ザ・ベンチャーズの
『コンプリート・ライヴ
・イン・ジャパン ‘65』は
ライヴアルバムの決定版!

ザ・ベンチャーズの来日公演

ここからザ・ベンチャーズは日本で突出した人気グループとなり、最高のタイミングで来日公演が決定する。65年1月のことである。この来日公演は同じインストバンドのアストロノウツとの共演であったが、この時の公演が口コミで伝えられ(当時はネットもスマホもないので…)、7月に再来日。この時のツアーは1カ月間に全国58回公演17万人以上動員というハードスケジュールであったが大成功を収め、社会現象にまでなった。同年暮れには拍車を掛けるように加山雄三の『エレキの若大将』が公開され、寺内タケシも出演(寺内は前作『海の若大将』にも出ている)するなど、日本の若者たちはエレキサウンドにのめり込んでいくのである。また、テレビ番組では『グヤトーン・全国アマチュア・バンド・コンテスト』や『勝ち抜きエレキ合戦』がスタートし、歌謡番組にはGSのグループが登場するなど、65年はまさしく日本のポピュラー音楽界の変革が始まりつつあった。ちなみに翌66年にはビートルズが来日し、これまた日本全土の若者たちを熱狂させている。

本作『ザ・ベンチャーズ・コンプリート
・ライヴ・イン・ジャパン ‘65』
について

本作は日本の音楽シーンを変えた65年7月の来日公演の模様を収録したもので、圧倒的なテクニックに裏打ちされたザ・ベンチャーズの全盛期の演奏が収められた名盤である。ややこしいのだがLP時代の『ザ・ベンチャーズ・イン・ジャパン』(‘65)は65年1月の公演を収録したもので、『ザ・ベンチャーズ・イン・ジャパン第2集』(’66)は65年7月の公演を収録している。本作『ザ・ベンチャーズ・コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン ‘65』は『ザ・ベンチャーズのすべて』(2枚組、’66)と『ザ・ベンチャーズ・イン・ジャパン第2集』に収録の「ピンク・パンサーのテーマ」をもとに、LP時代にはカットされていたビン・コン・セプション(フィリピン人MC)のユーモラスな語りも入れ制作された完全版となる。

収録曲は全27曲(イントロとメンバー紹介は省く)。彼らの代表曲の「ウォーク・ドント・ラン」「パイプライン」「10番街の殺人」「ダイヤモンド・ヘッド」「クルーエル・シー」「朝日のあたる家」「キャラバン」「テルスター」「ワイプ・アウト」などが収められ、スタジオ録音の時には聴けなかったワイルドでロックフィールにあふれたプレイが目白押しとなっている。特に9分にも及ぶ「キャラバン」はスリリングなプレイの連続でまさに圧巻である。どの曲も名曲で、名演の連発である。ロカビリー〜カントリー系の早弾きをベースにしたノーキーの素晴らしいギターワークは特筆すべきで、ライヴでこれだけの力量(スタジオでの演奏をはるかに凌駕している)を発揮できるプレーヤーは滅多にいない。ライヴでの4人のコンビネーションといい、ドライブ感といい、やはりこの時期のザ・ベンチャーズが絶頂期であることは間違いない。ノーキー・エドワーズの一時脱退後に加入したジェリー・マッギーのギターも素晴らしいので、彼の参加作品もぜひ聴いてみてください。

TEXT:河崎直人

アルバム『Ventures Complete Live In Japan ‘65』1995年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. イントロダクション
    • 2. クルーエル・シー
    • 3. ペネトレーション
    • 4. ブルドッグ
    • 5. アイ・フィール・ファイン
    • 6. メンバー紹介
    • 7. 朝日のあたる家
    • 8. アウト・オブ・リミッツ
    • 9. 10番街の殺人
    • 10, ベサメ・ムーチョ・ツイスト
    • 11. ラヴ・ポーション・No.9
    • 12. ウォーク・ドント・ラン ’64
    • 13. ウォーク・イン・ザ・ルーム
    • 14. ラップ・シティ
    • 15. ワイプ・アウト
    • 16.ウォーク・ドント・ラン(メドレー)〜パーフィディア(メドレー)〜木の葉の子守唄(メドレー)
    • 17. 悲しき闘牛
    • 18. テルスター
    • 19. ドライヴィング・ギター
    • 20. 夢のマリナー号
    • 21. ピンク・パンサーのテーマ
    • 22. イエロー・ジャケット
    • 23. アパッチ
    • 24. パイプライン
    • 25. サーフ・ライダー
    • 26. 星への旅路
    • 27. バンブル・ビー・ツイスト
    • 28. ダイアモンド・ヘッド
    • 29. キャラヴァン
『Ventures Complete Live In Japan ‘65』(’95)/The Ventures

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着