ミュージカル『テニスの王子様』3rd
シーズン 全国大会 青学(せいがく)v
s立海 前編が開幕 初日直前のゲネプ
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2019年7月11日(木)、TOKYO DOME CITY HALLにてミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 前編が開幕した。直前に行われた公開ゲネプロ・囲み会見の模様を紹介する。
ここから始まる“テニミュの夏”がいかに暑く&熱く思い出深いものになるのか。このステージを見れば、一目瞭然だ。
3rdシーズンカンパニーがたどり着いた全国大会決勝、そのステージがいよいよ幕を開けた。まさに“泣いても笑ってもあとひとつ”状態だが──ここではまずはその半分。「前編」の模様が描かれていく。
決勝戦当日朝の独特な高揚感を伝えてくれるオープニング。次々にキャストが現れる小気味良さは、まるでトランプのシャッフルのよう。誰もが自分の勝ちを信じ決勝戦を心待ちにしているワクワクが、客席に強く伝わってくる。そんな中、リョーマ(阿久津仁愛:あくつ にちか)が自主トレで行っていた軽井沢から帰って来ていないことが発覚! なんとか試合に間に合わせようと、桃城(大久保 樹)は氷帝・跡部所有のヘリコプターに乗り込みリョーマを連れ帰ることに(ちなみに今回のヘリシーンは楽しくグレードアップ! 過去作のヘリの表現と比べるのも面白い)。
試合はシングルス3、青学(せいがく)・手塚(青木 瞭)vs立海・真田(田鶴翔吾)から。「百錬自得の極み」、「才気煥発の極み」を発動しつつ「手塚ファントム」を駆使して全力で試合に挑む手塚と、大技「風林火山」だけではなく、「陰」と「雷」を引っさげ同じく全力で手塚に向かう真田。いきなりのヘビーマッチだ。“テニスの怪人”手塚と揺るぎない強さを醸す真田との一騎打ちは、この二人だからこその重厚なテイストで場内の空気すら圧していく。
続くダブルス2、青学(せいがく)・乾(竹ノ内大輔)&海堂(中島拓人)vs立海・柳(井澤巧麻)&切原(前田隆太朗)。手の内の読み合いの駆け引きが熾烈な乾と柳のデータテニスの凌ぎ合いに、凄みを増した海堂と切原の触れれば火傷しそうな熱量が放出されるパワフルな攻めが融合する。知力体力を駆使したゲームが沸騰していく。
ここまでまだ2試合とはいえ、非常に濃密な内容に思わず息を飲む時間が続いた1幕。その緊張は2幕頭、大阪からやって来た四天宝寺の幕間タイムが楽しくケアしてくれる(いてくれてありがとう!)。このコーナーはおそらく日替わりのお楽しみも散りばめられているだろう。
試合再開。次はシングルス2の青学(せいがく)・不二(皆木一舞)vs立海・仁王(後藤 大)だ。ここに来るまで溜め込んだ思いで闘志倍増、開始直後から華麗なカウンター技を次々繰り出す不二に対し、“コート上のペテン師”仁王の奥の手が迫る。なんと、得意の「イリュージョン」で手塚、そして四天宝寺の白石の完璧なモノマネでの不意打ちとは! 天才vsアーティストのぶつかり合いは予想外の展開で物語にフックを与え、バラエティ豊かな試合展開に。
さらに勝利の女神を青学(せいがく)に引き寄せるべくこのタイミングで登場したのは、ゴールデンペア。ダブルス1の青学(せいがく)・大石(江副貴紀)&菊丸(田口 司)vs立海・丸井(大薮 丘)&ジャッカル(川﨑優作)戦はともに抜群のコンビネーションを誇るペアが真っ向勝負。開始早々にパワーアンクルとパワーリストを外した“立海の本気”と、“最後のダブルス”に思いの全てを注ぎ込む“青学の友情”の対比が爽快。
さあ、残るは青学(せいがく)・リョーマvs立海・幸村(立石俊樹)戦だが──ひとまず前編はここまで。仲間が全力で思いを繋ぐ中、リョーマはいまだ記憶を失くしたまま。無邪気にラケットを構え「教えてください。テニスを、僕に」と歌うリョーマの声の響きが切ない。そんなリョーマに「もう一度桃ちゃん先輩って呼んでくれよ!」と容赦無くボールを打ち込み、限られた時間の中、その身体に染み込んでいるテニス魂に問いかける桃城。乾と海堂も加わり、3人を相手にラケットを振るうち少しずつ眠っていた大切なモノを思い出していくリョーマ。表情が、体のキレが、徐々にみんなの知っている“あのリョーマ”にどんどん近づいていく。キャラクターの繊細な変化を瑞々しく体現し、場内の視線を一気に集めていった。
こういうシーン、共にプレーをすることでしか解決できないことがあるというドラマは、やはりスポーツを題材にした作品ならではの爽快感だ。しかし長い長い物語の末に、最強の主人公がゼロからテニスを学び直す姿を見られるなんて、最高のサプライズであり、最上のエンターテインメントではないか! リョーマの完全覚醒の瞬間が待ち遠しい。
舞台は大いなる余韻を残しつつ、テニミュナンバーメドレーでのフィナーレへ。ここからひと夏、彼らがコツコツと公演を重ねていったその先に確実に待ち構えている「後編」の幕開けまで、目の前の熱戦を反芻しながら期待を持って待機したい。
そして、ゲネプロ後に行われた出演者登壇の囲み会見でのコメントを紹介する。
■青学(せいがく)
越前リョーマ役:阿久津仁愛 
今回は全員が本公演を経験しているキャスト。だからこそ、熱量も向上心も全62公演……僕も62公演というのは初めての経験ですが、この長丁場を一緒に全力で駆け抜けたいと思います。また、前編のリョーマは記憶がなくなってしまって、観ている方は「あれ? リョーマってこんなに可愛いんだ」となると思いますし、青学(せいがく)メンバーは決勝に来てそういうことが起きたからこそ越前に繋ぐためにより熱くなれると思うし……。なので見どころは桃城がリョーマに思い出させるシーンですね。曲も大好きで、こうして演じることができて光栄です。毎公演研究していって、もっともっと新鮮に表現していきたいです。3rdシーズン全国立海前編、進化しつづけているテニミュの演出に負けないように僕たちも必死に食らいついていきます。一人ひとりのドラマを感じてください。よろしくお願いいたします。
手塚国光役:青木 瞭
僕ら青学(せいがく)はこれが3公演目。一丸となって立海に立ち向かっていくというのが大きな目標で、そこに向けて話し合いもたくさんしてきました。見どころはもう最初から最後まで全部なんですけど、中でも手塚と真田の試合。あまりにも凄まじい死闘、その熱量をどう表現すればいいのかを二人で話し合い作ってきました。そこはぜひ見て欲しいです。夏といえばテニミュ、テニミュを見るとみんなが明るくなれる、“テニミュケーション”でお客さん同士が仲良くなれる。そういう明るい世界を作ること、みなさんが盛り上がって楽しくなれるのが目標です。ぜひ劇場にお越しください。
■立海
幸村精市役:立石俊樹
関東立海公演の初日から約2年経って、今、ここにいることが感慨深いです。今回は長い公演ですけど、毎回ベストを尽くして全員が記録を更新、常に上を目指しながら熱い戦いをみなさんにお届けできたらなと。関東大会決勝は幸村不在で真田に引っ張ってもらいましたが、今回は幸村が完全復活をして、やっとコートに立てるということで、立海の真の姿をみなさんに随所でお届けできるのが見どころですね。僕もみなさんと熱い夏を過ごしたいなと思っています。僕たちも楽しんで演じていますし、お客様にも手に汗握る時間を過ごして欲しい。一緒に熱い夏を感じましょう。
真田弦一郎役:田鶴翔吾
2年ぶりにテニミュに立海が戻ってきましたが、僕らはいつもゴールを決めずに進んでいます。今回も常に向上しながら62公演走りきろうと決めていて、毎日に満足することなく、青学(せいがく)のみなさん、四天宝寺のみなさんと一緒に怪我なく駆け抜けていきたいと思っています。僕の中ではシングルス3がもともと大好きなので、こうして演じることができてとても嬉しいです。また、幸村と真田の友情を二人でもすごく話し合い、テニスが大好きで勝ちたくて勝ちたくてたまらないチームとして、後編も見据えて熱を切らさないようにと挑んでいます。「立海は勝ちます!」……という気持ちで常に戦っていきますので、青学(せいがく)もそのつもりで向かってきて欲しい。中学生の熱い試合を目の当たりにできます。ぜひ劇場に観にきてください。
■四天宝寺
白石蔵ノ介役:増子敦貴
今回僕らは決勝戦を見届ける側なんですけど、お客様のその時の感情だったり臨場感を僕らが代わりにというか……お笑いだったり四天宝寺らしいやり方でお見せしたいと思います。僕が好きなのは不二と仁王の試合。仁王はイリュージョンで白石になりますし、不二の第6のカウンターも出ますし。注目しています。また、日替わりシーンなど僕らがやってるところどころ、細かすぎて面白いというシーンが結構あるので、日替わりも含めてそこも楽しみにして欲しいですね。「どっちが勝つんだろう!?」という臨場感を出すことが僕らの役目。手に汗握り、時には四天宝寺で笑っていただいき、また汗をかいて。一緒に熱い夏を過ごしましょう!
取材・文=横澤 由香

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