首振りDolls  オフィシャルインタビ
ュー:プロデューサー・戸城憲夫を迎
えてニューアルバム『アリス』を探る

5月22日に待望のニューアルバム『アリス』をリリースし、現在全国ツアー中の首振りDolls。ベーシスト・ショーン・ホラーショーを迎え、新体制初のアルバムと全国ツアーは観るものを魅了して止まない。マンスリーインタビュー第5弾では、プロデューサー・戸城憲夫をゲストに迎え、完全に生まれ変わり進化を遂げた『アリス』が出来上がるまでを語ってもらった。
――5月22日にリリースされたアルバム『アリス』を引っさげ、現在全国ツアー中の首振りDollsですが、今回はプロデューサーの戸城憲夫氏を迎えて、『アリス』が出来上がるまでをじっくり語って頂こうと思ってます。このアルバムツアーの中では、THE SLUT BANKS(戸城憲夫率いるロックバンド)との対バンもありましたが。
戸城:首振り(首振りDolls)とのツアーはやってて楽しいね。
ナオ:嬉しいです! それは私たちも同じで、本当にいつも楽しく過ごさせてもらってます! ずっとお酒飲んでますもんね(笑)。
戸城:そうそうそう(笑)。入りから既に飲んでる(笑)。
――本番前に眠くなってたじゃないですか、戸城さん(笑)。
戸城:そう(笑)、いつものことなんだよ。もう本番前に既に出来上がってる(笑)。ロックンローラーはそうでなくちゃ! で、今日何喋んの?
ナオ:『現在の首振りDollsと『アリス』について』です! プロデューサー! よろしくお願いします!
ジョニー&ショーン:よろしくお願いします!
戸城:いやいやいや(笑)。で、何?
――あははは。現体制の首振りDollsはプロデューサーから見て如何ですか?
戸城:すげぇ良くなったよね。俺としては、首振りDollsにはラリー・グラハム以前のバンドの音をやって欲しいから、スラップとか必要ねぇのかなって思ってたんだけど、ショーンのベース聴いたら、それが個性になるならいいなって思ったっていう。
――戸城さんはショーンとナオとジョニーが初めて音を合わせたスタジオの瞬間から立ち合っていらっしゃいましたからね。音を出す前は、たしかに“首振りDollsの音にスラップは要らない! 首振りDollsにベースヒーローは必要ない!”っておっしゃっていらして。
戸城:そうそう。でも実際に音出してみたらすげぇ良くてね。すごく相性が良くて。
ショーン:ありがとうございます! 嬉しいです!
――スタジオに入る前に“首振りDollsの音にスラップは要らない! 首振りDollsにベースヒーローは必要ない!”って戸城さんがおっしゃったとき、ショーンは初の音合わせもあったし、すごく不安だったと思いますからね。
ショーン:正直不安でしたね。
戸城:でも、そもそも俺がどうこう言う問題じゃないんだけどね(笑)。
ナオ:いやいやいや、プロデューサーですから! 戸城さんの助言は本当にさすがだなって思うことばかりで。自分たちだけじゃ気付けないところがいっぱいあるし、やってみて“なるほど!”って納得することばかりなんで、すごく毎回勉強させてもらってますから。
戸城:でも、実際にスタジオで音出したとき、本当に相性良かったもんな。
――最初に「ニセモノ」を合わせた瞬間、全員がハッとした感じの笑顔になりましたからね。
ナオ:戸城さんが一番はしゃいでた気がする(笑)。“首振りDollsの音にスラップは要らない!”って言ってたのに、“もっとやっちゃえよ!”ってノリノリで(笑)。
――小さなシュークリーム頬張りながらね(笑)。
戸城:あははは。いや、ホントにしっくりきたっていう感じだったね。
ナオ:前のベースが抜けるって話になったとき、すぐに見つからなかったら、戸城さんが首振りDollsのベース説っていうのもあったんですよね(笑)。
ジョニー:あったあった! 戸城憲夫・首振りDollsベース説!
戸城:まぁ悪かねぇけど、でも、汚ねぇツアーは絶対ヤダって言ったからね(笑)。
――汚いツアー?
戸城:そう。だって、コイツらインディーズの頃、宿も決めないでツアーしてたからね! ちゃんと計画してツアーやってくれよと(笑)。
ジョニー:あははは。そうですそうです(笑)。それぞれにネカフェに泊まってましたからね(笑)。
ナオ:そうそう(笑)。結局打ち上げとかしてたら朝になっちゃったりするから、ネカフェでいっか、みたいな(笑)。今はちゃんとお宿を取って泊まってますから汚くはないです(笑)。
――あははは。でも、ショーンが加わって新体制になってから、本当にいろんな環境が変わったからね。
ナオ:本当にそうですね。何もかもが新しくなってる。
ジョニー:いろんなところのインタビューでも言ってるけど、同じバンド名だけど、本当に新しいバンドだと思ってるから。
ナオ(Dr,Vo)
――今作『アリス』は、戸城さんから、“アリス・クーパーみたいな音像のミックスにしよう”という提案があったと聞いていますが。
戸城:そう。さっき言った、ラリー・グラハム以前のバンドの音をやって欲しいというのもそうなんだけど、俺はアリス・クーパーみたいになって欲しいなって思っているから。希望としてはね。俺が首振りDollsをそういう方向性に持っていきたいということじゃなく、首振りDollsは派手に化粧をしているし、今までのアングラな魅せ方のイメージもあって、俗に言うV系というカテゴリーに括られてしまいがちなんだけど、やってる音楽性は決してそっちのルーツの音ではないオールドロックやロックンロールやパンクを基盤とした音だし、サウンド面もそこにカテゴライズされるものではないからね。
――そうですね。そこをちゃんと説得力のある音で証明したいというところですよね。
戸城:そうそう。
――戸城さん、そういえば、音をちゃんとイメージで伝えていけるように、新しい衣装の打ち合わせのときも、“ギラギラのジャンプスーツ着ろ!”っておっしゃってましたもんね(笑)。
ジョニー:言われた(笑)!
戸城:そう。ギッラギラのね(笑)。
ナオ:ジョニーならいける気がする! って話になってたんだけどね(笑)。
――いけるのかなぁ(笑)。でも、最近のライブで披露する“ミックジャガーダンス”を見ていると、いけそうな気もするけどね(笑)。ところで、戸城さんが最初に『アリス』の14曲を聴いた感想はどんな感じでした?
戸城:最初デモで聴いたときは、おいおい、なんかちょっと地味じゃねぇかな? って言ったんだよね。
ナオ:最初に戸城さんに送ったのは「ティーネイジ」と「ティーンネイジャーアンドロックンロール」が入っていない12曲やったかな?
戸城:そうそうそう。「ティーネイジ」はインディーズのアルバムに入ってた曲だったんだけど、派手さが欲しいから今回再録で入れなよって言って。
ジョニー:そうでしたね。会議とかじゃなくてただの飲み会のときに(笑)。
戸城:そうそうそう。それとは別に、もう1曲くらいアッパーな曲があったほうがいいよって言ったら、“必殺の曲があるんですよ!”ってすげぇ自信満々に言うからさ。
ジョニー:え!? そんなこと言いましたっけ(笑)。
ナオ:言ってた言ってた(笑)。
ジョニー:完全に酔っ払ってたな(笑)。
ナオ:それで持ってきたのが「ティーンネイジャーアンドロックンロール」。
戸城:でも、その段階では、歌も入ってないカラオケ状態だったら、正直、え? これ要らなくね? って言う感じの曲だったわけよ。で、これなら要らないよって言ったんだけど、ジョニーがどうしても入れるって言うから、じゃあどうぞって(笑)。
ジョニー:じゃあ遠慮なく入れさせて頂きます! って、入れさせてもらったんですよね(笑)。
戸城:そう。でもな、今や「ティーンネイジャーアンドロックンロール」はツアーで定番の曲となって、さらにはアンセムになってるっていう。分からないもんですねぇ〜っていうね。
――ライブでは大合唱が起こってますからね。
ナオ:みんな3コード好きなんやね。
――そうね、ロックンロールの基本形でもあるからね。
戸城:そうそう。王道のロックンロールというかね。もうちょっと頭使って作った方がいいんじゃねぇの? って思ったというか(笑)。カラオケの段階では本当にそう思ったからね(笑)。
ジョニー:あははは。結局、頭使わないまま完成したんですよ(笑)。
――でも、頭使わないくらいの方がいいんじゃないかなってとこもありますもんね。
戸城:そうそう。もちろん、一番大事なのは頭使わないことだからね。優等生が出来ないのがロックンロールだからね。
ジョニー:あ、それ素晴らしい! 本当にそうです!
――たしかに、今、IQ高いロックが主流だったりしますからね。
戸城:今みんな真面目過ぎるからな。
ジョニー・ダイアモンド(Gt,Vo)
――戸城さん的にはショーンが入ってからの首振りDollsをどう感じていますか? 全体のグルーヴはもちろん、「PSYCHO CLUB」「ホール」などのショーン作曲曲や、ナオとショーンの共作でもある「黒い太陽」は、本当に新しい風を首振りDollsに与えたと思いますが。
戸城:すごく新しい試みだと思うし、本当にすごくいいと思うよ。
ナオ:いままでになかったからね。
ショーン:おぉ。嬉しいです!
――戸城さんが首振りDollsに望む音とはまた違っていたりするとも思いますけど。そこは?
戸城:いやいや、そこは時代時代に合わせて変わっていけばいいことだからさ。
ジョニー:アリス・クーパーだって流行りの感じでやってましたもんね。
戸城:うん。ただ、一応今回の『アリス』は、バンド以外の余計な音は入れないようにして作ろうっていうコンセプトにはしたかったからね。1枚目の『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』のときは、いろんな音を入れて、いろいろとやり過ぎちゃったのもあったから、それはそれで面白くない部分もあったかなってちょっと反省もあってね。
――反省したんですか(笑)!?反省しないで下さいよ(笑)、『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』は『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』で、素敵な1枚だったと思いますよ。
戸城:まぁね、否定はしないよ。『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』も、あれはあれで良いと思うからね。あのときは自分のアルバムもそうだったんだけど、今回は自分ブームが、男らしく何も入れない! ってとこでもあったからね。
ナオ:でも、今回のレコーディングのときも、一番他の音を入れたがってたのは戸城さんでしたけどね(笑)! 「シャボン玉」とかもそうでしたもんね。
戸城:そうだな。自分の中でどうしてもバンド以外の音が聴こえてきちゃうんだよ、ストリングスとかが。俺は、オアシスとかビートルズとか中期以降が大好物だから。ジョニーの作った曲とか、兄ちゃんギャラガー(ノエル・ギャラガー)みたいなギターソロ弾くからさ。
ジョニー:うぉ〜! それ最高な褒め言葉っすね!
――「星くずのメロディ」ですね!
戸城:そそそ。だからもうなんか頭の中で鳴っちゃうんだよ、こういうやつ(フィドルを弾く真似)がさ。
ジョニー:うんうん! 聴こえる人には聴こえるでしょうね(笑)。
戸城:そうそう。聴く人各々が脳内アレンジして下さいって感じだよな。
――いいですね。またそれはいつかライブで再現したらいいですもんね。
戸城:オーケストラ従えて!?すげぇ金かかるぞ!
ジョニー:戸城さんやったことありますか?
戸城:あるわけねぇだろ(笑)!
ナオ:ないんですか?
ジョニー:やってそうなのに!
戸城:そんなお金のかかることレコード会社がやらせてくれるわけないじゃん! だから、もうそこは聴く人たち各自の脳内アレンジで聴いてもらえたらいいなと(笑)。
ジョニー:そしたらお金かかりませんからね(笑)。
――そうだね(笑)。ショーンは戸城さんと一緒にやってみてどうだった?
ショーン:すごく緊張しましたよ!
――特に戸城さんがベーシストだしね。
ショーン:はい。それもあって、すごく細かく見られるんだろなぁっていう緊張感もありましたね、やっぱり。
戸城:いやいやいや、俺、自分がベーシストだなんて思ったことないし、人からもベーシストだって言われたことないからね(笑)。ベースなんか別に興味ないし。
ジョニー:じゃあ何!? ロックンローラー!?
ナオ:そうそうそう! 昨日も一緒に飲んでたんだけど、そのときの話の中に、“悔いのないミュージックライフを”っていう言葉が何回も出てきてたんですけど、その言葉と“第二の人生”って言葉を受けて私が“戸城さんの第二のミュージックライフを”って言ったら、“いや、ナオ、そこはロックンロールライフにしてくれ!”って言い直されて(笑)。あぁ、戸城さんはロックンローラーなんだなって改めて思ったんですよね。
ジョニー:やっぱカッコイイすね!
ショーン:カッコイイです! プロデューサーとしてももちろんなんですけど、でも、やっぱりベーシストとしてもすごく的確なアドバイスを頂いたりもしたんです。「シャボン玉」のベースのリフは戸城さんからヒントをもらったんです。
ショーン・ホラーショー(Ba)
――「シャボン玉」も新しい首振りDollsを感じる1曲だからね。
ナオ:そう。ミドルでね。
戸城:うん。アルバムとしては、最初聴いたときは地味だと思ったけど、結果すごくいいバランスになったよな。『BURRN!』のレビューも95点だったしな!
一同:そうなんですよ!
ナオ:アルバム的には全体的に余白を残した状態で仕上がった感じがするんですよ。ギター2本で埋めてはいるけど、今、戸城さんが言ったみたいに脳内再生して欲しいという余白を持たせたアルバムだから、それが評価されたのかなと。
戸城:それで良かったんだよ。いろんなものを入れて変にギターをデジタルにしたりしたりするよりは、今回くらいの方がいいんじゃないかって思ったね。
――そうですね。それに、今回ショーン曲が加わったことによって、従来の基盤となっていた「唐紅」や「地獄に堕ちた野郎ども」とかみたいな王道のロックンロールが、また今までとは違った意味で際立ったなとも思ったかな。
ショーン:たしかにそうかもですね。
ナオ:うん。グルーヴィになったから、そういう印象になったんだと思う。
戸城:前回はダブルで音を撮ったりしたりしたけど、今回はそういうのもないしさ。
ジョニー:今回ダブルはほとんどないですね。
戸城:それもあって、個々の音がちゃんと聴こえるから、ロックンロール的な楽曲はより個性が際立って聴こえるんじゃねぇかなって思う。
ナオ:生々しいというかね。
――「地獄に堕ちた野郎ども」は本来首振りDollsが持っていたロックンロールだけど、ショーンのスラップによっていままでにはない首振りのロックンロールが出来上がったなと。
ジョニー:そう。よくもあんなフレーズを持って来てくれましたよ。
ナオ:持って来たというより、曲を作ってる段階で“ベースめちゃくちゃ動いて”って言ったら、もう最初からあのフレーズで弾いてたもんね。
ジョニー:うんうん、そうだったね。
ショーン:手癖です(笑)。
ナオ:一発目からすごくいい感じで入れてくれたから、もうそれで行こう! みたいな感じになって、本当に話が早かった。
――アルバムとしての流れも良いよね。「星くずのメロディ」「ティーンネイジャーアンドロックンロール」という終わり方もすごく良くて。「星くずのメロディ」でキュンとするというか。
戸城:分かる分かる。いい流れだよな。「星くずのメロディ」本当にいい曲なんだけど、作ったの、コイツだぜ(ジョニーを指さして)。
一同:(爆笑)
ジョニー:あははは。いやいや、実はこういう曲調得意なんですよ!
――ジョニーを知れば知るほどに、この曲はジョニーらしいなと。
ジョニー:そう。めっちゃ俺らしい。
ナオ:寅次郎(『男はつらいよ』)を感じるよね(笑)。
――そうね。あとサポートギターのRakuカワサキ曲のダーク目な数え歌「産声」も新しくて。いい曲だよね。
戸城:うん、「産声」いい曲だよな。なかなか首振りには珍しかったんじゃない?
――ですね。でも、最初聴いたとき、カワサキ曲だと思わないくらい歌詞も首振りDollsの今を描いている気がして。
ナオ:うん。すごくマッチしてたよね。すごくいい曲だから入れたかったんだよね。
戸城:うん、いい曲だと思ったね。
ナオ:戸城さんお気に入りとかないですか? もっと褒めて下さい(笑)!
戸城:“やいのやいの”ってなんだっけ?
一同:「カラリカラマワリ」です!
戸城:あ、そうそう、それ! あれいい曲だよな。すごい盛り上がるんじゃない? 俺ね、正直、「カラリカラマワリ」をリード曲にするかな? と思ってたんだよ。この曲でMV作るかな? って。すごくいいと思う。
――あ、私も最初に聴いたとき、「カラリカラマワリ」で行くかもな、って思ったんですよ。すごくキャッチーですよね。
戸城:そう。「カラリカラマワリ」の方がインパクトがあるというか。
――戸城プロデューサー、「カラリカラマワリ」は、どういうところがいいと?
戸城:ホント、キャッチー、キャッチー、キャッチー。
――プロデューサー! ちゃんと答えて下さい(笑)!
ナオ:いや、今日戸城さん、めちゃくちゃ真面目に答えてくれていて、こんな戸城さん見るの初めてなんですよ! 地獄ヘルズ(ナオとジョニーが参加している戸城率いるセッションバンド)のインタビューのときも、とにかくインタビュアーさんを適当に躱すんですよ! “よく分かんないな。適当に良い感じに書いといてよ”とかって(笑)。
ショーン:あ、増田さん(音楽ライターの増田勇一氏)も言ってました、それ! めちゃくちゃ躱すって(笑)。
ナオ:そういう先輩を間近で見ているから、“ほぉ。ロックンローラーってこうやって躱すんや! カッコイイ!”って思ってたという。
戸城:あははは。そう。ロックンローラーはあんまり真剣に話しちゃダメなんだよ(笑)。適当にやるのが良いんだよ。こういう場でやるのは。適当に躱すのが一番。
ジョニー:ほぉ。そういうことかぁ! 見習おう!
――いや、まだ見習うの早いから!
戸城:いいんだよいいだよ、最初からそれでいいの(笑)。だからこそロックンローラーなんだから。
ナオ:昔話題になった記者会見みたいに“別に”って言ってたらいいんですかね(笑)?
戸城:感じ悪くするのとは違うからね。“普通で〜す”って言うのが一番いいと思います(笑)。何を聞かれても、だいたい“普通で〜す”って答えておいたらいいんだよ。それが一番(笑)。
ジョニー:なるほど!
ナオ&ショーン:なるほど!
――いやいや、プロデューサー、変なこと教えないで下さいよ(笑)。
戸城:いいのいいの〜(笑)。
ナオ:でも、今日は違って、ちゃんと答えてくれてるから、私、今、隣で聞いていて、ずっと愛を感じてます!
戸城:そうそう、自分のバンドのインタビューじゃないからな、ちょっとちゃんとしようかなと思って(笑)。
――と言いながらも、ビーフジャーキー囓りながらビール飲んでますけどね、今も(笑)。
ジョニー:カッコイイ! ロックンローラーや(絶賛)!
ナオ:こうでなくちゃね!
――クロマニヨンズのインタビューもそうですけど、音以外のいい話いっぱいしてくれるんですけど、本当に音の話してくれないですからね(笑)。
戸城:まぁ、照れてるんだろうな。うん、まぁ、その気持ち分かるな。でも、人の曲なら褒めれる(笑)。「カラリカラマワリ」は、曲もいいし、歌詞もすごくキャッチーでいいよ。本当に。
――分かりやすさがありますよね。掴みやすいというか。
戸城:そう! 掴みやすいんだよ。「カラリカラマワリ」は真のロック好きも好きだと思うけど、一般そうというか、幅広い層が分かりやすく好きになれる曲だと思うからね。うん、俺も「カラリカラマワリ」で行く気がするな。MV作らないの?
ジョニー:ジョニー・ダイヤモンドが作ろうかなと思っております!
ショーン:ダイヤモンド監督が!
ジョニー:頑張ります!
戸城:よろしくお願します!
ジョニー:はい。やってみます(笑)!
ナオ:「カラリカラマワリ」は、私らしいところを出したつもりなんですけどね。最初はサビのメロディが全然違って、もっと歌謡曲っぽかった。もっと歌い上げる系で、作っていたときの前向きな気持ちが歌詞として乗っていたんだけど、作ってる最中にその気持ちが変化することが起こって、そのまま前向きな気持ちを歌う感じにはなれなかったから書き直したの。
ショーン:だいぶ最初と変わりましたよね。
ジョニー:変わったね。でも、今回のアルバムは「カラリカラマワリ」以外にも、最初に持って来たデモから大きく変わった曲が多いかもね。「産声」とかは全く変わってないけどね。Rakuカワサキの信念がこもってるから、そこは変えられないというかね。
ショーン:僕の曲もほぼほぼまんまですね。「PSYCHO CLUB」とかもほぼまんまですけど、ちょっと打ち込み要素がなくなったというか、ギターで弾いてもらったとこくらいかな、変わったところは。
ジョニー:ショーン曲の「ホール」のイントロはちょっと変わったか。「ホール」のイントロはカワサキが考えてたもんね。
ショーン:そうでしたね!
――エンジニアのKENさんは「INU」を気に入っていらっしゃいましたね。
戸城:あ、そうなんだ!
――特に、歌い方にはすごくこだわりがあったみたいで、レコーディングのとき、ナオにいろいろ歌い方について注文してました(笑)。
ナオ:たしかに、めちゃくちゃ歌い直しさせられたのは「INU」だったなぁ。“もっと感情抜いて、おかまになって!”とかって、ノリノリで指示出してくれてましたからね。頑張ってそれに応えて歌うと、“上手上手!”って褒めてくれるんです、KENさん(笑)。戸城さんも「INU」気に入ってくれてましたよね。リード曲決めるとき、「カラリカラマワリ」か「INU」がいいんじゃない? って言ってくれてましたもんね。
――すごく分かります、その感覚。
戸城:でしょ。でもね、本人たちが決めるのが一番いいから任せたけどね。「INU」は本当に首振りDollsらしいなと思ったからね。
ナオ:戸城さんが思う“首振りDollsらしさ”って何ですかね?
戸城:俺が、ジュイーンってやつやれって言ったのって、どの曲だっけ? ほら、必殺アームでやったやつ!
ジョニー:あ、それ「カラリカラマワリ」です! カワサキのストラト(G)に謎の棒を突っ込んでアーム代わりにやったやつですよね(笑)!?
戸城:そうそうそう。イントロで、アームがなかったから、謎の棒をアームのとこに突っ込んでアーム代わりにしてやったんだよね。コイツらは年代的にジュリー(沢田研二)を知らないからさ。俺の中であそこは、ジュリーの「ストリッパー」だったんだよ!
――おぉ! 今、脳内再生されました、「ストリッパー」のイントロ(笑)! なるほど、たしかに、「カラリカラマワリ」のイントロ感、その雰囲気ありますもんね!
戸城:でしょ!
ジョニー:いきなり戸城さんが謎の棒を持って来て、“これ突っ込んで!”って。ドライバーかなんかでしたよね?
戸城:そうそう(笑)! 我ながらあれはいい案だったと思うよ。
――さすがですね! プロデューサー!
戸城:いやいやいや、俺の役目はレコーディングのときに弁当発注するだけだからね(笑)!
ジョニー:弁当、一択じゃないっすか(笑)!
ショーン:『ハムエッグ弁当』! あれ美味しいですよね! 今、まさにすぐにでも食べたいです!
戸城:だろ。あれが美味いだよ! あと、下宿場所を手配してやったんだから!
ナオ:そう! レコーディング期間中3人で1部屋で住んでた(笑)。
戸城:少ない制作費をやり繰りして、頑張って下宿確保してやったんだから!
ジョニー:ありがとうございました!
ナオ:本当にそんな中で生まれた『アリス』でございます! なので、みなさん是非是非買って頂きたい!
戸城:レコード会社のアーティスト担当のディレクターも本当に頑張ってくれたからね。
ナオ:2枚目をキングからリリースさせてもらうのに、担当のディレクターの夏目さんが本当にすごく頑張ってくれて、“2枚目、勝負だから頑張ろうね!”って言ってくれてたところに、前任のベーシストが脱退したいって言って来たから、ぬぉ〜〜~っ! ってなって。もう絶望的だって思ってたら、ショーンが加入してくれて。ショーンの加入によって、全てが大きくいい方向に動いたんですよね。戸城さんも夏目さんも、今まで以上にすごくやる気になってくれて。夏目さんに、ハッキリと“ショーンくんのベースがあったからこそ頑張ろうと思えた。ショーンくんじゃないとここまで頑張れてないかも”って言ってくれたから。
ショーン:もう本当になんて嬉しいことを。本当に頑張ります!
――今や首振りDollsのエースですから!
ナオ:そうなの! プレゼントランキング1位なんですよ、ショーン!
戸城:すげぇじゃん! カッコイイ、それ! それにさ、ショーンって絶対に自分から前に出ようとしないし、勘違いしないじゃん。調子に乗ってるヤツだと、なんだコイツ? って思うけど、ショーンは全く調子に乗らないからね。そこは本当に好感持てるるよね。素晴らしいよ、この控えめながらに、1番人気! これぞカッコいいの極みだからな。
ナオ:なんで調子に乗らないの!? って思うくらい調子に乗らないんですよ、ショーンって。本当にいいヤツなんです!
戸城:人間大抵調子に乗るからな。勘違いするヤツ多いし。自分自分ってなるヤツ多いし。バンドよりも自分が前に出るヤツ居るからさ。そういうヤツは本当に嫌いだけど、ショーンは本当にそういうとこないもんな。そこの謙虚さは忘れちゃいけないと思うよ、本当に。
――私たち裏方と違って、ステージに立つアーティストなのに、ショーンは本当に控えめですからね。それでいて、すごいテクニックというところがカッコイイところでもあるんですけどね。
ナオ:本当に。ショーンは本当にストイックだからね。
ショーン:いやいやいや。キャラクター的に教室の隅っこに居るタイプなんで(笑)。
ジョニー:俺も隅っこタイプ!
――あははは。でも、バンドマンってどっちかだよね。クラスの中心人物的ヒーロータイプか隅っこタイプ(笑)!
一同:そうそうそう(笑)!
――戸城さん、どっちタイプですか?
戸城:端っこなわけねぇじゃん(笑)!
一同:ですよね〜〜(笑)!
戸城:めちゃめちゃ中心だったね。今回ライナーノーツを書いてくれてる俺の古くからの付き合いのマッスー(『BURRN!』『MUSIC LIFE』の編集者を経て1998年よりフリーランスに。著書に『ガンズ・アンド・ローゼズとの30年』などがあり、映画『ボヘミアン・ラプソディ』では字幕監修も担当。音楽ライターの増田勇一氏)なんかは、隅っこタイプだなぁ(笑)。俺、絶対に同じクラスだったら“お前、ロック好きなん?”って苛めてるもん(笑)!
ジョニー:増田さん、大好き!
ナオ:戸城さん、こんなこと言ってますけど、増田さんと超仲良しですからね。
戸城:そうそうそう。時代を超えてね(笑)!
――素敵な関係性だなって思います。先日のTHE SLUT BANKSと首振りDollsのツーマンライブのとき、稲毛まで首振りDollsのTシャツ着てライブに遊びに来てくれてましたからね。トークショーも一緒にやって頂いたり。
ナオ:そう。本当に気に入って下さっていて、嬉しいです!
――憧れのQUEENやKISSとお仕事している増田さんに褒めてもらったらそれは嬉しいよね。QUEENやKISSと並べちゃったくらいの脳内勘違い出来そうだもんね(笑)。
ジョニー:本当にそう(笑)!
ショーン:あははは。大物ですね、随分(笑)。でも、戸城さんは本当にロックンローラーだなって思います。憧れます。
戸城:俺の高校時代はクロスオーバーブームだったんだけど、俺はそっちは出来ねぇと思ったから、“俺はKISSだ!”つって、騒いでたタイプだったね(笑)。
ナオ:あ、ジョニーがエアロスミス弾けないからラモーンズにいったのと一緒や!
戸城:あははは。それがいつの間にか自分の個性になってたんだよな。
ナオ:戸城さん、ヤンキーだったでしょ(笑)。
戸城:あはははは(爆笑)!
ナオ:今の時代ロックンロールとヤンキーはセットじゃないからなぁ。
――今、ツアーグッズになっているステッカーは車にも貼れる仕様だから、是非貼って走って欲しいですけどね(笑)。
戸城:お〜、似合うねぇ、車に首振りのステッカー貼って『アリス』聴きながら走って欲しいね!
ナオ:ですね! でも、今のヤンキーとかはオシャレな曲とかダンス曲聴くことのが多いのかな?
――だとしても、今の首振りDollsにはオシャレ曲担当のショーン曲があるから、そこも網羅してるからね。
戸城:イイねイイね。それに、時代はまわるから、是非、ジョニーにはロックに愛された天然パーマをもっともっと活かしてって欲しいね! こんな天然パーマはマーク・ボランかポール・スタンレーくらいしかいないからね!
ジョニー:ビックネーム! そこと並ばせてもらいますか(笑)! 嬉しすぎます(笑)!
――戸城プロデューサー、是非、首振りDollsにアドバイスを。
戸城:やっぱね、首振りDollsは、どこにも属さない音と個性で独自な世界を自分たちで切り開いていって欲しいなって思うよ。自分たちでシーンを作っていって欲しい。自分たちでブーム的なものを起こして欲しいと思うよ。最初にシーンを作ったヤツが一番強いからね。属しちゃダメ。
――本当にそう思います。シーンを作れる力を持ったバンドだなって思いますからね。
戸城:そうだね。音楽も見た目も全部ね。
――ナオも今回の『アリス』のタイミングから着物を脱ぐかどうするかっていう話にもなったんですけど、衣裳合わせしたときに壊滅的に衣裳が似合わなくて(笑)。
ナオ:そうなんです(笑)! ジョニーもショーンもめちゃくちゃ似合っててカッコ良かったのに、“あれ? ナオちゃんどうした?”みたいなことになって(笑)。着物着たらやっぱりしっくりきて。着物だなってなったんです。世界制覇をするためにも、着物がいっか! と思って(笑)!
戸城:デカイな、夢が(笑)!
ジョニー:THE SLUT BANKSと海外ツアーしたい!
ショーン:したいです!
戸城:もぉヤダよ、そんなパワーねぇよ〜(笑)! まぁ、俺たちの時代は日本にあまりロックがなかったから、ロックのシーンを作った感じだったけど、ロックシーンは当たり前になった今だからこそ、違った意味で首振りDollsが新しいジャンルを作っていったら良いと思うよ。あとは、ヒット曲を作ること!
ナオ:首振りDollsの中でポップ路線のヒット曲作れるのはジョニーかな。
戸城:1枚目のアルバムに入ってる「イージーライダー」は、25年前だったら大ヒット間違いなかったと思うよ、あれ。今の時代ももっと聴いてくれる人が増えたら、大ヒットすると思うけどね。
ジョニー:大ヒット曲作れるように頑張ります!
戸城:でも、狙って作るとダメだからなぁ〜。
ジョニー:分かる〜。頭使わない感じで作らないとね。
ナオ:ロックンローラーの自由奔放な感覚とか、まさに戸城イズムを持ってるのはジョニーだと思うから、ジョニーには奔放に居て欲しいなって思う。それで、ロック史に名を残すロックバンドになっていけたらなって思いますね、本当に。
――首振りDollsは3人がそれぞれの音楽性を個性としているし、性格も本当に違うけど、すごくバランスがいいもんね。
ナオ:ショーンは真面目だしね。
――そうね。ショーンは口数が少ないし、本当に普段は影をひそめてる感じだけど、すごくあたたかい心の持ち主で、メンバーのことや周りのこと見ててくれて、的確な意見を投げてくれるし、本当に音楽に対して真面目だしストイックだしね。
戸城:ジョニーみたいなヤツだけじゃバンドは成立しないからな(笑)。バンドってバランスが大事なんだよ。
ナオ:本当にそう思いますね。
――でも、ジョニーも寅次郎っぽいし、フーテン感満載だけど、ただの甘えん坊のチャランポランではなく、本当にちゃんと俯瞰して全体のバランスを見てくれてるというか。人の気持ちを大事にしようと思うタイプだし。ナオはとにかく行動的で、人から本当に深く愛される人。ちゃんと人の気持ちを汲みとれる人で、自分を犠牲にしてまで人の為に尽くす人。ナオの舵取り無しじゃ首振りDollsは走れない。だから、向かい風を全部受けるのはナオで。だからときに誤解されることも多いけど、本当にジョニーもショーンも首振りDollsに関わってくれる人たちはみんなナオのことを信頼してる。
戸城:いいバランスだよな。この3人だから、今のグルーヴが作れているんだと思うからさ。バンドって本当にそれぞれの役割があるから。
ナオ:本当にそうですね。首振りDollsの3人は3人とも長男なんだけど、本当にそれぞれタイプが違いますからね。私は首振りDollsの中では末っ子だけど、そんな末っ子の私がグイグイ引っ張っててる感じで。でも、それを長男のジョニーがやってくれるかっていったらそうじゃないもんね。
ジョニー:絶対無理。やんないやんない! 出来ないもん。
ショーン:僕も無理。出来ない出来ない。
ジョニー:ね。絶対やんないよね!
ナオ:やんないじゃないわよ(笑)! でもいいの。私もそれを押し付けられてるとも思ってないし、ナチュラルにやれてるし、それが私なんだと思うから。
戸城:音楽で飯を食うのは大変だからね。悔いのないミュージックライフを。
ナオ:ロックンロールライフにして下さいよ(笑)!
戸城:あ、そっかそっか(笑)。
――でも、本当にこの歳になると、そっと見守って支えてやらないとなって思いますよね。そして願うのはただただ“悔いのないミュージックライフを”というところ。シーンを作っていって欲しいなと思います、本当に。
戸城:本当にそうだよね。俺、本当に適当に生きてきたけど、本当にすげぇ楽しかったからさ。“悔いのないミュージックライフを”っていうところだけは、本当に伝えてやりたいんだよ。本当に悔いを残さず、とことんやって欲しい。それを願ってる。こんな楽しい生活が、首振りDollsにはまだまだいっぱい残ってるんだから、とにかくとことん燃え尽きて欲しいね。そんで、楽しい人生だったなって思って欲しい。
――本当にそうですね。メジャーというシーンに来て、いろいろと窮屈に感じることも多いと思うんですよ。でも、そこすらも刺激に変えて楽しんで欲しいなと思うんです。
戸城:そうよ。メジャーな世界に来なくちゃ始まってもないんだから。箸にも棒にもかからないで楽しくやってんのって、またそれは違うからね。そんなのはプロじゃないし、遊びでしかないからさ。やるならとことん勝負しなくちゃ。いっぱい覚えることも初めてのことも多いと思うけど、それはちゃんと必要なこととして受け止めて、“悔いのないミュージックライフを”送って欲しいなと思うよ。本当に。
――愛を感じます。本当の愛を。
ナオ:本当に。
――メジャーのシーンに引っ張ってくれたのは戸城さんですからね。
戸城:そうよ。だからさ、首振りDollsが新しいシーン作って頑張って売れてくれたら、プロデューサーしてる俺が、“やっぱ戸城さすがだね!”って言われるわけよ! 俺が絶賛されるわけ(笑)! 絶賛されたいから、とにかく必死で頑張ってくれよ(笑)!
一同:押忍!
戸城:お互いに、悔いなく生きような。ロックンロールライフを。
取材・文=武市尚子

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