質の高いポップスを純粋に楽しむフレ
ンズの魅力。青春チャレンジツアーで
思い出の土地を巡る

男女混合5人組ポップスバンド“フレンズ”が6月29日(土)、全国ツアー「青春チャレンジツアー」のファイナル公演“青春チャレンジツアー~ひろせの生まれた街でひろせのワガママを聞いてもらう日~”を東京・新宿BLAZEで開催した。「青春チャレンジツアー」は、フレンズの各メンバー(えみそん/Vo、ひろせひろせ/MC&Key、三浦太郎/Gt&Vo、長島涼平/Ba、関口塁/Dr)が青春を過ごした場所を巡る全5公演のツアー。ファイナル公演は、ひろせの地元・新宿で行われたのだが、代表曲を網羅したセットリスト、エンタテインメント性に富んだステージング、メンバーのキャラを活かした演出など、このバンドの多彩な魅力がたっぷりと感じられるライブとなった。

Photography_Ray Otabe
Text_Tomoyuki Mori

90年代J-POP~渋谷系に連なる高品質ポ
ップ

登場時のSEは「ようこそジャパリパークへ」(どうぶつビスケッツ×PPP)。「“青春チャレンジツアー”ファイナルin新宿へ、ようこそ!」(えみそん)「東京都渋谷区神泉から来ましたフレンズです!」(ひろせ)という挨拶に導かれたオープニングナンバーは、「パーティーしよう!」そして「夜にダンス」。いずれもヒップホップのテイストを取り入れたパーティー・チューンだ。フレンズのルーツにあるのは、90年代のJ-POPや渋谷系の音楽。メインソングライターのひろせはSexy ZoneA.B.C-Z真野恵里菜などに楽曲を提供する作家としても活躍していて、その高いポップセンスは折り紙付き。“ひろせが生み出す質の高いポップナンバーを卓越した演奏技術を持つメンバーが演奏する”というスタイルが、このバンドのベーシックな魅力なのだ。その中心にあるのは、えみそんのボーカル。シンガーソングライターとしても活動している彼女の歌は、華やかなポップネスから叙情的な表情まで、幅広い表現力を備えていている。
この日は、6月26日にリリースされたニューシングル収録曲「楽しもう」(篠原涼主演映画『今日も嫌がらせ弁当』の主題歌)、「iをyou」(ドラマ『きのう何食べた?』エンディングテーマ)も披露。2曲ともかなりリアクションが良く、既にファンの間で浸透していることが実感できた。この日のライブでは演奏されなかったが、「NO BITTER LIFE」(サッポロビール「ホワイトベルグ」TVCMソング)、「TITLE ROLE」(映画「ヌヌ子の聖☆戦〜HARAJUKU STORY〜」挿入歌)など、いわゆるタイアップソングも多いフレンズ。CMソング、映画の楽曲などのオファーが絶えないのも、このバンドの親しみやすさと音楽性の高さが幅広いフィールドで認知されているからだろう。

メンバーのキャラを活かした演出もたっ
ぷり

ライブ中盤では、ひろせの提案による“ベース・コーナー”も。これは長島涼平(Ba)、えみそん、ひろせがバックステージで「fisherman」のベースを順番に演奏し、“涼平さんが弾いているのはどれ?”を拍手の大きさで観客に当ててもらうという企画(えみそん、ひろせは以前のバンドでベースを弾いていました)。見事に長島が選ばれたものの、ひろせが「ここでサブタイトル(“ひろせの生まれた街でひろせのワガママを聞いてもらう日”)が効いてくるんですよ」とわがままを発揮、えみそんがベース、長島がボーカルを取るというレアな編成の「fisherman」が披露され、観客を楽しませた。
フレンズはライブのなかで寸劇(?)を行うことも多く、エンターテインメント性に富んだステージでも知られる。メンバーのキャラが際立っていて、全員が目立ち、主役を張れるのもこのバンドの特徴だ。

ブラックビスケッツの「タイミング~Timing~」(1998年)のカバーから始まった後半は、高揚感、多幸感に溢れた楽曲を次々と披露し、フロアをガッツリ盛り上げる。ハンズアップ、ハンドクラップ、コール&レスポンスを自然に織り交ぜながら、観客の体を揺らし、笑顔にするポジティブなパワーは、まさにこのバンドの真骨頂。ここまで純粋な“楽しさ”を生み出せるバンドは、本当に稀だと思う。音楽的なクオリティの高さと解放感に満ちたステージングを両立できている理由は、メンバー全員が豊富なキャリアを持っていること。えみそんは元・THEラブ人間でシンガーソングライターとしても活動。長島はthe telephones のメンバーとしても知られ、関口は元・The Mirraz 、三浦、ひろせも以前は違うバンドで活動していた。メンバーそれぞれがバンドで活動することの楽しさと難しさを熟知していて、そのうえで“誰もが楽しめるポップミュージック”を追求する――それこそが、フレンズの強みなのだ。これまでのキャリアに頼らずに、リーダーの長島を中心にライブハウスのブッキングライブ、イベントの小さいステージから少しずつ“フレンズとしてのキャリア”を積み上げてきたことも記しておきたい。

フレンズの原点はMISIAの「Everything
」(?)

アンコールの1曲目は「Everything」(MISIA)のカバー。じつはこの曲、えみそんがカラオケで歌っているのをひろせが聴き、「その歌が震えるほどすごくて、その場で“一緒に曲を作ろうよ”と言ったんですよ」という思い出のナンバーだ。ラストはフレンズの代表曲であり、バンド結成のきっかけとなった「ベッドサイドミュージック」。しなやかで心地いいバンドサウンド、切なさと愛らしさを共存させたメロディがゆったりと広がるなか、ライブは終了した。
 フレンズはこの後、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」 などのフェスに出演。11月からは秋冬ワンマンツアー「シチュエーション・コメディーseason4」を全国6か所で開催する(ファイナルは2020年1月12日の東京・ LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)公演)。2018年12月にはTOKYO DOME CITY HALL 公演を成功させるなど、ライブの規模も確実に大きくなっているが、以前から公言しているように、5人の目標は東京ドーム。老若男女を魅了するフレンズの存在は、さらなるスケールアップを果たすことになるだろう。
M1 パーティーしよう!
M2 夜にダンス
M3 楽しもう
M4 iをyou
M5 地球を越えても
M6 Hello New Me!
M7 常夏ヴァカンス
M8 夏のSAYにしてゴメンネ♡
M9 NIGHT TOWN
M10 夜明けのメモリー
M11 元気D.C.T 〜プロローグ〜
M12 fisherman
M13 タイミング~Timing~ フレンズcover ver.
M14 塩と砂糖
M15 ビビビ
M16 Love,ya!

EN
M1 Everything / MISIA
M2 ベッドサイドミュージック


フレンズ オフィシャルサイト
フレンズ twitter

質の高いポップスを純粋に楽しむフレンズの魅力。青春チャレンジツアーで思い出の土地を巡るはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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