金属恵比須・高木大地の<青少年のた
めのプログレ入門> 第17回~「祖母
に感謝せずしてプログレを語るなかれ
」
味をしめた筆者は、翌月のゴールデンウィーク、再び祖母に会い、CDをせびる。なんという悪徳小学生か。次は「誕生日プレゼント」という手は使えない。なので、祖母にこう言った。
「ワーナーのCDが今、値上げしてるんだ。僕が欲しいCDは3,378円から3,900円に値上げしてしまってる。でも吉祥寺の新星堂にはまだ安い在庫があるんだ。買ってもらっていい?」
「大地、そりゃ嘘でしょうが」
といいながらもお金をもらい手に入れたのが2枚組『海洋地経学の物語』。
その後も夏休みには祖母の家に行き、当時骨折していた足を引きずって、哀れんだ祖母につけ込みリック・ウェイクマン『ヘンリー八世の六人の妻』を買ってもらう。当時の実力を今も持っていれば高齢者相手の詐欺業者になっていただろう。
小学6年生の時はこのようにイエス三昧の日々だった。当然、学校の授業にも影響をモロに受けていた。
例えば図工の授業。「箱の中の世界」という工作の課題で、箱の中に紙粘土でリック・ウェイクマンの人形を作り、銀紙のマントを着せたりした。そこで、背景に”Yessongs”とロジャー・ディーンのマシュマロのような、ふっくらロゴを描こうとした瞬間、図工の先生が、
「高木君、盗作です」
と釘を刺してきた。
と予想外の怒られ方をして唖然となったが、話をしてみると、先生はただのロジャー・ディーンのファンだったことが発覚。それから画集を借りたりして、さらに図工の作品のパクリに磨きをかけてしまったのはさておき。
国語の授業でも影響大だった。
谷川俊太郎の詩を学んで自らも詩を作る授業。思いつかないから、イエス『海洋地経学の物語』の「神の啓示」と「追憶」の訳詞をかいつまんでつないで提出した。
先生からは、「高木君のいっている意味がわからない」と評された。
それは当然だ。書き写しただけの小6の当人も、意味は全くわかっていないから。
金属恵比須がメキシコで行なわれた世界最大プログレ・フェス「Baja Prog」に出演した時もジェスチャーのみで1週間を過ごした。災い転じてナントやらで、英語圏のファンだろうがスペイン語圏のファンだろうが対等にコミュニケーションできたという僥倖には恵まれたけれども。未だにイエスの鼻歌はこんな感じだ。
「♪あ、死のう、ぐっ、ピーポー、短ラン、さーしーせーそー、サーティーわーなー、お馬、上〜」
小6の時に耳で覚えた音で記憶しており、英語で何をいっているか知らない。ちなみにこの曲は「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」である。わからないだろうけれども。
・ピンク・フロイド
・キング・クリムゾン
・イエス
・エマーソン、レイク&パーマー
・ジェネシス
のいわゆる“五大バンド”の代表曲3〜5曲が取り上げられている。
・U.K.
・エイジア
・ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター
・ジェスロ・タル
・ムーディー・ブルース
の各1曲ずつが取り上げられており、痒いところに手が届いているチョイスなのが嬉しい。
「絶対合格! キスエクと学ぶ夏のプログレ強化講座」
という、トーク・イベント。
2019年7月31日(水)19:30より高円寺パンディットで開催される。
SPICE
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