夢のセッションも実現、新生HOWL BE
QUIET新作アルバムリリースイベント
公式レポートが到着

前作から2年ぶりのアルバム『Andante』をリリースしたHOWL BE QUIETが、そのリリースの翌日となる8月1日にアルバム発売記念ライブ「Screen0」を渋谷WWW Xにて開催した。昨年、新ベーシスト松本拓郎が加入し、新体制で活動しているハウルが「ゼロからのリスタートを真っ新な状態で初上映したい」という想いで名付けた今回の自主企画ライブ「Screen0」には、ゲストにWEAVERが出演。「バンドはギターが全てじゃない、と教えてくれたバンドの一つ」と語るハウルの熱いオファーによって実現した“ピアノバンド”同士による初のツーマンは、2組による夢のセッションが繰り広げられたほか、集まったお客さんと共にアルバム『Andante』の完成を祝福するスペシャルな一夜になった。
まず、トップバッターとして登場したWEAVERは「くちづけDiamond」や「だから僕は僕を手放す」「カーテンコール」など、スリーピースとは思えない表情豊かなピアノロックサウンドにのせて、杉本雄治(Vo/Pf)の伸びやかなボーカルで会場を魅了。HOWL BE QUIETとの出会いは、4年前に出演した音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2015だったことをと明かすと、「当時はメジャーデビューの少し前ぐらいで尖ってたのかな。嫌われてると思ったけど、今日呼んでもらえて嬉しいです」と言って会場を和ませた。
後攻はHOWL BE QUIET。竹縄航太(Vo/Pf/Gt)、黒木健志(Gt)、松本拓郎(Ba)、岩野亨(Dr)がステージに現れると、“恋愛依存”をテーマにしたアップテンポなナンバー「ギブアンドテイク」からライブをスタートさせた。竹縄が紡ぐ優しく甘い歌声に寄り添うように、軽やかなピアノとバンドサウンドが絡み合うと、フロアからはメンバーが煽らずとも自然にハンドクラップが湧き起こる。「“Screen0”へようこそ!」。ライブの始まりを告げる竹縄の力強い声を合図に、早速、最新アルバム『Andante』からのナンバー「Reversi」も続々と披露された。岩野が叩き出すパーカッシブなリズムにのせた“狙っていく 番狂わせ”というフレーズには、バンドの再スタートに寄せるハウルの強い決意が滲む。今回のアルバムには、気鋭のプロデューサーTAKU INOUEを迎えたスタイリッシュなサウンドが特徴だが、ライブではそこに生のライブならではの息遣いや躍動感が加わり、新たな命が吹き込まれていく。華やかなホーンのサウンドが響いた「Daily Darling」では、ステージの両翼に立つ黒木と松本が、しっかりと目を合わせながら楽しげに演奏していた。
「僕がピアノスターとして敬愛している杉さん、ピアノバンドWEAVERがゲストバンドとして来てくれました!」。MCで竹縄がWEAVERとの4年越しの共演が実現した喜びを伝えると、先ほどのステージでWEAVERが触れた4年前の音霊について、「僕らがふてぶてしかったっていう情報がありましたけど、違うんです!だって、僕はずっと(WEAVERを)見てたからさ、たどたどしくなっちゃっただけで(笑)。本当に大好きです!」と弁解して会場する場面も。そこからSexy Zoneに提供したバラード「名脇役」のセルフカバーは、前回のツアーでは竹縄の弾き語りとして披露されたが、アルバムのリリースを経て、バンド編成で届けられることが感慨深い。続けて、「fantasia」へ。竹縄航太という、なにかと過去を振り返りがちな繊細なシンガーソングライターのありのままを綴ったバラードは、アルバム『Andante』の中でもとりわけストレートで嘘のないハウルの真骨頂だ。
5曲を終えると、竹縄が「前半戦終わりました」と言うと、黒木が「いつも前半戦、後半戦、延長戦って、すっげえよく言うけど、“前半戦終了です”って言って、喜ぶ人いないぞ(笑)?」と鋭いつっこみを入れて、会場を笑わせた。さらに今回の「Screen0」について、「最初はワンマンにしようと思ったけど、せっかく新体制でやるときに誰かと対決したいなっていうのが芽生えて。最初に出たのがピアノロックバンドWEAVERでした」と、改めて今回のコラボへの感謝を伝えた。そして、後半戦は「冒険に出かけてもいいですか!?」という竹縄の威勢のいい掛け声から、メジャーデビュー曲「MONSTER WORLD」、お客さんの声を巻き込んだ「レジスタンス」を立て続けて熱演。会場のボルテージを底上げする賑やかな楽曲たちは、音源では様々な音色も飛び交うが、4人の演奏だけで聴かせる削ぎ落したライブバージョンでは、新体制ハウルの強靭なグルーヴを浮き彫りにしていた。
松本の踊るようなベースラインが口火を切った「にたものどうし」や、ボカロP・羽生まゐごとが夢を諦めずに進むバンドの想いを汲み取って歌詞を共作した「ヌレギヌ」のあと、最後の1曲を残してたところで、竹縄が「しみったれた空気にはしたくないんだけど……」と前置きをして、今回のアルバムに至るまでの経緯を赤裸々に伝えた。「本当に2年かかっちゃたんだよね。はっきり言えば、俺らの2年間は無いものになったんだよ。空白でした。バンドの中でいろいろ問題が降りかかって。それでも、HOWL BE QUIETをやりたくて、もがいて。なんとかバンドを続けられた」と。アルバム『Andante』に至るまでの道のりが決して平坦ではなかったことを伝えると、本編の最後に「Dream End」を披露。衝動的なピアノにブルージーなギターが寄り添った仄暗いバラードには、“夜は群青へ/明けていくよ”と高らかにメロディを紡ぐ。それは、まさにHOWL BE UIETの夜明けの歌だった。
アンコールでは、ひとりステージに現れた竹縄が、WEAVERの杉本を呼び込むと、がっちり握手を交わす。そして、杉本が「これから“延長戦”でいいですか?」と竹縄の口癖を真似て言うと、ふたりがぴったりと寄り添い、ピアノの連弾で「サネカズラ」を披露。続けて、WEAVERの「僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~」を、ハウルの楽器隊を呼び込んで届けた。セッションを終えて、「最高の日だ……!最高だな、本当に」と心から嬉しそうに言った竹縄は、もうこの日ステージで何度言ったからわからないほどだったが、改めてアルバムが完成した喜びを少年のような笑顔で伝えた。最後は「せめてあいつに会ってから帰りたいな」と言うと、現体制になって最初にできたという陽気なナンバー「幽霊に会えたら」で、ライブは終演。最後の一瞬まで、このバンドで音を鳴らすことの喜びに満ち溢れた感動的なステージだった。

文=秦理絵 撮影=山川哲

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着