KERAが誰も知らないカフカの未発表長
編を舞台化 『ドクター・ホフマンの
サナトリウム~カフカ第4の長編~』
ビジュアル解禁

KAAT神奈川芸術劇場にて、2019年11月に上演される 『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』のビジュアルが解禁された。
本作は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、KAATで書き下ろした新作公演。上演作品に合わせ劇場空間を大胆に変形させ、舞台表現の無限の可能性を追求するKAATならではの作品をということで、今回、KERAが選んだ題材は、これまでも度々取り上げてきた彼が敬愛する作家・フランツ・カフカ。「失踪者」「審判」、そして遺作長編とされていた「城」に続く、カフカの4作目の長編小説の遺稿が発見されたとしたら!? それが舞台化されたとしたら!? というテーマで、誰も知らないカフカの未発表長編の舞台化にKERAが挑戦する。
発表されたビジュアルは、中央に大きく配置されたフランツ・カフカ自身を、今作の豪華出演者の顔写真が取り囲んでいる印象的なもの。また、主演の多部未華子をメインにしたチラシビジュアルも公開されている。
『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』チラシ
本公演はKERA作品初登場の多部未華子を中心に、『陥没』では好演が光り、大きなインパクトを残した瀬戸康史、TEAM NACSの個性派俳優・音尾琢真、いまやドラマ・映画でかかせない存在となった渡辺いっけい、KERA上演台本・演出『8月の家族たち』での演技が高い評価を得た麻実れいに加え、KERA作品への出演を熱望していた村川絵梨、谷川昭一朗、武谷公雄。そして緒川たまきと、ナイロン100℃から参加の犬山イヌコ、大倉孝二、吉増裕士、菊池明明、伊与勢我無といった一癖も二癖もある個性豊かな出演陣に、振付の小野寺修二、音楽の鈴木光介が加わることで、どんな作品に仕上がるのか。彼のマジカルな想像力が幻視する、ありもしないカフカ作品の捏造。ファン必見の公演になることは間違いないだろう。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント
近頃発見されて話題となった、フランツ・カフカの長編小説の遺稿。これをすかさず舞台化しようという企みが、この度の公演である。困難な上演になるだろう。なにしろ、そんな遺稿なんて見つかってないのだから。
カフカ(1883〜1924)は、お馴染みの『変身』をはじめとした数々の短編小説と、『失踪者(アメリカ)』、『審判』、『城』の3本の未完の長編小説(『審判』は途中が欠落、他の2作は文字通りの未完)を遺し、親友の編集者マックス・ブロートに「遺稿は全て焼き捨ててほしい」と言い遺して天に旅立った。死因は、当時まだ不治の病だった結核。マックスは約束を反故にし、焼き捨てるどころか、全集を出版した。ひどい話だが、そのおかげで今、我々はカフカの、カフカにしか書けない小説を、幾度でも読むことができる。そして、死後 100 年近くを経ての、新たな長編原稿の発掘。発掘されてないのだけれど。発掘されてない以上読めるはずがない。故に私はまだこの小説を未読だ。きっと前例に漏れず、欠損だらけだろうと憶測する。ラストシーンはあるのだろうか。全体がないのだからあるわけがないが。
「ドクター・ホフマンのサナトリウム」というのは、彼が最後の数ヶ月を過ごした療養所である。ということは、『城』のあとに書かれたのだろう。書かれてないのだけれど。「 カフカ第 4 の長編」は、まだ見ぬ「カフカ最後の長編」だ。人生の終焉を見つめ、それまでにない「新しいカフカ」が見つかるやも知れぬ。困難な公演だ。せめて遺稿が見つかっていればもう少し楽だろうに。

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