ミュージカル『イノサンmusicale』記
者会見レポート~MIYAVI「生への渇望
をギターで表現したい」

ミュージカル『イノサンmusicale』の記者会見が2019年6月24日、東京・品川のホテルで行われ、出演する古屋敬多、梶裕貴、武田航平、荒牧慶彦、太田裕貴、浅野ゆう子、演出の宮本亜門、脚本の横内謙介、楽曲を提供したMIYAVI、音楽監督の深沢桂子が登壇した。
本作は18世紀のフランスを舞台に、国王ルイ16世やマリー・アントワネットなど数多くの歴史的人物を処刑した実在の死刑執行人、シャルル=アンリ・サンソンと、妹のマリー=ジョセフ・サンソンの生き様を描いたもの。原作は2017年に仏パリにある「ルーブル美術館」の特別展にも出展された坂本眞一の同名マンガで、『イノサン』は2013年から15年まではコミック誌「少年ヤングジャンプ」(集英社)で連載。現在は同「グランドジャンプ」(集英社)で『イノサン rouge』が続編として掲載される人気作品で、コミックスの累計販売数は150万部以上に上る。
ルーブル美術館の特別展に出展された作品
サンソン家の長男として生まれながらも、慈悲の精神を持つシャルル=アンリ・サンソンを演じる古屋は「フランス革命期に死刑執行人として実在し、壮絶な人生を送った方。美しさを常に意識してリアルに演じたい」とコメント。兄とは正反対の激しい気性を持つ妹のマリー役を務める中島美嘉は、会見を欠席したが「『イノサン』との出合いは、ふらっと立ち寄った本屋さんで、とてもキレイな絵だなと表紙にひかれ、思わず全巻買いしたところからでした。その後、ずっとお会いしたかった坂本先生との対談も叶い、今回のお話もいただき、とても光栄に思っております」とあふれる思いを手紙で寄せた。
古屋敬多(Lead)
冷めた目線で世の中を見つめたマリーが恋をしたアラン・ベルナールは、梶と武田がダブルキャストを務める。梶は「(差別があった)18世紀のフランスでは黒髪で、褐色の肌を持つアランは異質な存在だった。でも誇り高く、信念を貫く姿は共感する部分が多い」。武田も「純粋に夢や希望を追いかけている姿が美しい」とそれぞれ感じた思いを、役柄に重ねていた。
梶裕貴
武田航平
梶裕貴、武田航平
国王ルイ16世役の太田基裕は「フランスという国に対して絶望しながらも変えていこうともがき葛藤した人物。『イノサン』という耽美な世界の中で人間臭く、繊細に描いていきたい」と語った。サンソン家の絶対女君主で死刑制度を支持するアンヌ・マルトに扮する浅野ゆう子は「シャルルやマリーをせっかんする場面もある。怖くて厳しい方。もし身内にこういう方がいたら、怖くて目を合わせられない」とおびえた顔を見せたが「怖いけれど…、(役で)せっかんするから我慢してね」と言い、会場を笑わせていた。
太田基裕
浅野ゆう子
「せっかんする」と言い笑わせた浅野
脚本はスーパー歌舞伎II『ワンピース』などの代表作を持つ横内謙介が担当。横内は、当時あった階級社会へ思いをめぐらせ「つい男から見た世の中ばかりを語ってしまうけれど、マリーらは男の世界で右、左と戦う奇跡的な花。マリーが抱えている怒りを追求したい」と話していた。
横内謙介、宮本亜門
「マンガを超えたアート」と原作を絶賛した演出の宮本亜門は「娘さんが3人いらっしゃる坂本さんは、現代の日本女性に対する差別への怒りを持っている。その思いが『イノサン』にぶつられている」と、坂本との対話で感じたことを振り返り、「内面に抱えた怒りや喜び、悲しみ。現代人に伝えたいメッセージがたくさん込められている。新しいチャレンジをしていきたい」と力を込めた。
宮本亜門、横内謙介
音楽はスラップ奏法で世界中から注目を集めているMIYAVIの書き下ろし。MIYAVIとは2017年に東京・丸の内で行われた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」1000日前イベントで共演した宮本は「彼の音楽で身震いした」と信頼している様子。
宮本亜門
「ミュージカルは初めてで、未知の領域」と話したMIYAVIは「生きることに対しての渇望をギターで表現したい」と意気込んでいた。
MIYAVI
音楽監督は日本で上演されたブロードウェイミュージカル「RENT」などで監督・編曲を行ってきた深沢佳子が担当。深沢は「元々ギターも大好き。MIYAVIさんの曲に合わせて、ロックな感じにしたい。バンバン男の人を斬って行った、マリーの力強さを表現したい」と笑った。
深沢桂子
公演は2019年11月29日から12月10日まで、ヒューリックホール東京で開催。2020年2月にはフランス革命の地であるパリで公演することも決まっている。
会見後は、23日に竹達彩奈と結婚したばかりの梶とMIYAVIが囲み取材に対応。梶は「昨日からバタバタですが、みなさんから温かい言葉をいただいて、ありがたいです。改めて気を引き締め直したい。(この会見が結婚後の)初仕事になるので緊張しましたが、温かく迎えて下さり、ホッとしたところです」とうれしそうに話した。
2009年に結婚し、2人の娘を持つ父親の顔も持つMIYAVIから「報告、連絡、相談が大事」と夫婦円満の秘訣を聞いた梶は「ほうれんそうですね」とアドバイスを受け止めていた。
また世界でライブツアーを行っているMIYAVIは同作がパリで上演されることについて「日本人が他の国、フランスを描いた作品がどう受け止められるのか。フランス人が相撲して日本に乗り込んで来るみたいなものでしょう」とその壮大さにおののいていたが、「ライブもミュージカルも、その場でお客さんと向き合って、何を伝えられるのかというところは似ている。人間勝負。ステージからオーディエンスに向かって、人間力をぶつけて欲しい」とエールを送っていた。
取材・文・撮影/西村綾乃

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