紹介書籍:「入江式 のしあがる力(ちから。)」入江慎也(ゴマブックス)

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ロマン優光のさよなら、くまさん
連載第137回 入江の闇営業 最近忙しくて家にいる時間が少なかったためにたまっていた『鬼滅の刃』のアニメをまとめて見ていたところ、編集氏から「今回は闇営業しかないっすよ!」というメールが。なんで闇営業しかないのかわからないのですが、編集氏が言うのだから仕方がない。今回は、カラテカの入江慎也さんが過去に行った振り込め詐欺グループ相手の闇営業が問題とされて吉本興業との関係が解消された件について考えなければなりません。
 闇営業というと、いかにも凶悪なことをやっているようなイメージがありますが、ようは芸能人が事務所に無断で受ける仕事のことで、前はショクナイ(内職)って呼ばれてたやつのことですよね。私はショクナイという言葉をビートたけしさんが言ってたのを聞いて覚えました。 媒体で芸人さんの口から大っぴらに語られていたことから考えて、言語道断な事柄というよりは、事務所側にもバレない程度にこっそりと迷惑をかけないようにやれば目をつぶるぐらいの暗黙の了解の範疇にあったできごとだったような気がします。
 同じ内容なのに闇営業とショクナイではイメージが全然違いますよね。いや、本来は闇営業という言い方もふざけて大袈裟に言ってるだけでギャグみたいなもんだったと思うのですが、入江さんの件でこの言葉を知った人にとっては、本来の意味を離れて反社会勢力相手の営業みたいなイメージがついてしまったんではないでしょうか。
 入江さんの件ではいろいろな疑問の声があがっています。その中には、入江さんの斡旋で参加した雨上がり決死隊の宮迫博之さんをはじめとする他の芸人さんがギャラを貰っていないと主張していることに対する疑問もあります。確かに、長谷川豊さんの「私はそんなことはいっていません」ぐらい信用度にかけていますね。プロの芸人さん、地上波に出てるクラスの有名芸人がノーギャラで縁もゆかりもない人のパーティーで余興をしたりするものなのでしょうか? すごく不思議です。ギャラという形ではなく、別の名目で何かもらったり、女の子でも紹介してもらってたりするのでしょうか? それとも、ただで仕事をするぐらい入江さんに頭があがらないようなことでもあるのでしょうか? 謎です。
 あの面子が余興に来ても楽しくないのではという疑問もあります。それは人の好みは色々ですし、面白かろうが面白くなかろうが、みんな地上波に出てたり、出ていたことがある有名芸能人には間違いありません。そういう有名人を呼びつけることができるということは、主催者の虚栄心を満足させるだけのことはあったのではないかと思います。金ができた後に求めるのは名誉なわけです。裏稼業で金を稼いだ人が芸能人に近づくのは、利用して儲けようというのもありますが、そういう華やかな場にいる自分に喜びを感じるのはあるのでしょう。今回も出席者に自分のすごいところを見せていい気分になれたということでは。
 吉本興業という会社に属している大物芸人の中にはヤクザとの付き合いがあったことを公言している人が過去に何人かいます。それなのに入江さんを切るのはなんだか矛盾しているという声もあります。
 もともと芸能の世界は興行という面でヤクザと密接な関わりがあったのですが、興行からテレビに主軸が移り、スポンサーの企業に対して気配りが必要となり、特に暴対法以降はそういう関係を断つ方向に進んでいったという経由があります。まあ、その隙間に入り込んできたのが指定暴力団ではない半グレという人たちなのですが。
詐欺グループを入江に紹介した広告代理店が一番ヤバい? それはさておき、吉本の大物芸人がヤクザと関わりがあったりするのは過去の会社ぐるみでヤクザにお世話になっていた時代の名残りです。会社ぐるみの付き合いなのですから、そういった芸人さんは会社の暗部についても深く知っているでしょうし、安易に首を切れないのではないでしょうか? そういった人たちは現在は大阪ローカルの活動がメインで、全国区のテレビに出ることはあまりありません。世間の目に触れることは少なく、一般的には知名度も少ないので、わざわざ事を荒立てて話題になるのもめんどくさいし、相手のヤクザの方も現役バリバリというわけではありませんよね。昔の出来事として、できるだけひっそりとしておいていただいた方がいいですもんね。吉田豪さんにインタビューされる危険性は残りますが。
 そういった大物芸人と比べると入江さんの場合は状況が全然違いますよね。コンプライアンスに厳しくなった以降の近過去に起きた出来事なのもそうです。過去の社会全体が粗雑で線引きがはっきりしなかった時代の話と、今のコンプライアンス重視社会で現役で関わってしまったのは意味合いが違ってくるでしょう。また、会社に関係なく自分の利益のために反社会勢力の人と関わったというのも全然違います。会社的には関係ないわけで迷惑なだけですし、芸人として会社への貢献度が低いわりに変に顔だけ売れてる入江さんなど、めんどくさいから切っちゃいますよね。あの島田紳助さんですらヤクザとの交際が発覚してしまうと解雇されてしまうのが今の時代なわけですよ。あんなに会社に貢献していた紳助兄やんすら引退したというのに、入江さんごときが許されるわけがないじゃないですか。許されるのはカウス師匠とか、ああいう人だけです。
 今回色々と言われていますが、個人的にはそれに付随して入ってきた情報も面白かったですね。入江さんに先駆けて、楽しんごさんが吉本に関係を解消されていたこととか。闇営業がキャンセルされたことに腹をたて、相手を詰めて大事になって解雇されるあたり、相変わらずの暴力大将感に感心。あと、「ショクナイ 闇営業」で検索したら鼠先輩のインタビューが出てきたり。鼠先輩が事務所に内緒で営業入れてた話はどうでもいいんですが、過去にAV業界で働いていたため紅白に出れなかったみたいな発言を読んで、「AV業界にいたせいではなく、関東連合出身の松嶋クロスさんとの関係性の問題では……。」と思ってしまいました。
 人脈ビジネスがいやしくてキモいとか、何が5,000人の友達だとか、人によって色々と思うことはあるでしょう。私が一番気になったのは、この詐欺グループの人間を入江さんに紹介したのが広告代理店の社員だという話です。この話が本当だとしたら、非合法なビジネスを営む界隈と関係のある広告代理店の社員ってヤバすぎないですか? 詐欺グループの人間の正体を知ってたか知らないかはどうでもいいというか、最もコンプライアンスというものに気を配ってなければならない職種である広告代理店の社員ともあろうものが、知らずに付き合ってたら脇が甘過ぎるし、知ってて付き合ってたらバカ過ぎるわけで、どっちにしろヤバいですよね。どこの広告代理店かわかりませんが、そんな社員がいるとしたら、その会社自体が心配になってしまいます。
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