もっと知りたいジャンルのこと【EDM
編】 〜DJ SONEにインタビュー!〜

現役の人気DJに聞く、EDMのこと。
EDMとは果たして何か……、なぜ流行したのか…、そして今最もホットなジャンルやアーティストは……。EDMに関する様々な疑問を渋谷ATOM TOKYOや六本木SEL OCTAGON TOKYOでレジデントDJをつとめ、全国各地のクラブでプレイするDJ SONEにインタビュー!

現場でバリバリ活躍する彼が思うEDM は今……。

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時代によって変化するEDM、その本質と
は?

——そもそもEDMとはどういうものだと思います?
DJ SONE:定義するのは難しいんですけど……変化するものだと思います。それこそ数年前、ビッグルームやバウンス系が全盛だったときはHardwell(ハードウェル)やW&WAfrojack(アフロジャック)、Steve Aoki(スティーヴ・アオキ)といったアーティストが“ザ・EDM”って感じでしたけど、ダブステップやフューチャーハウス、フューチャーベース、トラップもEDMですよね。そう考えるとEDMはすごく大きな括りとしてあるものだと思うんです

——時代によって変化する音楽ということ?
DJ SONE:かつてはわかりやすくて、BPMが128〜130ぐらいの音楽が基本的にはEDMだった。でも、今はそこから様々なジャンルが加わって、派生して、すごく大きな定義としてEDMがある。EDMが好きの中にも、フューチャーハウスが好きな人、トラップ、ビッグルームが好きな人、いろいろいますからね。そういうのを総括している言葉がEDMなのかなと

——ある意味、便宜上ざっくりとしたカテゴリーですね。
DJ SONE:僕らDJがジャンルを細分化し過ぎているだけで、極論お客さんからしたら全部EDM。最近はそれでもいいのかなって思いますね。それに、例えばFisher(フィッシャー)はEDMなのかハウスなのか、むしろ僕が聞きたい(笑)。聴く人によってはあれもEDMですよね、EDMのDJがみんなかけてるし。でも、僕の感覚から言うと、あれはテックハウスだと思うんですよね
——具体的にはどう変化したと思います?
DJ SONE:以前はもっと限定的な音だったと思います。そもそもハウスとEDMは圧倒的に違っていたはず。それこそ5、6年前だったらSigala(シガーラ)もハウスって言われていたと思うけど、今は絶対的にEDMですからね
——それっていいことなんでしょうか?
DJ SONE:お客さん的には、いいことだと思いますよ。ただ、悪い部分もあって、EDMはざっくりし過ぎてる。細分化されていた方が関連するアーティストに辿り着きやすいんですよね。フューチャーベースのアーティストを知りたいときに、EDMしか知らないとなかなか辿り着けなくて、新しいアーティストとの出会いの可能性が減る。ジャンルって、そういう意味では細分化されていた方が音楽を掘りやすいし、好きなアーティストを見つけやすいと思います

EDMが流行した理由…最終的にEDMはなく
ならない!?

——EDMはなぜ世界的に流行したと思いますか?
DJ SONE:一言で言えば、わかりやすいからだと思いますね。初期のEDMは“ビルド”というアガる部分があって、シャウトとかがあってサビにいって、そして昂揚感があってみんなで飛ぶ。展開がわかりやすくて、その方が初心者もノリやすいんですよ。ただ、わかりやす過ぎて展開が同じように聴こえて、飽きられてしまうというデメリットもあるんですけどね……。流行するきっかけにもなり、廃るきっかけにもなるという

——今EDMは流行していると思いますか? それとも下降気味?
DJ SONE:それはDJの間でもよく議論されてますね……。SNSなどでは“EDMは終わった”っていう意見もありますが、クラブでかからなくなったわけじゃないし、そんなことは全然ない。かければ今も盛り上がりますし。ただ、ここ数年はヒット曲が少ない。そういう意味では下降気味だと思うんですけど、なくなるかと言えばその可能性はないと思います

——EDMはなくならない?
DJ SONE:ビッグルームが流行って、それが下火になってきたと思ったらフューチャーハウスが出てきたように、今後も新しい何かが来るはずで、それはEDMと呼ばれる可能性が高い。EDMが爆発的に大流行した時代からしてみれば、今はヒップホップに勢いがありますし、下降気味だとは思うんですけど、やっぱり完全になくなることはないですよね。しかも、最近は昔のアンセム、LMFAOの“Party Rock Anthem”やRihanna(リアーナ)とCalvin Harris(カルヴィン・ハリス)の“We Found Love”とかのドロップだけ差し替えたようなリエディットものがすごく出てるんです。7〜8年前の曲が今またキテるってことは、数年後にはShowtek(ショウテック)の“Booyah”がもう一回来るんじゃないかみたいな(笑)
——昔のアンセムが新しくなってリリースされているわけですね。
DJ SONE:そう。だから、今は下降気味でも再び上がる可能性もあるのかなって思うんですよ。昔のヒット曲がトレンドにあわせて形を変えて再評価される。オリジナルのヒット曲は少ないかもしれないけど、需要がないわけではない。あとは、EDMの王道と言われるアーティストが今はあまりいないのと、トラックものヒットがあまりない。完全に歌ものありきなんですよね。そういう意味では、クラブのフロアもただ騒ぐより、いかに歌えるかが主流になってきた。これは、わかりやすさに通じていると思うんですけど、今はみんなで歌えて盛り上がれることが大事なんですよね

——それがEDMの音楽的に変化している部分?
DJ SONE:そうですね。僕は歌ものが好きなのでいいんですけど、トラックものをヒットさせるのが難しくなってる感覚がある。だから、フィッシャーは本当にスゴいと思います

——フィッシャーと言えば、“Losing It”ですね。
DJ SONE:そうなんですけど、彼の場合は他にも理由があって。フィッシャーって実はパフォーマンスもかなり派手なんですよ。それこそ、Salvatore Ganacci(サルバトーレ・ガナッチ)並に。みんながEDMの派手な音楽に飽きてきたなか、フェスでEDMアーティスト以上のものスゴいパフォーマンスして、演出もド派手、でもやっているのがハウス……っていうのが新鮮でバズったと思うんです。だから、今後もいろいろとそういうアーティストが出てきても面白いと思うんですけどね。テクノでド派手なパフォーマンスしたり

今旬のEDMアーティスト、ホットなジャ
ンルはフューチャーハウス

——では、EDMの代表的なアーティストと言えば?
DJ SONE:ずっと最前線にいるのは、David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)、Tiësto(ティエスト)、アフロジャック。Armin van Buuren(アーミン・ヴァン・ブーレン)もスゴいんですが、“ザ・EDM”というとこの3人。でも、これは名前を挙げていったらキリがないと思いますよ。ちなみに、僕はアフロジャックずっと好きです(笑)

—— Avicii(アヴィーチー)や、ZEDD(ゼッド)、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)とかはどうでしょう?
SONE:アヴィーチーはそうですね。マーティン・ギャリックスとゼッドは……僕的にはポップスのイメージもあって。あと、ザ・チェインスモーカーズは違うかな。ポップとなると、デヴィッド・ゲッタもそうなんですけど、彼はEDMの基礎を作ってますからね。EDMと一生言い続けてもいいのかな(笑)

——では、今最もホットなEDMのジャンルは?
DJ SONE:フューチャーハウスじゃないですかね。フューチャーハウスのドロップ、メロディってわかりやすいし、覚えやすいし、耳に入りやすいんですよ。そして、若いアーティストのスターが多い。先日来日していたMesto(メスト)をはじめ将来性のある若いアーティストがたくさんいて
——ベース系はどうでしょう?
DJ SONE:なくなることはないと思うんですけど、ちょっと踊りづらいのかなって思いますね。フューチャーベースなら、例えばMarshmello(マシュメロ)の“Alone”とか、これはポップスに近いんですけど、そうでないと受け入れるのは難しいかなと
——トラップは?
DJ SONE:トラップもずっと根強い人気ありますよね。それこそOCTAGONでRL Grime(RLグライム)のプレイ見たんですが、めちゃくちゃカッコ良かったです。あとは、ちょっとズレますけどGammer(ガマー)とか、ハードスタイルやダブステップ寄りの音がバズってますよね。ただ、あれも本質的にはわかりやすくて、飛び跳ねられればいいっていう感じ。そういう意味では、トラップ、フューチャーベースのノリ方は初心者には難しいんですよ。音楽的にはメチャクチャ好きなんですけど、そういった課題がある。トラップというよりフューチャーベースの話にまたなってしまいますが、今度来日するSan Holo(サン・ホロ)もイケてるんですけど、わりとリスニングミュージックなんですよ。そうなるとクラブでかかる機会は少なくなるし、やっぱりダンスミュージックはクラブから流行ることが多い、クラブでかかるってホント大事だと思うんですよ
——注目しているアーティストやレーベルは?
DJ SONE:新譜をチェックするなかで、割合が高いのはMike Williams(マイク・ウィリアムス)ですかね。あとはJonas Blue(ジョナス・ブルー)。彼はやっぱスゴイですよ。キャッチーだし、メインタイムで使えるものからオープンで使えるものもあるので。あとは、Curbi(カービ)ですね。かなりストライクな音なんですけど、言うなればフューチャーハウスとベースハウスの中間、重いフューチャーハウスというか、ベースが強いフューチャーハウスというか

EDMのこれから…さらにはDJになるため
に必要なことを伝授!

——今後EDMはどうなっていくと思いますか?
DJ SONE:残っていくでしょうし、やっぱり時代にあわせて昔流行った曲がエディットされたり、マッシュアップで使われたり、いろいろな形に変わって残っていくんだと思いますよ

——SONEさんが現在力を入れていることは?
DJ SONE:渋谷のATOM TOKYOと六本木SEL OCTAGON TOKYOのレジデントですね。僕自身、最近はあまりフェスに出てないんですが、昔ほど出たいと思わなくなってきたというか……。数年前は出たくてしょうがなかったんですけどね(笑)。今は目指しているところが変わってきたんですよ、いろいろやりたいことが新しくできて。例えば、レジデントもそのひとつで、いかにお店に貢献できるか、そういういろいろな楽しみがわかってきたんですよ
——EDMのDJを目指している人に何かアドバイスをもらえますか。
DJ SONE:今はSNSで様々な人とコミュニケートできますし、そういったことでもいいので、まずはアクションを起こすことが大事ですよね。例えば、DJになりたいのならスクールに通ってもいいと思うんです。それこそ、僕も今ATOM TOKYOのDJスクールで教えてますけどね。以前はまわりにDJなんかいなかったし、教わることもできなかったのが、今は教えてくれる環境がある。それってすごく恵まれていると思うんです。だからこそアクションも起こしやすいし、まずはDJになるための技術を習得すること。プレイできないとDJとは言えないし。そして、人前に立てるようになったら、次はブッキングをもらうためにはどうすればいいのか考える。アーティストになりたいのであれば、曲を作ることが必要ですけど、それも今は学ぶ場所がたくさんある。YouTubeに作成動画とかもありますしね。これもまずは動くことですよ。明日やろうと思ったことはすぐにできないと思うんですよ。やりたいなら今日動かないと、ダイエットと同じですよね(笑)

初めてクラブへ行く人へ…DJ SONEから
のアドバイス

——最後にクラブに初めて遊びに行く人にメッセージをお願いします。
DJ SONE:クラブっていまだに悪いイメージがあるかもしれないけど、もはや悪い部分を見つける方が難しいと思うんですよね。だから、気軽に遊びに行ってほしい。それで楽しくなかったら違う店に行くか、行かなくてもいいと思います。あとは、音楽を知らないと行けないって思うかもしれませんが、それはクラブに行き出して、楽しくなって、もっと音楽を知りたくなってからでいいんですよ。まずは行きたいと思ったら、まわりに行っている友達がいれば一緒に、いなければ興味がある人を探して行ってみるでもいい、SNSとか今はいろいろ手段はあると思います。ファッションだって、ある程度のドレスコードはありますが、普通に外に出かける感じで問題ないし、どういうファッションがなじむのかも勉強だと思うんです。最初から100やることは無理、少しずつ学んでいくのも楽しいと思いますよ

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