あいみょんやSuchmosを輩出。La.mam
aプロデューサーに聞く、ライブハウ
スの哲学

全国にある無数のライブハウス。好きなアーティストのライブを見に行くことはあっても、「このライブハウスに行ってみよう」と考えたことがある人は少ないかもしれない。でも、ライブハウスにはそれぞれの歴史があり、スタンスがあり、哲学がある。それを知れば、音楽がもっと面白くなるはずだ。

今回紹介する「La.mama」は、1982年に渋谷の道玄坂にオープンした老舗のライブハウス。かつてはMr.ChildrenTHE YELLOW MONKEY、最近ではSuchmosあいみょんといったアーティストがブレイク前にここでライブをしていたという名門だ。そのプロデューサーを務める河野太輔さんに、La.mamaの歴史や現在注目しているアーティスト、さらには7月7日(日)に開催される「LIVE BEATER!! 1st match」への思いなどを語ってもらった。

Photography_Kana Tarumi
Interview & Text_Osamu Onuma
Edit_Momoka Oba

入社初日に9mm、4日目にサンボマスター
のライブを目撃

――90年代のバンドブームの頃にはブレイク前のMr.ChildrenやTHE YELLOW MONKEYなどもここでライブをしていたんですよね。

河野 : 僕が直接見たわけではないですが、とにかく連日満員だったと聞きます。当時「ぴあ」が発行していた雑誌にライブハウスのスケジュールが載っていて、みんなそれを見てなんとなく面白そうだと感じたイベントに足を運んでいたそうです。当時はSNSやネットがないから、出演アーティストの予習はできない。みんな宝探しをするような気持ちでライブハウスに来ていた時代なんだなと思います。

――河野さんが「La.mama」に入ったのは2005年ですが、これまでどんなアーティストを見てきたのでしょう。

河野 : 入社初日に9mm Parabellum Bulletがライブをしていましたね。5組が出演するうちの1番目で、動員も5人くらいでした。ただ、当時の先輩スタッフが「最初に出るバンド良いよ」と言っていたので見てみると、やっぱりすごくて。これは絶対に売れるだろうなと思ったのを覚えています。
河野 : あと、入社して4日目にはサンボマスターのライブがありました。満員のフロアで、熱気がありましたね。その日の自分は全然仕事を覚えていないのにドリンクを一人で作らされて、仕事に必死だった記憶しかありませんが(笑)。

――入社して1週間で名だたるバンドのライブを立て続けに目撃するとは、やっぱりすごいですね! 店じゅうにサインやバックステージパスが貼られているのも重みを感じます。

河野 : 最近だと、SuchmosとあいみょんもLa.mamaでやってて売れたアーティストかな。ここにパスも貼ってあります。Suchmosは2014年だから、たしか初ワンマンの時ですね。彼らとはメンバーがまだ10代だったころからの付き合いなんですよ。当時はただのクソガキでしたけど(笑)スタジオにもよく遊びに行ってました。長い付き合いなんで、今の活躍はうれしいです。
河野 : あいみょんは兵庫・西宮の出身だから、ライブのたびに地元から通ってました。その時はあまり喋らず、借りてきた猫みたいでしたけど、目の奥は尖ってましたね。

――今では知らない人はいないくらいの存在に成長した2組ですが、はじめてライブを見た時からやはり光るものがあったのでしょうか。

河野 : そうですね。好きなことをとことんやろうとしている感じがしました。だいたいの人が好きなことをやってはいるんですけど、社会とのバランスを保とうとして「結局売れに行ってるよね?」と思うことも多くて。でも、Suchmosとあいみょんは自分がやろうと思うことだけを突き詰めている感じがしましたね。

「下手くそだけどワクワクした」、La.
mama最注目アーティスト

――では、そんなLa.mamaが今注目しているアーティストはいますか?

河野 : MINAMISと東京少年倶楽部の2組ですね。どっちもすごくまっすぐなバンドです。MINAMISはパンクロックがルーツなんだけど、それを独自に消化しているバンド。もう5年くらいの付き合いですね。
河野 : ボーカルの南雲ケンタは弾き語りで活動していたんですが、はじめてライブを見た感想は「へったくそだな!」(笑)。でも、その後からめきめき上達していったんですよ。ちょっと他にはない成長スピードでした。それから南雲は就活をはじめるためにライブ活動を休止していたんですけど、「絶対に就職させねえ」と思って南雲に「ライブやろうぜ!」って週1で電話かけたりして(笑)。電話口では迷ってるんですけど、実際は絶対めちゃめちゃライブやりたいんですよ。最終的に、本人も内定取り消して、音楽に専念することになりました。
――すごいですね。バンドの人生を左右してるじゃないですか。

河野 : それぐらいの気持ちで付き合っていますから。ライブが終わると、いつも出演者と話をするんですよ。「バンドやめちまえ」とか言うこともあるし、僕の一言で本当にやめてしまう人もいるし。責任は常に背負いながらやっています。

河野 : 最近は厳しい意見に触れる機会が少ないのか、怒られ慣れていない子が多い気がしますね。だからめちゃめちゃオブラートに包んで言わないといけなくて面倒くさいんですが(笑)、違うだろと思ったことはちゃんと伝えないと、彼らがここに来た意味もなくなってしまうと思ってやっています。
――東京少年倶楽部はどんなバンドなんでしょう?

河野 : 東京少年倶楽部はボーカルの松本幸太朗が哲学書をめちゃくちゃ読んでる奴なので、歌詞が面白い。最初、弾き語りで活動していた松本がメールでデモを送ってきたんですよ。「京都に住んでいるので、ライブはやりたいけど東京に行くお金がない」とか言いながら(笑)。「踏切」って曲なんですけど、ピンボケの踏切の写真がついていて、それがなんだか良くて。こういう直感はだいたい外れないので、1年くらいやりとりをして、それから出てもらいました。
河野 : 最初にライブを見た時の感想はやっぱり「へったくそだな!」(笑)。でも、下手くそだけどなんかワクワクするんですよ。MINAMISもそうだったけど、これから変わっていくだろうなっていうのを感じて、La.mamaよりも大きなステージでライブしてる光景が浮かぶんです。この先も見続けたいなって思うバンドですね。

――この2組以外でイチオシのアーティストがいたら教えてください。

河野 : 北海道の3ピースバンド-KARMA-(カルマ)や、「SXSW 2019」にも出演したステレオガールかな。他には踊Foot WorksやMom、MONO NO AWARETempalayなど……。折坂悠太やカネコアヤノKID FRESINOも気になりますね。

サブスクでは出てこない音楽に出会える
ブッキング

――7月7日(日)には、ライブハウス目線でチケット情報を紹介するwebサイト「BEATER」主催のイベント「LIVE BEATER!! 1st match」も開催されます。カーネーションバレーボウイズが出演しますが、なぜこの2組をブッキングしたのでしょう?

河野 : この「LIVE BEATER!!」の話をいただいた時、なんとなくカーネーションの音楽が頭の中にあったんですよね。そうしていたら突然バレーボウイズとの対バンがひらめいて、「BEATER」担当のIさんにすぐ連絡しました。あんまり深くは考えていなかったんですが、Iさんはすぐに「いいですね、やりましょう」と言ってくれて。そこからはすぐに決まっていきましたね。

河野 : バレーボウイズは肩ひじ張っていなくて、ごく自然にバンドやってる人たちだなと思います。自分たちの好きなことを、自分たちで大事にしようとしている人たち。あと、変な奴らだなと思います。カーネーションも音楽に対して変態なんで(笑)、面白い人たちを混ぜ合わせたらどうなるんだろうって楽しみですね。
――ブッキングはいつもそうしたひらめきを重視しているのでしょうか。

河野 : それもありますが、何より意識しているのは自分の感覚に嘘をつかないこと。自分が良いと思うアーティスト以外は、関係者にお願いされてもブッキングしません。そのイベントに責任が持てなくなりますから。

河野 : それと、客層をミックスさせることも意識してやっています。今はYouTubeやサブスクで色んなアーティストを知ることができますが、サブスクのおすすめでは出てこないような組み合わせを狙ってブッキングしていますね。

河野 : カーネーションとバレーボウイズも、ベテランと若手のクロスオーバー。昔からカーネーションが大好きって人はバレーボウイズをあまり知らないかもしれないし、その逆もあるでしょう。
――この2組だと、それぞれのファンの年齢層も大きく違っていそうです。

河野 : そうですね。最近はライブハウスに来る年齢層が上がってきているので、若い層にもっと来て欲しいという思いもあります。

――若い層に来て欲しいというのは、彼らが今後のシーンを担う存在だからでしょうか。

河野 : うーん、というより、若者って好奇心旺盛じゃないですか。今は自分で情報を探すためのツールがたくさんあるんだけど、若い時期ってメディアや広告にもすごく影響されてしまう。だから自分で選んでいるようにみえて、掴ませられていることも多いと思っているんです。

河野 : 日本の音楽シーンは代謝が悪いし、長いものに巻かれすぎなところがあって、自分の感性で健全にジャッジしにくい環境だと思います。ライブハウスで生で見るライブは、そうした条件を排したフラットな場所。そんな風に、若者が自分の感性や野生の勘で好きな音楽を選べる状況を作りたいんです。
河野 : 数ヶ月前からは学割もはじめたんですよ。今は店舗でチケットを購入した人限定にしているんですが、だいたい一公演につき10枚くらい売れるかな……今はかなり音楽好きそうな雰囲気の人がよく買いに来てくれているので、今後はもっと色んな若い人が買いに来てくれたらいいなって思いますね。
La.mama
渋谷区道玄坂1-15-3プリメーラ道玄坂B1
http://lamama.net
ローチケ×La.mama『LIVE BEATER!! 1st match』
@ 渋谷La.mama
2019/7/7(日)OPEN18:30/START19:00
チケット販売ページ

ライブハウス情報サイト「BEATER」
ローチケ(ローソンチケット)

あいみょんやSuchmosを輩出。La.mamaプロデューサーに聞く、ライブハウスの哲学はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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