【LUNKHEAD ライヴレポート】
『LUNKHEAD ONEMAN TOUR 2019
「plusequal」』
7月19日 at 恵比寿LIQUIDROOM
“LUNKHEAD結成20年、何もおめでたくはない”。4月にリリースした12枚目のアルバム『plusequal』を引っ提げ、全国ツアー『LUNKHEAD ONEMAN TOUR 2019「plusequal」』を開催していたLUNKHEADだが、ファイナルを目の前に小高芳太朗(Vo&Gu)が書いたブログには、この20年の間に抱えてきた歯痒さ、悔しさが赤裸々に綴られていた。そして、小高の叫びをきっかけにファンも一丸となって迎えた7月19日の恵比寿LIQUIDROOM公演は見事ソールドアウト。この日のライヴはこれまで彼らを愛してきたひとりひとりが今一度、LUNKHEADというバンドと向き合い、開催前から手を取り合って作り上げたものであることを始めに書いておきたい。
満員となった会場にお馴染みの入場テーマでメンバーが登場し、メジャーデビュー曲「白い声」で開幕。大切に育ててきたこの曲を一発目に選んだことからも沸々と燃える気合を感じたが、「シンフォニア」「ヒナタ」と続け、過去を振り替えさせる隙もなく、今のバンドの姿をじっくりと見せつけていく。ステージパフォーマンスはもちろん、さまざまな想いを抱えたツアーファイナルであることは誰もが分かっていただけに、MCで何が語られるのかにも注目が集まっていたが、“出るのよ…鼻が…”といきなり鼻水をかんだ小高にクスクスと笑いが起きる。あの和んだ雰囲気にはいつも通りの4人の姿が観られたことへの安心感もあったのだと思う。
“世界一不細工かもしれないけど、世界一愛おしいソールドアウトです”という感謝の言葉のあとに披露した「光のある方へ」ではサビメロに込められた希望をより強く受け取り、パッと笑顔が広がった「きらりいろ」や、ギターリフに大歓声が飛ぶ「HEART BEATER」、ロックバンドとしての真骨頂を観た「体温」「シンドローム」と、一曲一曲の景色が目に焼き付いていく。
『plusequal』を聴いた時、虚しさを歌った「極光」は彼らのリアルな心境だと思っていたが、シンプルにずっしりと響かせるリズム隊の振動とともに迸る情熱が伝わる。「夏の匂い」や「プルケリマ」で個人的な思い出や情景が思い浮かび、自分の中に棲みついているLUNKHEADの音楽を改めて知る瞬間もあった。彼らの20年を想うだけでなく、楽曲とセットで押し寄せる自分自身に向き合っていたファンもいたのではないだろうか。
後半は「朱夏」から激しめのナンバーを連続投下。まさにお祭り騒ぎだった「スターマイン」、会場の隅々まで飛び跳ねまくっていた「アウトマイヘッド」でフロアーがもみくちゃになり、「ぐるぐる」を披露した時のメンバーのギラギラとした目も忘れられない。煽られる前からファンが熱狂している光景は、もはやステージ側が煽られているくらいの勢いで、そのまま「僕らは生きる」に突入するとサビ前から大合唱が起こり、ラストの「はじまれ」で闘争心を振り絞る。ライヴが始まる前まではLUNKHEADの20年間の集大成を観るのだと意気込んでいたが、そんなおさまりの良い言葉では表現できない、彼らの泥臭く輝かしい生き様を目に焼き付けた。
そして、完全燃焼だと思った矢先のアンコールで披露された「前進/僕/戦場へ」。《胸の奥にゆるぎない ひとかけらの勇気手にしたら/前だけを見て歩いてゆける 僕が生きるべき戦場へ》という歌詞は、まるでこの日を歌っているかのようだった。きっとあの場には初めて彼らのライヴを観たファンもいただろうし、20年前からともに歩んできたファンもいて、それぞれの角度で、各々の人生に流れていた音楽を“これがLUNKHEADだ”と全員が同じ気持ちで観ているような不思議な感覚に陥ったのも印象深い。
“どんなにダサくても、這いつくばってでも上がっていくのがLUNKHEADだと思い出させてくれた。この20年間で出会ってくれたファンだけが財産で、誇りで、唯一の守るべきもの。これまでいろいろと間違えたこともあるけど、それだけは間違えたくない。一緒に歩いていこうぜ”(小高)
初心に帰るでもなく、心機一転でもない。ずっと大事にしてきたものをさらに大事にしていく覚悟を決めた彼らは、9月4日にベストアルバム『ALL TIME SUPER BEST』をリリースし、10月からは全20公演のツアー『20th Anniversary final stage 「ALL TIME SUPER TOUR」』を開催する。単に節目だからではなく、今の自分たちだからこそ愛されてきた楽曲で見せたいものがあるように思えた。
満員となった会場にお馴染みの入場テーマでメンバーが登場し、メジャーデビュー曲「白い声」で開幕。大切に育ててきたこの曲を一発目に選んだことからも沸々と燃える気合を感じたが、「シンフォニア」「ヒナタ」と続け、過去を振り替えさせる隙もなく、今のバンドの姿をじっくりと見せつけていく。ステージパフォーマンスはもちろん、さまざまな想いを抱えたツアーファイナルであることは誰もが分かっていただけに、MCで何が語られるのかにも注目が集まっていたが、“出るのよ…鼻が…”といきなり鼻水をかんだ小高にクスクスと笑いが起きる。あの和んだ雰囲気にはいつも通りの4人の姿が観られたことへの安心感もあったのだと思う。
“世界一不細工かもしれないけど、世界一愛おしいソールドアウトです”という感謝の言葉のあとに披露した「光のある方へ」ではサビメロに込められた希望をより強く受け取り、パッと笑顔が広がった「きらりいろ」や、ギターリフに大歓声が飛ぶ「HEART BEATER」、ロックバンドとしての真骨頂を観た「体温」「シンドローム」と、一曲一曲の景色が目に焼き付いていく。
『plusequal』を聴いた時、虚しさを歌った「極光」は彼らのリアルな心境だと思っていたが、シンプルにずっしりと響かせるリズム隊の振動とともに迸る情熱が伝わる。「夏の匂い」や「プルケリマ」で個人的な思い出や情景が思い浮かび、自分の中に棲みついているLUNKHEADの音楽を改めて知る瞬間もあった。彼らの20年を想うだけでなく、楽曲とセットで押し寄せる自分自身に向き合っていたファンもいたのではないだろうか。
後半は「朱夏」から激しめのナンバーを連続投下。まさにお祭り騒ぎだった「スターマイン」、会場の隅々まで飛び跳ねまくっていた「アウトマイヘッド」でフロアーがもみくちゃになり、「ぐるぐる」を披露した時のメンバーのギラギラとした目も忘れられない。煽られる前からファンが熱狂している光景は、もはやステージ側が煽られているくらいの勢いで、そのまま「僕らは生きる」に突入するとサビ前から大合唱が起こり、ラストの「はじまれ」で闘争心を振り絞る。ライヴが始まる前まではLUNKHEADの20年間の集大成を観るのだと意気込んでいたが、そんなおさまりの良い言葉では表現できない、彼らの泥臭く輝かしい生き様を目に焼き付けた。
そして、完全燃焼だと思った矢先のアンコールで披露された「前進/僕/戦場へ」。《胸の奥にゆるぎない ひとかけらの勇気手にしたら/前だけを見て歩いてゆける 僕が生きるべき戦場へ》という歌詞は、まるでこの日を歌っているかのようだった。きっとあの場には初めて彼らのライヴを観たファンもいただろうし、20年前からともに歩んできたファンもいて、それぞれの角度で、各々の人生に流れていた音楽を“これがLUNKHEADだ”と全員が同じ気持ちで観ているような不思議な感覚に陥ったのも印象深い。
“どんなにダサくても、這いつくばってでも上がっていくのがLUNKHEADだと思い出させてくれた。この20年間で出会ってくれたファンだけが財産で、誇りで、唯一の守るべきもの。これまでいろいろと間違えたこともあるけど、それだけは間違えたくない。一緒に歩いていこうぜ”(小高)
初心に帰るでもなく、心機一転でもない。ずっと大事にしてきたものをさらに大事にしていく覚悟を決めた彼らは、9月4日にベストアルバム『ALL TIME SUPER BEST』をリリースし、10月からは全20公演のツアー『20th Anniversary final stage 「ALL TIME SUPER TOUR」』を開催する。単に節目だからではなく、今の自分たちだからこそ愛されてきた楽曲で見せたいものがあるように思えた。
撮影:佐藤早苗、松田恩美/取材:千々和香苗