったのですが。

鈴木瑛美子:あー……教えてもらいたいとはあんまり思わなかったですね。何も考えてなかったのかもしれない(笑)。ただただ歌いたくて歌っていて、そしたら「どうやったら自分が気持ちよく歌えるかな?」というのを考えるようになっていったんです。好きなアーティストがクリスティーナ・アギレラ、ジェシー・J、ジェニファー・ハドソンといったソウルフルな人ばかりで。「こういうふうに歌いたいし、これならわたしにもできそう。ちょっとやってみようかな?」とテクニックを自分なりに探って真似して歌っていたらこうなっていったというか(笑)。父からアドバイスをもらったのは一度だけ、「高音が少し耳に痛く聴こえるから、もう少しパワーを下げて歌うといいと思うよ」ということくらいなんです。「こうしなさい」と言われたことは一度もないですね。

──となると、鈴木さんはただただ純粋に歌を楽しめる環境で育ったということですね。

鈴木瑛美子:そうですね。教えてもらったら、その人のスキルまでしか行かないような気もするんです。与えられたものだけを吸収するのでは成長できない。自力で歌い方を探す生活でなかったら、歌を歌っていなかった気がします。

──自分の感性が反応したものを取り入れていって、その結果「鈴木瑛美子の歌」が出来上がる。なんだかカクテルみたいですね。

鈴木瑛美子:あははは! いろんなものを混ぜることで新しいものが生まれるってことですね。これからカクテルを名乗っていこうかな(笑)。
──歌唱力だけでもだいぶ大きな武器だと思うのですが、作詞作曲や楽器などにも積極的なのはなぜでしょう?

鈴木瑛美子:歌だけでなく、表現することが好きなんだと思います。自分の考えていることや気持ちを、直接的な言葉だけではなくひとつの「作品」として出すほうが恥ずかしくないし、説明下手なわたしでもうまく伝えられるなと思うんです。だから音楽以外にも写真や絵など、いろんな表現方法を身につけるようにしてるのかな。作詞と歌は言葉なので、知られちゃうのがちょっと恥ずかしい気持ちもあるんですけど(笑)、何事も「やらないこと」が嫌なんです。

──と言いますと?

鈴木瑛美子:まだ自分にはなにができるのかがわからないんです。だからアーティストとしていろんな歌が歌いたいし、アーティスト以外の活動もしてみたい。もし試してみて自分にはまらなかったとしても、その経験はのちのち生きてくると思うんです。今はそれをたくさん試していきたいという欲があるんですけど、軸にはゴスペルや自分の表現方法がある──それはこの先どこへ行こうとずっと変わらないと思いますね。それが自分の強みだと思うし、それがあるからこそ自信を持ってほかの活動に挑戦できるんです。

──メジャーデビューシングル「FLY MY WAY / Soul Full of Music」は、収録曲2曲とも「変わりたくない」という気持ちが感じられました。それもテーマになっていましたか?

鈴木瑛美子:「FLY MY WAY」は自分も変わりたくない、周りに変わってほしくないという気持ちを込めました。わたしがメジャーデビューするにあたって友人たちが「遠くに行っちゃう気がして寂しい」と言うんですけど、わたしは何も変わらないから遠くには行かないよ?と思うし。

──「Soul Full of Music」には“大人になるのも嫌だ”という一節があり、成人なさったタイミングだと意味深です。

鈴木瑛美子:デビューすることになって、環境が変わっていろんなことを考えたんです。考えたくはないけれど、いつか両親もこの世を去ることになるだろうし、周りの人たちがどんどん去っていく──いろんなことが変わっていくのが嫌だなと思って。みなさんが思うわがままを歌にしました。父がよく「僕は大人になったとは思ってないよ」と言っていました。わたし自身も成人したから何かが変わった、ということはあまりなくて。だからいつまでも子どもっぽく、わがままに生きていきたい、でもそうはいかない……という気持ちを書きました。

──ご自分の曲を歌うのと、ほかの方がお書きになった曲を歌うのとでは感覚が変わりますか?

鈴木瑛美子:いや、変わらないんですよね。ほかの方が作ってくださった曲も、自分にちゃんと吸収して、自分の経験や感覚、考え、気持ちを歌にするので、自分の作った曲と同じように歌えます。自分で曲を作る時はメロディと歌詞を同時進行させていって、その都度自分の感覚にはまる、はまらないをジャッジしながら完成に近づけていきます。気持ちを吐き出すのは簡単だけど、いざみなさんに聴いてもらうとなるとちょっと恥ずかしいんですけどね(笑)。

──今回の2曲はどうですか?

鈴木瑛美子:やっぱり恥ずかしかったです(笑)。でもアレンジも含め最終的にすごく素敵な曲にしていただいたので、今はとにかく聴いてほしい!という気持ちのほうが大きいです。

──そうですね。「FLY MY WAY」は実のお姉さまも含めたゴスペル隊の方々がコーラス参加している曲ですし。

鈴木瑛美子:友達や今まで自分に関わってくれた方々に贈る歌なので、曲中にもそのリアルフレンドのみんなに参加してもらっちゃいました(笑)。国内で撮影した「FLY MY WAY」のミュージックビデオにもリアルフレンドとリアルファミリーに参加してもらって、撮影場所もわたしの卒業した高校をイメージしています。監督さんがわたしの話を親身になって聞いてくださって、わたしが家族、友達、学校、仲間をどれだけ好きなのかを映像で表現してくださったんですよね。
──ミュージックビデオ、楽曲ともに歩んできた20年間が詰まっていると。そういう作品でメジャーデビューを飾れるのは感慨深いですね。ソロアーティストは音楽ジャンルやメンバー編成を楽曲によって変えられるのも強みのひとつだと思うのですが、今回の2曲ではそれも表れていると思います。

鈴木瑛美子:ソロは自分がどう歌いたいか、という感情に忠実に歌えるから好きな旋律を自由に行き来できるし、自由に遊ぶことができる(笑)。そういうひとりで歌う気持ち良さもあるし、クワイアと一緒に歌うと、勢いや迫力、一体感のなかで歌う気持ち良さがある。人と笑いながら歌う景色がすごく好きなんです。ルーツにはゴスペルという大勢で歌う音楽があるし、ゴスペルのサウンドが好きだからそういう曲を歌っていきたいですね。ソロのなかでも人とのつながりを感じられる音楽を作っていきたいです。

──今後ライブの機会も増えていくと思いますが、パフォーマンスするうえで心がけていることとは?

鈴木瑛美子:歌詞の意味をちゃんと伝えたいし、観ている人が飽きないステージを作りたいです。聴いてくださる方々の反応は、私の歌にどんどん影響を与えてくれるんです。歌っている最中に「フゥ~!」と歓声をもらったら「うわーありがとう!」という感情で気持ち良く歌えます。聴いてくださる方々も、その時の気持ちのままに、思うがままに表現していただけたらなと思いますね。最近は「ファンです」と言ってくださる方々がいらっしゃって、そう言っていただけることで「自分の歌をこんなに好きだと言ってくれる人がいるんだから、その人たちの期待に応えるためにがんばろう」のように、これまでになかった新しい気持ちも芽生えました。

──大原櫻子さんのライブを観てうらやましかったことが現実になりましたね。

鈴木瑛美子:あ、そうですね! 自分の歌い方を好きになってくれるリスナーさんはどんな人なんだろう? と思っていたんですけど、それが目に見えるようになってきたことで、俳優や歌手の方々がよくおっしゃる「応援してくださる方々のためにも」という言葉を実感しています。

──ご自分の作詞作曲楽曲をリリースすることで、歌唱力以外にも今後は「歌詞が好き」や「いい曲をお書きになりますね」という反応が出てくるでしょうし。

鈴木瑛美子:わっ、それはすごくうれしいですね……! 楽曲に対する反応をいただいたら、自分が作曲家である実感も湧くと思います。早く「FLY MY WAY / Soul Full of Music」を聴いてほしい、みなさんの反応が見たい! 恥ずかしい気持ちもあるけど、今はもう聴いてほしい気持ちが全然大きいですね。わたしの音楽はこれといったジャンルに括れないと思うので、そこがどう届くのか不安もあるけど、自分の軸は持ちつつ、もっといろんなジャンルに挑戦して「あれもこれもそれもどれも鈴木瑛美子だよね!」と言われるような、これまでにない存在を確立させたいです。鈴木瑛美子らしい音楽で新しい風を吹かせられたらと思います!(笑)

取材・文◎沖さやこ
「FLY MY WAY / Soul Full of Music」

発売日:2019年8月28日(水)
[CD+DVD]AVCD-94558/B 1,800円(税込)
[CD only]AVCD-94559 1,000円(税込)
※両形態共通初回封入:スペシャルライブ抽選シリアルナンバー

「FLY MY WAY」日本テレビ系「スッキリ」8月テーマソング
「Soul Full of Music」TBS系テレビ「CDTV」8月・9月オープニングテーマ


「FLY MY WAY / Soul Full of Music」リリース記念スペシャルライブ

日程:2019年10月
場所:都内某所
※開催日時、会場は後日発表

【 応募方法 】
シングル「FLY MY WAY / Soul Full of Music」に詳細のチラシを封入。
チラシに記載のシリアルナンバーを特設サイトに入力しご応募可能。詳細は封入チラシをご覧ください。

CD発売イベント

8月27日(火)神奈川・ラゾーナ川崎プラザ
8月28日(水)東京・池袋サンシャインシティ
8月31日(土)大阪・あべのキューズモール
※時間/内容の詳細は後日

アーティスト

BARKS

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