俊英・鈴木竜率いるダンスカンパニー
eltaninが第1回公演『White Space.
』で挑む新たな可能性とは

気鋭の振付家・ダンサーとして注目される鈴木竜が主宰するeltanin (エルタニン)が、第1回公演『White Space.』(2019年6月28日~30日、東京・シアタートラム)を開催する。鈴木は英国の名門ランベール・スクール在学中にランベール・ダンス・カンパニーの全英ツアーに抜擢されイツィック・ ガリーリの作品に出演し、卒業後はアクラム・カーン、シディ・ラルビ・シェルカウイ、フィリップ・ドゥクフレ、 テロ・サーリネン、インバル・ピント/アブシャロム・ポラック、平山素子、近藤良平、夏木マリといった大物たちに起用されてきた。振付家としても「横浜ダンスコレクション 2017」で若手振付家のためのフランス大使館賞、MASDANZA 賞、シビウ国際演劇祭のトリプル受賞を果たし、海外での滞在制作・作品発表を行っている。
鈴木竜 photo:Satoshi Hara
『White Space.』について鈴木はこう語る。「東京を拠点に活動するカンパニーの第 1 回公演として東京という街をテーマにしようと考えました。 世界中のいろいろな国と都市を訪れましたが、他の大都市と比べても東京という場所はなぜかとても特殊だと感じるのです。そしてその違和感を生んでいるのが「人と人の距離感」であることに気がつきました。東京という街は、無数の点で白い紙を埋め尽くしたような場所だと思います。人も物も、とにかく余白(ホワイトスペース)を恐れるかのように塗りつぶしていく。そんな中で人は"人間"でいられるのだろうか?そんな疑問をコンセプトに作品づくりをする予定です」
eltanin『White Space.』リハーサル動画
スタッフ・出演者の顔ぶれが凄い。音楽を担当する平本正宏は、写真家の篠山紀信の映像作品や映画『さよなら渓谷』(原作:吉田修一、監督:大森立嗣)の音楽を手がけ、金森穣(振付家)、蜷川幸雄(演出家)、束芋(現代美術家)らとコラボレーションをしてきた鬼才。衣装の武田久美子は英国のグローブ座やバービカン・センターでの仕事を経て日本に拠点を移し、広告や舞台、コンサート、映画で幅広く活躍する。ダンサーは大宮大奨、安心院かな、河内優太郎、上田舞香という若手ながら国内外の多くの舞台を経験してきた実力派かつ個性豊かな面々だ。鈴木のヴィジョンを高い水準で実現し、密度の濃い舞台を生み出すことが期待できる。
eltanin『White Space.』ダンサー紹介
本公演の制作にあたりクラウドファンディングによる資金調達に挑み目標額を達成した。鈴木は「芸術とは社会の中で人と人が繋がり、そして分かり合うためのツールであり、僕自身の作品もそうあってほしいと考えています。そのためには、作品に「様々な人にとっての芸術の存在意義」が込められることが、クラウドファンディングのいいところだと思います。クラウドファンディングを利用してたくさんの方々に関わっていただいたことで、今回の作品 『White Space.』は、アーティストと観客だけのものではなく「社会の一部」となります。また、クラウドファンディングを活用した作品づくりが継続的に成功することで、現在の日本における、芸術活動のための資金調達の一つの形を示せるのではと考えています。これは、次に続く世代がより良い環境で芸術を楽しむことができる社会を作るための挑戦でもあるのです」と述べる。日本のコンテンポラリーダンス新時代を担っていく鈴木と eltaninの動向から目が離せない。
文=高橋森彦

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