椎名林檎、ユーミン、ドリカム 歌姫
の名曲を歌いこなすKaya(カヤ)とは

ビジュアル系シンガーのKaya(カヤ)が、6月23日に初のカバーアルバム『DRESS』をリリースした。この名前に聞き覚えのない人もいるかもしれないが、実はKayaはデビューから15年近く走り続けている、V系シーンのトップランナーだ。実際、今回のカバーアルバムにはPENICILLINの千聖、MALICE MIZERのköziらに加え、アーバンギャルドのおおくぼけい、チャラン・ポ・ランタンの小春など、Kayaと親交の深いアーティストが多数参加している。そんな、唯一無二の存在感を放つ歌姫・Kayaと、カバーアルバム『DRESS』を紐解いてみよう。

海外公演も盛況! V系シーンで放つ唯
一の存在感

Kayaは2002年、ユニットSchwarz Stein(シュヴァルツ・シュタイン)のボーカルとしてシーンに登場した。Schwarz SteinをプロデュースしていたのはMALICE MIZERのメンバー・Mana。MALICE MIZERはV系ブームの頃、「ヴィジュアル系四天王」として名を馳せ、かつてはGacktも在籍したグループだ。

Schwarz Steinは「近未来デジタルデカダンス」と銘打ち、打ち込みだけのトランスサウンドで耽美やデカダンスの世界観を表現。2004年の解体(解散)まで走り抜けた。

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FancyHIM!楽しかった! #FancyHIM #あえてのCarmilla #やりちぎったよ

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Kayaはその後、2006年にソロシンガーとして活動を再開。妖艶なドレスに身を包み、ステージで歌うその姿は、多くの人に衝撃を与えることになった。バンドサウンドが主流のビジュアル系の中でクラブサウンドを軸にしており、活動初期はなかなかそのコンセプトが伝わらず苦労したと別のインタビューでも語っている。だが、長く活動を続ける中で唯一無二の存在感は輝きを増していき、日本のみならずアメリカ、ヨーロッパなど世界中で公演を開催するまでになった。こうした活動を通じてV系シーンの中からもKayaに魅了されるアーティストが増えていき、それが『DRESS』の多彩な客演にも繋がるのだが、それは後述しよう。

性別の枠に留まらない「女方シンガー」

Kayaの魅力を語る上では、「女方(おやま・おんながた)シンガー」を自称していることにまず触れないといけないだろう。「女方」とは、歌舞伎の世界で若い女性を演じる役者のことで、現在では「男が女を演じる」という意味で使われることも多い。だが、女方という言葉には「現実の女性を真似するのではなく、緻密に作り上げられ、理想化された女性の姿を表現する」という意味もあるという。ただ男性が女性を演じるというだけではなく、どこかこの世のものではないようなただならぬ魅力をたたえてこそ「女方」となるのだ。
Kaya – FABULOUS (Official Music Video)

Kayaは歌姫を自称しながらも、周囲からは「彼」と呼ばれているという。性のグラデーションの中を自由自在に泳ぐ彼は、まさに現実の女性の模倣に留まらない。細部まで作り込まれたMVやライブのステージを見れば、そのことを実感できるはずだ。

一方で、Kayaはそうした幽玄 なパフォーマーとしての存在だけではなく、マネジメントなども自ら 手がけるクリエイターとしての一面も備わっている。デビュー当初は事務所に所属 せず自らマネジメントを行っていたほか、今回の『DRESS』も、製作にはクラウドファンディングを実施。150万円をゴールに掲げたこのプロジェクトはわずか3時間で目標達成し、最終的には達成度298%と、450万円近い支援を集めた。

クラウドファンディングの際には、Kaya自身が「歌姫」というコンセプトを提示し、その上でファンからのリクエストも募った。彼のクリエイティビティと、その世界観に魅了されたファンによって『DRESS』はできあがったのだ。

黒夢、PENICILLIN、アーバンギャルドら
の客演が豪華な『DRESS』

Kaya New Album “DRESS” 全曲ダイジェスト

『DRESS』に収録されているのは、12人の「歌姫」の珠玉の名曲の数々。松任谷由実、中森明菜、椎名林檎鬼束ちひろCocco……存在感ある歌姫の楽曲を、まさにドレスを着替えるように歌いこなしていく。

アルバムの冒頭を飾るのは、松任谷由実の「リフレインが叫んでる」。プログラミングによって再構築されたトラックの上を、Kayaの伸びやかな歌声が踊る。アルバムの序盤はプログラミングのダンストラックが続くが、流れをがらっと変えるのは櫻井有紀Raphael、rice)がアレンジとコーラスで参加したDREAMS COME TRUE「やさしいキスをして」。アカペラ調に生まれ変わった大胆なアレンジで、ビートがないぶんKayaの歌声を堪能できる。深いリバーブがかかったKayaの歌声と美しいコーラスは、どこかレクイエムのような悲しみも讃えている。

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今夜のメイク、お気に入りなの。 I'm Queen Leech. #SchwarzStein

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客演の豪華さに目を奪われるのは、アルバム中盤に配置された椎名林檎「罪と罰」とCocco「カウントダウン」の2曲。「罪と罰」は、PENICILLINやCrackで活躍する千聖がギター、黒夢の人時がベース、La’cryma ChristiのLEVINがドラム、hide with Spread BeaverおよびRa:INのDIEが キーボードで参加。「カウントダウン」はギターが元FANATIC◆CRISIS、THE MICRO HEAD 4N’SのSHUN.、他は「罪と罰」同様の3人が参加している。耽美かつノイジーな演奏に、Kayaの歌唱もこのアルバム随一の激情で応える。『DRESS』の中のハイライトの一つとも言えるだろう。

また、V系シーン以外からも豪華なメンバーが参加しているところも聴きどころ。鈴木結女の「それでも明日はやってくる」にはアーバンギャルドのおおくぼけいがピアノで参加し、エディット・ピアフ(美輪明宏訳詞)の「愛の讃歌」にはチャラン・ポ・ランタンの小春がアコーディオンで参加している。
Kaya – 愛の讃歌(Official Music Video)

シャンソン歌手として年に数回、シャンソンライブも行っているKaya。「愛の讃歌」も、過去にライブで何度 も披露 されているスタンダードだ。Kayaが自身に深く影響を与えた歌姫たちの楽曲を歌った『DRESS』のクライマックスを飾るこの曲は、音楽への愛、歌うことへの愛を堂々と宣言しているようにも聞こえるはずだ。

この他にも、鬼束ちひろ「Cage」や中島みゆき「誕生」など、昭和・平成の時代を彩った楽曲が多数収録されているKayaの『DRESS』。 全編を通して、Kayaの歌唱力と耽美な世界観は徹底していながらも、選ばれている曲の多くが有名な楽曲なので、初めて聴く人でもとても聴きやすいアルバムになっている。まずは自分の好きな歌姫や参加アーティストの曲から聴くのもいいだろう。全曲聴き終わる頃には、Kayaの魅力にどっぷり浸かっているはずだ。

リリース情報

Kayaカバーアルバム『DRESS』
2019年6月23日(日)発売
*ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信。
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music

「DRESS」音楽配信サイト / 定額制音楽ストリーミング配信サービスURL一覧
https://jvcmusic.lnk.to/Kaya_Dress

「愛の讃歌」ミュージックビデオ
https://youtu.be/ek70hf_KzDA

<収録曲> 1.リフレインが叫んでる 2.異邦人 3.ミ・アモーレ(Meu amor e…) 4.背徳のシナリオ 5.やさしいキスをして 6.それでも明日はやってくる 7.Cage 8.罪と罰 9.カウントダウン 10.鮫 11.誕生 12.愛の讃歌

<参加ミュージシャン> DIE(hide with Spread Beaver/Ra:IN) 人時(黒夢) közi(MALICE MIZER/ZIZ) 千聖(PENICILLIN/Crack6) LEVIN(La’cryma Christi) SHUN.(exFANATIC◆CRISIS/THE MICRO HEAD 4N’S) 櫻井有紀(Raphael/rice) Ruiza(D) seek(Psycho le Cému/MIMIZUQ) YAMATO(UCHUSENTAI:NOIZ) ヒカリト(AIORIN) おおくぼけい(アーバンギャルド) 小春(チャラン・ポ・ランタン) 友納真緒 須藤千春 篤人(eStrial) 田浪真悟(Z’s) 鴇田望 坂井崇人(from新潟) 平岡健一(from札幌) ik

ライブ / イベント

インストアイベント
6月27日(木)19:00〜 タワーレコード池袋店 ミニライヴ+2shot撮影会
6月30日(日)15:00〜 HMV大宮アルシェ店 ミニライヴ+2shot撮影会
7月13日(土)12:00〜 タワーレコード札幌ピヴォ店 ミニライヴ+2shot撮影会
7月27日(土)13:00〜 タワーレコード福岡パルコ店 ミニライヴ+2shot撮影会

発売記念TOUR
6月21日(金)徳島Cafe&Barコティ
6月23日(日)高田馬場AREA
7月13日(土)札幌STINGRAY&SUSKINO810(昼夜公演)
7月26日(金)福岡music bar S.O.Ra.
7月27日(土)福岡graf

Kayaプロフィール

性別やジャンルの壁を、歌とドレスであざやかに飛び越えるソロシンガー。
2002年、MALICE MIZERのManaのプロデュースによりユニット『Schwarz Stein』ボーカルとして活動を開始。
2006年よりソロを開始、2008年シングル「ショコラ」でメジャーデビュー。耽美な歌詞とダンスミュージックを融合させた楽曲で独自の世界観を確立、アメリカ、南米、ヨーロッパなど海外公演も多数開催。 テレビ出演や、FM徳島第二木曜日レギュラーパーソナリティーなど活動の幅を広げている。シャンソン歌手としても活動。プロデューサーを務める『新春シャンソンショウ』は個性的な歌手を毎年ゲストに迎え開催、人気を博している。

Kaya got his start in 2002 as the vocalist for Schwarz Stein, a musical group produced by Mana of MALICE MIZER and Moi dix Mois fame. His 2008 single “Chocolat” marks his major debut. Kaya is a solo vocalist whose unique aesthetic encompasses both his extraordinary good looks and alluring voice that you’ll never forget once you’ve heard it. With songs that fuse dance music with artistic lyrics and a worldview all his own, Kaya delights audiences all over the world, including America, South America, and Europe.

Official website
https://kaya-rose.com/
Twitter(インフォメーション)
https://twitter.com/kaya_info_news
Twitter(Kaya)
https://twitter.com/Kaya_rose
Instagram
https://www.instagram.com/kaya_official_account/

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ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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