「ワンダーフェスティバル2019[夏]
」レポート いつもと違ったメーカー
ブースの情景

 7月29日に幕張メッセで開催された、世界最大の造形イベント「ワンダーフェスティバル2019[夏]」。各所で速報中心のレポートがいろいろと出ていますが、当コラムではいつものように遅ればせながら気になったトピックをピックアップしてレポートをお送りします。
メーカーブースの情景
 今回のワンフェスのメーカーブース、情景がいつもと違っていたことに気づいたでしょうか? いつもに比べて圧迫感がないなぁとか、歩きやすいなぁとか。
 実は、メーカーブースのほうの規格にいろいろ変更があったそうで、各ブースは前回に比べるとコンパクトにしたところが多めで、その結果ブース間の通路が少し広めになっていたようなのです。さらに、今回からブースの高さについても基準が設けられたとのことで、天井にまで届きそうな高いブースはなくなっています。その分、ブースの位置を知らせるための天井からぶら下げるバルーンを使うところが増えました。
 そんなメーカーブースの光景の中でちょっと話題になっていたのが、スケールフィギュアのトップメーカーのひとつであるアルターが参加してないことでした。アルターがどんな新作を出すかは、毎回のワンフェスでの注目ポイントのひとつだったのですが、それが未参加ということで、その事情など含めてざわついた雰囲気になっていました。
 まあぶっちゃけた話、そんなに深い話や重い話でもないようで、ワンフェス当日にはアルターの企画担当の方が普通にフラフラと歩いていました。十数年以上業界にいる方ですが、ワンフェスをフリーで見て回るのは初めてということで、とても気楽そうでした(笑)。
 アルターの新情報については、文字告知だけとはいえあみあみブースの壁にでかでかとでていたのはちょっと面白かったところ。
 余談ですが、アルターは翌週開催されたFGOフェスでは写真の「宮本武蔵 私服Ver.」の原型を初発表していました。
 メーカー関係でもうひとつ、バンダイベンダー事業部の参加もトピックとしてあげられるでしょう。といっても、出展していたのはメーカーエリアではなくディーラーエリアだったので気づかなかった人もいたのではないかと思われます。
 プレミアムバンダイで受注が行われる新作を何点か展示していましたが、ブースの作りは他のディーラーとあまり差がない感じでした。バンダイベンダー事業部のフィギュアは基本的にカプセルに入る大きさながら、造形や塗装もしっかりとしたクオリティで、そのラインナップも幅広いものになっています。2000年前後から大ブームになったカプセル入り美少女フィギュアは、その後コストの上昇とともに減っていったのですが、プレミアムバンダイ等の直販も含めてまた面白くなってきているアイテム。ワンフェスでの広報・告知というこの動きにも注目です。
 バンダイ系では、BANDAI SPIRITS(青いロゴのいわゆる青バンダイ)のバンプレストブランドや一番くじ、さらに赤いロゴのバンダイキャンディ事業部がメーカーエリアで隣接配置されていたのですが、ベンダー事業部だけは離れたディーラーエリア。今回は新しい事へのトライという意味合いもあって、このような出展形式になったとのことでした。
大きなフィギュアと小さなフィギュア
 コスト上昇で、標準的な大きさのフィギュアでも1万円台半ばから後半が中心となってきているスケールフィギュア。こうなってくると、以前のブームの頃のようにホイホイ買えるものではなくなってきています。
 そうなってくると方向性としては、小さくして安いフィギュアを出すか、大きくして高価なフィギュアを出すかということになってきます。実際にはサイズの大小はそこまでコストを劇的に変化させるものではないのですが(小さくても凝った造形や塗装だと高価になる)、買う方としては小さくて高いものは納得しにくく、大きければ多少高くても納得しやすいというイメージがあるのです。会場の展示でも、その2つの方向があちこちで確認できます。
 グッドスマイルカンパニーのブースでは、低価格&受注締め切りから短期間で発売をうたったPOP UP PARADEはまとめて大きなコーナーになっていました。
 その一方で、フィギュア1体で大きなコーナーを占めている「初音ミク Memorial Dress Ver.」は税別3万9390円で、税込価格は4万円超え! スケールこそ1/7と普通の大きさですが、そのボリュームも造形密度も彩色も規格外のクオリティで、納得は出来るもののやはりこの価格は驚きでした。その発売スケジュールも、9月4日受注締め切りで実際に発売になるのは20年12月と1年3カ月後。製造工程の難易度の高さを感じます。
 大きい小さいでちょっと面白かったのが「りゅうおうのおしごと」の雛鶴あい。1/4スケールのバニーフィギュアを多く出しているFREEingが、同時に小さいサイズの水着フィギュアも発表し、並べていたのです。
 1/1スケール胸像も出しているF:NEXからは、「〈物語〉シリーズ」の忍野忍フィギュアが1/2スケールで。
 メガハウスがプライム1スタジオと組んだ「ドラゴンボール」や、東京フィギュアブース「ワンピース」ボア・ハンコックなど、大きなサイズのフィギュアは他にもいろいろ。
 大きいフィギュアで注目のメーカー、プライム1スタジオ。映画のキャラを中心に展開していますが、今回「新世紀エヴァンゲリオン」も発表。初号機は独自解釈のデザインが面白いフィギュアになっています。さらに綾波とアスカはプライム1スタジオとしては少し珍しいド直球のアニメ系美少女フィギュアになっています。ただ、大きなエントリープラグで大ボリュームのフィギュアになっているのは、"らしい”ところですが。
 大きなフィギュアではFIGURAMA COLLECTORSという香港のメーカーにも注目。男性キャラ中心ですが、アニメやマンガを続々と立体化しています。「七つの大罪」の立体化も告知していました。
 なお、小さくて価格を抑えたフィギュアシリーズについても、企画中だというメーカーもちらほらと聞いています。コストが上がり続ける状況でどんなものが出てくるのかこちらも気になるところ。
2020年のワンフェス
 今年が開催35年目となったワンフェスですが、来年は他のイベント同様試練の年となります。20年の冬は通常通り2月に開催されますが、その次のワンフェスはオリンピックの影響で20年11月開催。さらにその次のワンフェスは21年2月なので、開催間隔が9カ月間、3カ月間と、とてもアンバランスなことになるのです。メーカーの新製品発表の場としても、当日版権という他にはない独自システムの運用についてもどういうことになるのか、その状況は要注目です。

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