BRADIO 47都道府県ファンキー修行の
旅、中間地点の東京で見た“パーティ
ーの向こう側”

IVVII Funky tour

2019.7.3 東京 EX THEATER ROPPONGI
バンドマンならば一度は歩いてみたい、ロックのお遍路と言われる47都道府県ツアーへとBRADIOが旅立ったのは5月1日のこと。その後は各会場で熱狂的ファンキーパーティーピーポーの大歓迎という御朱印を頂きながら旅は進み、いよいよ今日はその折り返し、第24番札所こと24公演目の東京・EX THEATER ROPPONGIだ。結願の日へ向けて突き進むファンキー修行の中間試験、その結果やいかに?
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
「お待たせしました! 今夜は一人残らず、パーティーの向こう側へ連れていってやるぜ!」
20時10分、ツーマンライブの本日のパートナー・SPECIAL OTHERSがいい感じにあっためたステージにBRADIOが登場し、真行寺貴秋(Vo)が声高らかにライブの開幕を告げる。七色に輝くライト、ズンズン迫りくる重低音、キレッキレのカッティング、両手フリフリで迎えるオーディエンスでフロアはそりゃもう大騒ぎだ。なんたって凄いのはサポートドラムのヤスのマシンのごとく正確でタイトなプレイと、大山聡一(G)の鬼カッティング。酒井亮輔(B)はほぼ不動の姿勢でリズムの仁王と化し、貴秋は歌ったり叫んだり煽ったり踊ったりでとにかく忙しい。惜しげもなく強烈なファンキー爆弾を次々と投下する、ライブは序盤からオーバーヒート状態だ。
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
「このツアーは土地土地で毎回違うセットリストを組んでます。今夜は東京のみなさまのことを思い浮かべながら考えてきました」
ライブは47か所49公演だが、オーディエンスは一期一会。2019年7月3日の東京のライブは今日このメンバーでしか作れないと、当たり前のことを奇跡だと思いやり続けるのが本物のバンドマン。「Flyers」の、めちゃめちゃタイトな16ビートに乗って盛大なクラップが巻き起こり、大山がお立ち台に飛び乗って入魂のソロを弾きまくる。貴秋が伸びやかなファルセットを決め、手をヒラヒラさせて主役を盛り上げる。なんと言うか、ここにはつまり愛がある。
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
中盤にはせつなくメロウな曲、ミラーボールな曲、大山がダンサーと化すディスコティックな曲など連ねてぐんぐん突っ走る。この日の大山のテンションの高さは尋常レベルではなく、MCでヘリウムガスを仕込んできたり(息が上がりすぎて失敗)、うたのおにいさんかと思うほどノリノリで振付け指導したり。卓越したファンキー・ギタリストであることに飽き足らず、パフォーマーとしての魅力を開花させている大山恐るべし。ツアーが終わる頃には一体どんなエンターテイナーになっているんだろう。
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
ツアー直前にリリースされた「O・TE・A・GE・DA!」は、80's的なポップネスと軽み、ストイックでタイトなビート、窮地からの大逆転を狙うポジティブなリリックがライブでこそよく映える。フロアは“お手上げポーズ”で大フィーバー、貴秋の声はどこまでもしなやかで力強い。珍しく社会性を帯びた鋭いメッセージを放つ「バクテリアch」の、熱風のような高速ビートに乗って大山が情熱的なソロを決める。こうした抜けのいいロックンロールもBRADIOの得意技の一つ。七色のライトに照らされて、踊っている後頭部しか見えないがフロアは全員笑顔のはずだ。時間の経つのが異様に速い。
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
「この旅を盛り上げてくれてるチームBRADIOに愛と感謝を。そして会いに来てくれたみんなに愛と感謝を」
会場で配られたこのツアーの告知フライヤーには、メンバーのメッセージと共にマネージャーから音響担当まで含めた“チームBRADIO”の面々が顔写真入りで紹介されている。長年バンドシーンを見てきたが、そんなことをしたバンドを他に知らない。素晴らしきかなチームBRADIO。「みんなの日常に寄り添える曲を」と言って歌ったミッドバラード「帰り道のBlues」の、一人一人にそっと語り掛けるような貴秋の親密な歌がひときわ胸に沁みる。明るく華やかに非日常的にショーアップされたライブを作るのは、働く人々の普通の生活。BRADIOに関わる全ての人々に愛と感謝を。

BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ
「音楽って素晴らしい。ありがとう!」
貴秋が満面の笑みで手を振る。酒井がセトリを畳んで紙ヒコーキを折り、思い切り宙へと投げ上げる。今日も満員のオーディエンスの歓声と愛を受け取って、バンドは次の街へと向かう。初めての経験ゆえツアー中間地点でひょっとしてバテてるんじゃないか?という心配は杞憂だった。強力なパワーを受け取りながら進んで行く旅は、昨日より今日、今日より明日のほうが調子いいに決まってる。結願の地・9月26日新潟のステージに立つメンバーはどれだけたくましくなっているんだろう。日々是成長のファンキー修行の旅、どこかでまた見なくては。
取材・文=宮本英夫 撮影=ヤマダマサヒロ
BRADIO 撮影=ヤマダマサヒロ

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