4人組バンドGEZANが放つ轟音と優しい
歌詞に救われる

沈み行く感情に飲み込まれそうになった
とき、掬い上げてくれるのは神ではなく
GEZANかもしれない

月曜から夜ふかし出演や小説家デビューと話題に尽きないマヒトゥ・ザ・ピーポー。彼がボーカルを務めるバンドGEZANの音楽は水のように柔軟に変化しています。それでも楽曲には共通して一縷の希望を感じる。轟音でヘヴィーな楽曲であっても、その核にあるのが優しさじゃないとしたら辻褄が合いません。フジロックへ出演も決定しており、注目度を高めているGEZAN。今回はYouTubeにある人気曲を紹介すると共に彼らの魅力を紐解いていきます。

GEZANとは?

GEZANは2009年に大阪で結成されたオルタナティブロックバンドです。現在のメンバーはボーカルのマヒトゥ・ザ・ピーポー(ファンからはマヒトと呼ばれています。)、ギターはイーグル・タカ、ベースはカルロス・尾崎・サンタナ、ドラムは石原ロスカル。
ボーカルのマヒトは人気のバラエティ番組、月曜から夜ふかしにも出演したことがあります。彼らは自主レーベル十三月から、これまでに4枚のフルアルバムをリリース。LOSTAGE踊ってばかりの国テニスコーツらともスプリットを発売するなど、どんどんとフィールドを広げています。

6月21日からは「Tribe Called Discord:Documentary of GEZAN」と題されたドキュメンタリー映画が公開されています。アメリカで体験した差別や偏見といった現実を目の当たりにした彼ら。葛藤を抱えながらGEZANはどんな答えを導き出すのでしょうか。

GEZANの歌詞と音楽性

轟音のなかでも確かに響くGEZANの歌詞は、リスナー自身も気づかなかったような感情に気付かせてくれる不思議さがあります。GEZANの歌詞に共通しているのは優しさのカケラのようなものが垣間見れることです。怒りや失望を歌っていたとしても、それは優しさと表裏一体の感情だということをマヒトは教えてくれます。
またマヒトは5月に小説「銀河で一番静かな革命」を発売し小説家としてデビューもしました。メロディーの制約がありながらもハッとさせる歌詞と、言葉の塊になって読者の心を翻弄する文章。どちらも使いこなすマヒトのワードセンスにも注目です。

GEZANの音楽性は水のように変化しています。パンクロックライクなのかと思えば、次のアルバムでは息がつまるような轟音でヘヴィーなサウンドを鳴らすこともあります。それが2018年10月に2年ぶりのリリースとなった「Silence Will Speak」という作品です。レコーディングはシカゴのエレクトリカル・オーディオ・スタジオにて行われ、レコーディングエンジニアを担当したのは、ニルヴァーナやピクシーズのレコーディングに携わった経験のあるスティーヴ・アルビニ。グランジやオルタナティブロックを得意とするアルビニの手によって、GEZANは更なる深みを手にしました。

YouTubeで人気がある楽曲

「瘡蓋と爆撃機」

疾走感のあるメロディーと優しい歌詞が印象的な楽曲です。ポジティブな意味で使用される機会が多い”朝”という言葉を、敢えて〈朝に殺される〉と表現したことに温かみを感じました。大勢が良いと言うものを、全員が同じように感じるとは限りません。

「DNA」

メンバーを始め、出演している人たちの楽しそうな姿に何だか救われるような一曲です。魅力的なフレーズは多々ありますが、とびっきりのピースがこもった〈この歪みこそが愛だよ〉にヤラれてしまいました。音楽的なことだけでなく、人生や、性格の歪な部分も肯定してくれるような楽曲です。

「Absolutely Imagination」

ドラムが脱退後、新メンバーの石原ロスカルを迎えて最初にリリースされたのがこの楽曲。THE BLUE HEARTSへのリスペクトを感じ叫び出したくなります。分かりやすい映像や写真に比べて、時間もかかり、個人差もある想像。想像をする機会すらほぼ失われつつある昨今で、想像力の強さを歌うバンドがいることに安心感を感じます。バンドとして新しいスタートを切ったストーリーもあり、エネルギッシュなプレイに思わず拳が上がります。

「BODY ODD」

映像は1月24日に渋谷CLUB QUATTROで行われた「Silence Will Speak」レコ発ライブから。ぎっしりと詰め込まれたタイトな歌詞と、爆発力のあるバンドサウンドがめちゃくちゃカッコいいです。このライブでのフューチャリングには鎮座DOPENESS、syucream、Taigen、LOSS、蛯名 啓太、OMSBの豪華な面々が参加しています。見ているだけで心拍数が上がっていくような、ライブならではのアツい映像です。

「NO GOD」

断末魔のように何度も叫ぶ〈NO GOD〉は簡単には忘れられません。ひっ迫感のあるブレス、ヘヴィーな音圧が世紀末感を醸し出し、手のひらから汗がジワリと滲みます。しかしこの息苦しさは、想像上の世紀末ではなく、今生きている現実そのものから来ているように感じます。〈make your new god by yourself〉のフレーズに一縷の希望を見出したくなります。

フェスシーズンということもあり、GEZANは数多くのイベントに出演予定。7月27日にはFUJI ROCK FESTIVAL ’19にも出演が決定しています。
またGEZANが主催を務めている投げ銭制の野外ライブ「全感覚祭 19 -NEW AGE STEP-」も開催が決定しています。今年は9月21日に大阪、10月12日東京の2箇所での公演になります。今回は新たな挑戦としてフードフリーという前代未聞の試みも。
これを機会に、轟音で優しいGEZANを体感してみてはいかがでしょうか。

GEZAN公式サイト

映画『Tribe Called Discord:Documentary of GEZAN』公式サイト

Tweets by gezan_official
4人組バンドGEZANが放つ轟音と優しい歌詞に救われるはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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